凧を揚げて気分もアガる! 好きなキャラ絵を描き込む“痛凧”の魅力:司書メイドの同人誌レビューノート
“和凧×萌絵=痛凧”。
あんなに暑かった日差しが一段落して、気付けば吹く風もどこか爽やか。そろそろ秋を感じ始めるこの時期に、凧を作ってみませんか! そう、風に乗って天高く舞い上がる、あの凧です。「凧って子どもがお正月に遊ぶものでしょ?」という印象は、この本を読んだら変わるかもしれませんよ。
今回紹介する同人誌は、「痛凧」を作るところから揚げている様子までを収録した内容。そもそも痛凧とは何かと申しますと、アニメやマンガのかわいいイラストを塗装した自動車を「痛車」と言いますが、それを凧に施したもの。表紙の“和凧×萌絵=痛凧”のキャッチフレーズが分かりやすいですね。今回の本は痛凧シリーズ10冊目ということで、作者自らの痛凧歴を語るセルフインタビューからスタートしています。
今回紹介する同人誌
「イチから始める痛凧作成ガイド 冴えない痛凧の育て方素敵なヨメをこの大空へ ♯9」 B5 60ページ 表紙カラー 本文モノクロ
「普通の同人誌作家が【いただこ】やってみた。 素敵なヨメをこの大空へ ♯10」 B5 32ページ 表紙カラー 本文モノクロ
著者:里尾 栃
きっかけは「らき☆すた」の聖地・鷲宮。老後を見据えたオタク趣味!?
そもそもは「らき☆すた」で賑わう埼玉県の鷲宮で、「今度、キャラクターを描いた凧を揚げます」という趣旨の告知を見たのがきっかけだそう。そして出会ったのは、本物の和凧職人さんによってキャラクターが堂々と描かれた、筆使いも見事な凧。そのかっこよさに魅せられ、さらに「趣味は『和凧づくり』というと、年を取っても続けていけそう!」という理由を見出して、作者さんは痛凧作りに取り組むことに。
ちょうどそのころ、ご自身の同人サークル活動が迷走していた時期だったとか。うん、ちょっと分かるような気がします。いろんなアニメやマンガを好きになって、ものすごく情熱を傾けて過ごすのですが、そのうち少しずつ穏やかになって、ある時ふっと「あんなに好きになれるものってこの先、出てくるのかな」と思ってしまうこと、あります(その後、何の前触れもなく情熱がめらめらと再燃焼することも、ままある話なのですが)。好きという気持ちを根底にしたものづくりの楽しさを知っているからこそ、「『何か作り続けていきたい』って気持ちがまた湧いてくることってあるのかな」と寂寥(せきりょう)感に胸を締めつけられるのではないでしようか。マンガや小説という特定の方法ではなくても、「何かこの好きって気持ちを楽しく表現したいな」と思うこともありますよね。
痛凧ならできる、「描く、作る、揚げる」と三拍子そろった“好き”の発表会
そんな時、痛凧なら、自らの手で好きな物に関わるものづくりが気軽にできる! と、この本から感じました。本体の凧は自分で一から作り上げることもできますし、市販に無地の凧のキットが販売されているので、それを入手することもできます。既に作り方のフォーマットがある程度決まっているのが、第一歩として取り組みやすいですね。
そして痛凧の醍醐味は、なんといっても凧に自分で絵を描くこと。描くといっても、趣味の範疇(はんちゅう)として既存の絵を写し取ることが多いようなのですが(このあたりの作成方法は「冴えない凧の育て方素敵なヨメをこの大空へ # 9」に詳しく解説されています)、この自分で描いた筆跡というのが、実に味わいがあるんですよ。著者の方が最初に職人さんの筆使いにはっとしたのと同じように、筆跡には個性が出ますね。本に掲載された自作痛凧の数々を拝見すると、どのキャラクターの表情も笑ったり驚いたり、いきいきとしています。「ああ、こんな表情で自分の好きなキャラクターが青空に浮いていたら、感無量になりそう」と想像してしまうくらい、愛を込められて丁寧に描かれているのがしみじみ伝わってきます。
舞い上がれ! 大好きな気持ちを乗せて
さらに痛凧のすごいところは、制作しただけで終わらず、ギャラリーのいる凧大会に堂々と出て大空を舞わせることができるという点。他人に自慢するために作ったものじゃなくても、丹精込めて作ったら、誰かに見てもらいたくてそわそわすることありますよね。上手に作って天高く揚がるほどたくさんの方に見てもらえると思えば、ますますがんばって制作できそうです。しかも、「この凧は防水仕様にしたから、水着のキャラを描いちゃおう」なんていう創意工夫も実現できちゃうあたりが自作の強み。読んでいるだけで、「私ならどんな凧にしようかなあ……」と夢を膨らませてしまうほどに熱中してしまいました。
愛情たっぷりの凧ができたら、いよいよ凧揚げです。本には大会に参加された際のレポートが、当日の風の吹き具合や他の凧の様子も交えて書かれています。リアルに参加された最新の2016年情報なので、実際に参加してみたい方にはきっと参考になると思います。
本によると、10月末ごろにはまた凧あげ大会が予定されているとのこと。今から制作してもまだ間に合うかも!? 秋の真っ青な快晴に、大好きなキャラが飛び立つ様子を想像するとわくわくします。痛凧が人生の新しい趣味のひとつになるかもしれませんね!
