「月50万使う太客には“獲りやすく”アシスト」「裏側を見たら絶対プレイしない」 元従業員が語るオンラインクレーンゲームの闇と法の未整備(2/4 ページ)

» 2021年01月04日 12時00分 公開
[Kikkaねとらぼ]

――遠隔操作での不正については心当たりがありませんか。

Aさんねとらぼさんが記事化していたところを含めて、他社のオンクレが「遠隔操作しているらしい」という黒いうわさはよく聞きましたね。しかし遠隔操作をするためには、すべての筐体と管制をつなぐ必要があり、設備にものすごくお金がかかりますし、私が勤務していたころは古めの筐体がメインで稼働していましたから、遠隔操作というのはできませんでした。

 しかしゲームセンターでもおなじみの「連続プレイ中の何回目にアームパワーが強くなる」といった設定ができる筐体、通称「確率機」を導入したときには、もちろん「30回目にアームパワーが入る」とか、そういう設定をしていましたよ。この30回目というのは、単純に回数の場合もありますし、同一プレイヤーが30回連続でプレイした場合(コンティニューを繰り返したらパワーが入る)というのもあります。

「景品が足りなくなってメルカリで購入」

――Aさんはバイトリーダーとして勤務されていたとのことですが、筐体の設定なども担当されていたのでしょうか。

Aさんはい、やっていました。新しい設定を思いつくと格安のプレイ料金で台解放を行うんです。それで数百回稼働したのを確認してから原価率を計算し、うまくいっていれば正式稼働という形で通常景品などを投入します。

 もちろん自分でもプレイして獲れるかどうかを確認するんですが、設定を考えた本人というのは、攻略法を分かった状態でプレイしますから、お客さまを使ってテストプレイを行うのが最も効果的なんです。またお客さま自身も安い金額でお菓子などの景品を獲得できるかもしれませんし、楽しんでいただけていたと思います。あくまでも「獲らせないようにする設定」ではなく、「獲るまでの過程が楽しい設定」を作るように心掛けていました。

――他のオンクレでは獲得景品の配送遅延が大きな問題になっていますが、Aさんの勤務先ではどうでしたか。

Aさん景品を獲得されたお客さまから発送依頼がきたら、基本的には当日中に送るようになっていましたから、手元には2〜3日以内に届いていたと思います。しかし、配送前に「景品の箱がつぶれていた」とか「在庫がなくなっていた」など、景品に関する不備が発覚した場合には、お客さまにご連絡したうえで少しお時間をいただいていました。

 そうなった場合は正規ルートで景品を作っているメーカーさんに新しい景品を送ってもらうように依頼するのですが、どうしても手に入らないときは、ネットオークションやメルカリで景品を購入してから、お客さまにお送りしていました

――一度は人手に渡った中古品を新品景品と偽って発送するということですね。だからフリマサイトで「同一景品10個セット」などの変わった出品物が売り切れていたり、「届いた景品がどうみても開封済みだった」という報告があったりするのでしょうか。

Aさんおそらくはそうです。他のオンクレでもそういうことをやっているところは少なくないと思います。

――筐体の不具合が発生したときには、補償等していましたか。

Aさん不具合にはかなりていねいに対応していました。例えばボタンを押しているのに動かない、アームが下りない、お客さまがボタンを離してから筐体のクレーンが止まるまでにタイムラグがありすぎる。そういう場合は基本的にポイントの返還を申し出ていました。

 大体は管制でそういった不具合を見つけることができていたので、お客様から連絡が来る前にこちらからお詫びの連絡を入れるという形で、とにかくクレームを最小限にしようという意識がありましたね。お客さまとしても「ポイントが返ってきたんだからまあいいか」となりますし、トラブル対応は本当に時間が取られるので、なるべく避けたいという運営会社側の意向もあったと思います。

――いろいろとお話をうかがってきましたが、Aさんはオンクレの問題点はどこだと思いますか。

Aさん法の整備が追い付いていない、規制をすり抜けているということに尽きると思います。リアルのゲームセンターでは風営法の関係で基本的に「景品は1つ800円以下のものにしましょう」ということが暗黙のルールとして決められています。しかし私が勤務していたころは、何万円もするゲーム機や家電、ブランド品、超高額商品が目玉景品でした。また普通のゲームセンターは24時間営業できないのに、なぜかオンクレは24時間年中無休でプレイできてしまうんです。

 こうした状況について運営は「オンクレは風営法の対象外だから」という認識でしたから、次々に高額商品を景品投入し、釣られたお客様が月に100万以上のプレイ代金を支払ったケースや親のクレジットカードでプレイ代金を課金しまくって問題になったお子さんもいらっしゃいました。こういった状況はもはやゲームの域を超えたギャンブルですよ。

 社員が長時間働いているところなども見て、会社のブラック運営に不安を感じた私はオンクレ業界から離れましたが、裏側を見た自分は絶対プレイしないですし、オンクレが適正に規制され、被害者が減ることを強く願っています


 続いてお話をうかがったのは、Aさんとは別のオンクレ運営で勤務していたBさんです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」