インスタグラマープロモーションは無意味? デジタルプロモーションのプロに聞いてみた
よく分からないことはプロに聞いてみようシリーズ。
YouTubeに動画を投稿し、広告収入を得る、いわゆる「YouTuber」が注目されるようになった昨今。直接的な広告収入ではなくとも、ほかのSNSからもそうした存在が登場してくることはあるのでしょうか。
例えばInstagram。世界のユーザー数は4億人を超え(2015年9月時点)、2015年10月からはInstagram上での運用型広告の提供が始まっており、プロモーションを手掛ける会社も増えてきています。
そんな中、ファッション業界でデジタルプロモーションを手掛けてきたドレスイングが、ヤフーの子会社であるGYAOと業務提携を発表したのが2016年3月のこと(関連記事)。InstagramなどのSNSのほか、テレビや雑誌なども含めたメディア横断型広告商品の展開を視野に入れたものとなっているのが特徴的です。
この提携発表前の2015年12月、ドレスイングは、同社が企画・制作・運用を担うGUのInstagramプロモーションサイト「GU TimeLine」やファッション誌「NYLON」などと連動したテレビ番組「インスタ女子部」を放送。3月には人気ハイブランド「GUCCI」を取り上げる続編を放送しています。
ドレスイング代表のナカヤマン。さんに、この提携の意図も聞きつつ、“Instagramer”を用いたプロモーションの可能性について聞いてみました。
最初のステップでこけているのが日本のデジタルプロモーション
「興味喚起から購買までのステップを推し進めるのがプロモーションだとして、日本のデジタルプロモーションは最初のステップでこけている。特に女性向けの施策は顕著。作り手が満足するための”最先端技術のプレゼンテーション”か、企画不在の”アサイン施策”が大半を占め、女性ユーザーはそれを冷ややかにスルーしている」とデジタルプロモーションの現状をあけすけに語るナカヤマン。さん。
とりわけ画像や動画が中心のSNS上には、“刺さる”プロモーションコンテンツがほどんど存在しない、とも。”文字”から”画像や動画”へのSNSの変化は、右脳コンテンツから左脳コンテンツへの変化。男性マーケットから女性マーケットへ比重が変化し、そのロジックはコンテンツ形成にも大きく影響する。こうした理を考慮せず企画される現状も一因だと話します。
ナカヤマン。さん。率いるドレスイングは、今でこそハイブランドを中心にクライアント形成しているものの、設立当初は東京ガールズコレクションに出てくるようなブランドのデジタル戦略を数多く手掛けてきたといいます。その中で「かわいい」「かわいくない」の直感的な二元論で形容する今のリアルな感覚を感じ、“デジタル上で女性に届けるにはどうすればいいか”を蓄積してきたそう。
VJをキャリアの起点とする自身もクリエーター志向が強いと話し、ファッション業界で通用するビジュアルプロデュースを強みとしてきたことが生きる、よいタイミングでのGYAOとの提携だったと振り返ります。
世の中の情報量の増加に反比例して、1投稿が提供する情報量が小さくなっている現在、SNS単体でのプロモーション展開は無謀で、効果を最大化する掛け算が必要、というのがナカヤマン。さんの考え。SNS、Webメディア、雑誌、そしてテレビまで含め一気通貫で企画することでコンテンツに横串が通り、効果の出るパッケージができるとしています。この“横串”という言葉には、次のように説明を加えました。
ロイヤルティーの高い情報伝達者であればあるほど「その時点では興味がない情報でもファンに届ける」ことができる。そういう意味では人気者のSNSアカウントは興味喚起には適しているが、2つデメリットがある。
1つはSNS1投稿で提供される情報量が写真1枚のレベルまで小さくなっていること。もう1つは、その小さな情報単位で喚起できる興味など、数分で上書きされて忘れてしまうほど1日の情報量が多くなっていること。
つまり、興味喚起から目的達成までを一連の体験として提供するコンパクトなプロモーションが必要。Instagramの1投稿で商品説明が完了するのがまれなことを考えると、メディア、コンテンツを組み合わせて一連の体験を創造する必要が出てくる。
メディアとコンテンツを複数組み合わせる場合、それを横断してもらう「衝動」が重要。例えばInstagramで認知されているタレントが雑誌に出ると告知しても「ふーん」というリアクションだが、テレビに出るというと「見たい」となる。そこには「動く」「話す」「長尺」というInstagramにはない行為差分の期待値がある。「テレビ出演」の期待値から生まれるこの強い衝動を当社では企画に組み込んでいることも成功要因として大きい。
InstagramはSNSの代名詞的に使っているが、それが例えばSnapchatに変わったとしても自社の企画のスキームが変わるわけではないとナカヤマン。さん。
「画像SNS以降の世界は2つの要素が重要。1つは尺。もう1つは編集。最高に尺の短い動画が写真として、尺が長く編集の程度が低いのはリアルタイム配信、尺が長く編集の程度が高いのはテレビ番組」とし、テレビ番組の構造は「まとめサイト」に近いと話します。
初期のティーザーコンテンツとして「まとめサイト」は非常に有用で、番組としてマス散布できるテレビとの相性は抜群。これにデジタルメディアを組み合わせて「広さ」と「深さ」が担保できる最も効果の出る掛け算が作れるとしています。
テレビが持つリーチも相乗的に活用していく中、最初の放送(2015年12月)ではテレビチームとWebチームを分けて編成したことで、コンテンツに横串が通りきらなかったといいます。しかし、2回目の放送(2016年3月)では、テレビの制作会社を使わず、1チームで編成。その上にナカヤマン。さんが総合ディレクターとして立つことで情報統制を行ったのだそう。手間は掛かり、初動では混乱も起こるが、工数の圧迫によるコストメリットとノウハウの蓄積スピードが上がり、効率のよいスキームになった手応えを感じているようです。
