インタビュー
» 2020年08月04日 20時00分 公開

大人も子どもも悩んでいる“体を触られて嫌だったけど、NOと言いにくい問題” 『おうち性教育はじめます』著者インタビュー

「小さいころ、近所のおばあちゃんがほっぺにチューをしてくるのが嫌だった」

[ねとらぼ]


 子どもの性教育、どうすればいいのか―― これはおそらく育児における難問の1つ。子育て世代のなかにも「自分だって、学校や親からあまり教わった覚えがない」という方が少なくないのでは?

 そんな“教える側の大人さえ性教育を受けていない”という現状を踏まえて制作されたというエッセイマンガ『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』について、著者であるフクチマミさんにインタビューしました。マンガ本編も合わせて掲載します。

マンガ『おうち性教育はじめます 一番やさしい!防犯・SEX・命の伝え方』とは?

 自分の子どもに対して「赤ちゃんがどうやって生まれるのか」「性犯罪からどうやって身を守ればいいのか」「なぜお母さんは立っておしっこしないのか」、どうやって説明しますか?

 こういった場面で現れる“子どもに対して性の話をする抵抗感”と向き合うところから本作りが始まったという『おうち性教育はじめます』。著者は2児の母として性教育に取り組んできたというマンガイラストレーター・フクチマミさんと、元高校教員(保健体育)で長年性教育に携わってきた村瀬幸浩さん。

 性教育が持っている「思春期に、“性交や妊娠出産”などについて“あの気まずい雰囲気”の中で教えるもの」というイメージに反して、本書は「幼児期から、性交や妊娠出産に限らず“自他を大切にするための考え方”について“家庭での日々の会話”で教えよう」と提案。これから性教育を受ける子どもだけでなく、これまでにあまり性教育を受けてこなかった大人にもヒントを与える作品となっています。

著者プロフィール:フクチマミ(Twitter:@fukuchi_mami/Webサイト:フクチマミのイラストレーション

マンガイラストレーター。日常生活で感じる難しいことを分かりやすく伝えるコミックエッセイを多数刊行。著書に高橋基治氏と共著の『マンガでおさらい中学英語』(KADOKAWA)ほか、『マンガで読む 育児のお悩み解決BOOK』(主婦の友社)、『マンガで読む 子育てのお金まるっとBOOK』(新潮社)などがある。

著者プロフィール:村瀬幸浩

東京教育大学(現筑波大)卒業後、私立和光高等学校保健体育科教諭として25年間勤務。この間総合学習として「人間と性」を担当。1989年同校退職後、25年間一橋大学、津田塾大学等でセクソロジーを講義した。現在一般社団法人“人間と性”教育研究協議会会員、同会編集による『季刊セクシュアリティ』誌編集委員、日本思春期学会名誉会員。


第4話 防犯のために知っておきたい「NO・GO・TELL」











その他の一部エピソード、購入先などはWebマンガ誌「コミックエッセイ劇場」に掲載されています


「子どもだって、やめてほしいことにNOと言う権利がある」

―― 前回の記事では「プライベートパーツ(口・胸・性器・お尻)は他人に勝手に触らせたり、触ったりしていけない」というお話が。では、それ以外の頭や足といった他の部分はどうでしょうか?

フクチマミさん(以下フクチ):他人の体に触るのは、部位に限らず難しい問題です。そもそも体全体がその人のもので尊重しなければならなくて、プライベートパーツは“その中でも特に”という場所。

 本企画第2回の記事でも少し触れましたが、作中では「小さいころ、近所のおばあちゃんがほっぺにチューをしてくるのが嫌だった」という体験談を紹介しています。この方は、子どもながらに気を遣って嫌と言えなかったそうですね。

―― そういうときの何となく拒絶しにくい雰囲気はありますよね。私も2歳の子どもを連れて外出すると、全く知らない人がベタベタ触ってくることがあって。正直、戸惑うときも……

フクチ:ええ。うちは子どもが恥ずかしがり屋だったんですが、触られるのを嫌がると悪態をついてくる人もいて困りました。「どうしてこの子は愛想よくニコニコできないんだろう」と、子どもを責める方向にエネルギーが行ってしまうこともありましたね。

 でも、子どもだって、やめてほしいことにNOと言う権利があるんですよ。これは大人も学ぶべき点だと思います。相手の気持ちをきちんと受け止めて、意見の違いを認められる成熟した人間でありたいものです。

『おうち性教育』担当編集者(息子5歳がいる):その考え方を知ったとき、いち母親として「親にとってもメリットがあるのでは」と思いましたね。

 そういう場面で子どもの行動を他人から否定されても、親は「自分が嫌だと思う感情を、ちゃんと表現できる子なんだな」と肯定してあげれるというか。こういう性教育の発想が育児の後ろ盾になってくれるんじゃないか、と思いました。

大人にもある“体を触られて嫌だったけど、NOと言いにくい問題”

―― ところで、「体を触られて嫌な思いをする」というのは、大人同士でもよくあることですよね

フクチ:私はあるとき、不意に肩をパンと触られたり、肩をもまれたりしてすごく不快に感じたことがあります。相手が同性でしたし「好意を示してくれているのかな」と思うと、嫌だと言いにくかったんですが。

 親しい相手ならそういうことをされても平気なんですけど、ほとんど話したことがないような相手だと……。似たところだと、関係性ができていない人に頭をポンとされるのも苦手ですね。

 ただ、私も親しくなりたい相手には、ついボディータッチを多めにしてしまうことがあって。性教育について学ぶようになってから、反省しました。

―― 距離感を縮めるためのボディータッチ。ちまたにあふれる“モテテク”にも、そういうところがありますよね。

フクチ:そうなんですよ。他人との境界線を無視して、ムリヤリ距離を詰める行為になってしまうなら、良くないことですよね。

 もっと言うと、仮に付き合っていたとしても段階があって。性別を問わず、何となく「付き合っているなら性交は当たり前」のような義務感があると思うのですが、それもどうなんでしょう。関係性というのは、相手と一緒に築き上げていくものなんじゃないかな、と。

(続く)

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