サークル情報
サークル名:全国痛凧連合
参加予定イベント:「おもしろ同人誌バザール」(有楽町交通会館で10月30日開催)
Webサイト:https://sites.google.com/site/itadakorengou/
pixiv:http://pixiv.me/ita-dako
今週のシャッツキステ
著者紹介
関連記事
- 黒電話っぽいけどダイヤルがない……? レトロかわいい「磁石式電話機」にファンタジー脳が刺激される
こんな面白い電話機があったとは。 - ポスドクたちのリアルな声に共感 研究者を応援する同人誌「月刊ポスドク」
付録の「進捗ラムネ」が気になる。 - 「取ってしまえばどうということはない」 魚屋さんがまとめた寄生虫データが食卓に安心を届けてくれそう
「魚屋が出会う身近な魚の寄生虫」をご紹介。フルカラーで寄生虫の画像が載っているので、苦手な人は注意。 - ノッポさんの直筆メッセージにゴン太くんのエッセイまで 「できるかな」愛の詰まった同人誌がまさに歴史資料
初版は1990年。ゴン太くんの中の人・井村淳さんの死をきっかけに再販が決定したそう。 - 「えっ、名前って誰でも変えられるの?」 改名を経験した著者による同人誌が読み物としても傑作だった
現在、Amazonプライム会員向けに無料配信中。 - 「る」で終わるは序の口? 「しりとりが絶対に強くなる10の方法」でワンランク上の戦いを
今週はサークル「弐人国家」さんの同人誌「しりとりが絶対に強くなる10の方法」をご紹介。 - いまにも動き出しそう 山羊の女の子と鹿の男の子の日常を描いたイラスト集がまるで映画のワンシーン
作者さん「動いているところを想像してみてもらえるとうれしい」。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
【追記あり】夫に「油買ってきて」と頼んだのに、手ぶらで帰宅した理由はまさかの…… とんでもないオチに「やめてww」「久しぶりに大爆笑」
-
1歳息子の“はじめての寝落ち”が140万再生 10歳兄のやさしい行動に「なにこの平和でかわいい世界」「最高に癒やされる」と絶賛の声
-
「予言者いた」「先見の明」 大谷翔平選手&真美子さんの結婚を2021年時点で予言(?)している投稿が発掘され話題に
-
北海道内の移動距離を本州と比較したら…… 感覚がバグるマップ画像に「これが北海道」「大きすぎる」
-
生後1カ月の赤ちゃん「ぼく泣かないもんねっ」 うるうるおめめとへの字口が「はぁ〜たまらん!」「ぐぁぁああああっっ」取り乱すほどかわいい
-
「一番イチャイチャしているように見える」 大谷選手が公開した写真でドジャース山本由伸選手の“手つなぎ”?が話題に 「そっちに目が行く」
-
「妻の服を勝手に着て脱げなくなったムキムキ夫とデカワンコ」に爆笑の嵐 シュールすぎる状況が500万表示突破
-
“おしりが5日で変わる”トレーニング! 「明日からやるか」「1日1回だけなら続けられる」と累計3000万再生突破
-
大好きなボールを100個プレゼントされたときのワンコの表情に「放心ww」「引いてない?」 直視できない姿がSNSで話題
-
赤ちゃんが妙に静かだと思ったら…… 思わぬものへの“真剣モード”に笑顔になる人続出「たれたもちもちほっぺたまらん!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- 昭和時代に“無かった物”が写っている……? 細かすぎて伝わらない「未来から来たことがバレた写真」に6万いいね
- 「マジで汚い」「こんなもんです」 辻希美、“大散乱”のリビングと“新”キッチンの差を公開し共感の声集まる
- 双子の赤ちゃん、姉が全力でくしゃみして…… 被害にあった妹の反応に「生後3ヶ月でドリフのコントw」「めちゃどっちもカワイイ」と絶賛の声
- 「よくも病院に連れてきたな……」とにらむ猫、先生が来た瞬間 驚きの変貌に爆笑の声「これがほんとの猫かぶり」
- 急に片耳がたれたワンコ、慌てて病院にいった結果…… 「こんな可愛い診断結果初めて見たよw」「笑っちゃった」と反響
- 「何羽いる?」一見普通の“草むら”、よく見ると……? 思わず絶叫まちがいなしの1枚に「どっさりいるw」「まさに迷彩!」
- 店員に「この子は懐きませんよ」と言われたチンチラ、家に来て3日後…… 人を信じる姿に「愛が伝わったんですね」
- 元SDN48光上せあら、目を離した隙に……子どもが商品を触り“全買取” 「子連れママに厳しすぎないか?」
- 柴犬を子どものように育てた結果、人間みたいな行動をするようになった 何気ない幸せな日常に「完全に家族の一員」「全部が愛くるしい」
- 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
- パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
- “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
- 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
- 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
- 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
- 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
- “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
- 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
- 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」