インスタグラマーにキャリアステップを
そうした取り組みの中で、気になるのは、個人がインスタグラマー(Instagrammer)としてスターとなっていくような流れが起こり得るのか、という点。デジタルプロモーションのプロフェッショナルの視点から、最後にその可能性を聞いてみました。
ナカヤマン。 それが自然で、あるべき流れだとは思う。ただし大人がその中で役割を果たせるほど勉強していないことが問題。「かわいい」が分からない。SNSが理解できない。Instagramの何がおもしろいのか分からない。でもそのマーケットでビジネスはしたい。それが現状。
結果、プロモーションが企画不在の「アサイン案件」になっている。どの案件でも同じ「インスタグラマーの名前とフォロワー数のスプレッドシート」と、フォロワー数に比例させたぼったくりの見積もりが提出される。アサイン以降はインスタグマラマー任せで、全体的なクリエイティブコントロールを行う人間もいない。アサイン、丸投げ、投稿、確認、支払い、これが工程の全てであることは珍しくない。
―― 無理な案件数をこなして企業価値をパンパンに上げてエグジットする絵が浮かびました。
ナカヤマン。 浮かびますよね(笑)。プロモーションとして当然マズいのだけど、インスタグラマーから見てもそこにキャリアアップのチャンスがない。芸能事務所のコンサルティングも行ってきた視点で言うと、資質に加えて、仕事ごとに適切なスキルを習得できる方がスターに成り得る。要求が低い今のインスタグラムプロモーションを幾つこなしても次のキャリアステップは生まれてこないだろう。
そういう意味で今回の提携の中心にあるテレビ番組連動のスキームは、インスタグラマーにヒヤリングした結果でもある。いま彼女たちが一番挑戦したいのはテレビ。効果的なプロモーションスキーム上で、モチベーション高く取り組むことで良いコンテンツが生まれ、効果も生まれる。その上、当人には新しいスキルを習得するチャンスもある。クオリティに関する責任は我々が取る。当社はインスタグラマーエージェンシー事業をやる意思は全くないが、一緒に新しいチャレンジをしていく上でインスタグラマーは大事なパートナー。チャンスの提供も我々のやるべきことだと考えている。
関連記事
- YouTuberの次に来るのはInstagrammer? GYAOとドレスイングが業務提携
Instagramモデルが増える? - Instagram、日本で広告の導入を開始
近日中より、一部の利用者のフィードに広告が表示される。 - 万華鏡だこれ! Perfume、初のオフィシャルInstagramで斜め上の使い方を見せる
うおおおおおお! - 浜崎あゆみがInstagramを1カ月ぶりに再開 高級ブランドとコラボしたセクシー写真を公開
もともとはアルバムのプロモーションのために利用していました。 - 「美のスタンダードを変革したい」 イケメンすぎる顔立ちの女性がヴィクトリアズ・シークレットのモデル基準に挑む
“女性なのに男性的”だと言われ続けてきた彼女。自らVSのモデルと比較する写真を公開。 - FF13のライトニングさんがルイ・ヴィトンと正式にコラボ! モデルとして世界で活躍へ
新しい姿は全てルイ・ヴィトンのプロデュースで作成された。 - 本田翼がクッションをムギュ→クッションになりたい人続出 そのための条件も明らかに……?
グシャグシャにされてもクッションになりたい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
-
ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
-
夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
-
ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
-
妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
-
人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
-
「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
-
「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
-
160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
-
「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
- イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
- 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
- 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
- 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
- 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
- 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた