「名前しか知らないあの街」に自転車で行ってみる 【我孫子】で河童と文学の香りに思いを馳せる(1/3 ページ)
今回はミニベロで。
我孫子(あびこ)駅ってご存じですか?
千葉、埼玉、東京だとそれなりに知られた名前ですが、他府県の中には「なんて読むの?」って方も多いかも。
千葉県北西部の東葛地域に位置する……って言ってもよく分かんないですね。利根川と手賀沼に挟まれた茨城県との境にある人口約13万人の市……だとイメージつきやすいでしょうか。
江戸時代には水運が栄え、大正から昭和初期にかけて我孫子は「北の鎌倉」と称されることもあったらしいです。後述しますが、かつて志賀直哉、武者小路実篤、柳宗悦、バーナード・リーチなど多くの著名な文化人が居を構えたり別荘を持ったりしたことで、白樺派の拠点となっていたんだとか。
「駅名は知っているけど、訪れたことはない」
そんな街にあえて足を運び、徒然なるままに探索してみる。そんな休日の過ごし方があってもいいと思うのです。旅は道連れ世は情け、全ての街は誰かの地元、きっと愛する人がいる、別れはいろいろあるけれど、会うが別れの始めとは、貴方はなぜなぜ私を捨てた、つらく悲しい街の歌。
それでは出かけてまいりましょう。
中山順司(なかやま・じゅんじ)
ロードバイクをこよなく愛するオッサンブロガー。“徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。freee株式会社勤務&経営ハッカー編集長。ブログ「サイクルガジェット」運営。
ロードバイクが好きすぎる筆者の過去記事
そもそも我孫子駅ってどこにあるの
このへんです↓。
東川口駅からミニベロを積んで武蔵野線に乗り、新松戸駅で常磐線に乗り換えて向かいました。
我孫子って未開の地で、千葉の辺境にあると思ってた……意外に文明あるじゃないですか(失礼)。いやですね、なんでそう思い込んでいたかというと、子どものころは東海地方に住んでて、親戚じゅうから「千葉に我孫子という辺境があってな……東京のそのまた先にある、それはそれは遠いところにある街なのじゃ……その我孫子には●●叔父さんが住んでいるのじゃよ……」と聞かされていたから。そのイメージが大人になった今でも残っていたわけ。
当時の脳内での我孫子のロケーション↓。
ちなみに今回は千葉出身の友人が一緒です。籠原駅編の記事を読ませたら、「俺もそういうのしたい〜〜連れってってよ〜〜ねぇ〜〜」とせがむのでOKしました。それにしてもこんな日帰り旅に行きたいだなんて……奇特だな。
駅から1分も走るとそこはもう手賀沼。
手賀沼とは、千葉県北部、柏市、我孫子市、白井市、印西市にまたがる利根川水系の湖沼で湖沼水質保全特別措置法指定湖沼なんだそうです。江戸時代はウナギもよく捕れたそうな。
掃除しているおじいさんに聞いたら「これは書斎だよ」とのこと。そりゃそうですよね。お屋敷そのものは跡形もなくなっていた。
代表作は「暗夜行路」「和解」「城の崎にて」ですかね(ですかねって、一作も読んだこともないし、あらすじも知らないけど)。
えーーーーっと……、恥を忍んで告白しますが、明治大正昭和初期のいわゆる文豪……夏目漱石、島崎藤村、武者小路実篤、与謝野晶子、石川啄木、正岡子規、森鴎外、谷崎潤一郎、芥川龍之介、川端康成、井伏鱒二……何ひとつ読んだことありません。今も興味ないし、きっと生涯読むことはないと思う。
たぶん、「小説の書き出しを読んで作品名を当てる」って国語のテストで辟易(へきえき)してしまったのが理由だと思う。
こういうのやりませんでした?
Q. 親譲の無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。
↓
A. 『坊っちゃん』夏目漱石
Q. 石炭をば早積み果てつ。中等室の卓のほとりはいと静にて、熾熱燈の光の晴れがましきも徒なり。
↓
A. 『舞姫』森鴎外
Q. 道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思うころ、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい速さでふもとから私を追って来た。
↓
A. 『伊豆の踊子』川端康成
不毛でイミフなテストのせいで、一人の少年が(読みもせずに)日本文学への興味を失ってしまったのです。こういう悲劇を繰り返してはなりません。
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