税務署に行かなくても確定申告できるなら、その方が楽ですしリスクも減るという話

緊急事態宣言の延長を受け確定申告の期限が1カ月ほど延長されました。

» 2021年02月03日 12時15分 公開
[さんきゅう倉田ねとらぼ]

 確定申告の季節がやってきました(2週間ぶり2回目)。

 毎年2月16日〜3月15日までと決まっていますが、緊急事態宣言の延長を受け国税庁は、確定申告の期限を1カ月延長すると発表しました。4月15日までに延長し、来署者を分散し、申告会場の混雑を回避する狙いです。税務署に行かないで済むならそれにこしたことはありませんが、だったらどうすればいいんだ、確定申告のためにリスクを冒せるかと考える方もいると思います。

 そんなときには、やはりe-Taxです。町中の看板やインターネット上の広告でその言葉を目にしたことがあっても、意味はよく分かっていない方が大勢いると思います。

 ぼくだって、東京国税局在職中は、e-Taxの定義を理解していませんでした。昔からある紙での申告ではなく、インターネットを用いて確定申告をするのがe-Taxだと思っていただくと良いと思います。

 さて、今回は、税務署での確定申告と自宅からe-Taxでの確定申告の違いをまとめました。

さんきゅう倉田

大学卒業後、国税専門官試験を受けて東京国税局に入庁。法人税の調査などを行ったのち同退職、芸人となる。芸人活動の傍ら、執筆や講演で生計を立てる。好きな言葉は「増税」。公式サイトTwitter


おもな準備(会社員の場合を想定しています)

共通

勤務先からもらった源泉徴収票(提出は不要になりましたが、必ず見ながら申告します)

副業などの収入がわかるもの

配偶者控除や扶養控除を受けるのなら、その人たちの年収がわかるものと生年月日がわかるもの

控除関係書類

  • 医療費の領収証を整理して合計して作成した明細書
  • 生命保険料控除証明書
  • ふるさと納税の領収証
  • 住宅ローン控除のための書類一式
確定申告 医療費控除の明細書

税務署の場合の準備

  • 以前に税務署で確定申告をしたことがある場合は、そのとき発行されたID・パスワード
  • ない場合は、本人確認書類
  • 印鑑(ただし、押印しなくても何も言われなくなりました)
  • 整理券(事前にLINEで取得できます)
  • 管轄の税務署に行けばよいのか、申告書作成会場に行けばよいのか調べる(都心では、複数の税務署が合同で申告書作成会場を設置している場合が多く、その場合管轄の税務署では提出しか行えません)
確定申告 LINEで整理券を取得

e-Taxの場合の準備

  • マイナンバーカード(※通知カードではできません)
  • マイナンバーカードを読み取るカードリーダライタ(※Amazonなどで買うか、Androidや7以降のiPhoneで読み取りが可能です)
  • 申告するためのパソコンやタブレット、スマートフォン
※ID・パスワードを持っている場合は、マイナンバーカードやカードリーダライタがなくてもe-Taxが利用できます

所要時間

税務署に行く場合の所要時間

行く(30分)

並ぶ(30分〜90分)

申告書を作成する(40分〜2時間)

e-Taxの場合の所要時間

申告書を作成する(1時間〜2時間)

分からないことがあった場合

税務署に行く場合

手を挙げて、ジャンパーを着た職員さんが来るのを待つ

e-Taxの場合

国税庁のHP(なんでも載っているが、慣れないと調べるのが難しい)

チャットボット(国税庁が作ったAIにチャットで質問できるサービス)

国税電話相談センターに電話(職員や税理士さんが対応してくれる)

還付金について

 多くの会社員の方が、還付金のために確定申告を行うと思います。通常であれば、3週間から5週間程度で還付されますが、e-Taxで申告をした場合は、もう少し還付の処理が早いとされていました。2021年の取扱いがどうなるのか分かりませんが、e-Taxでの申告のほうが還付金の処理が遅いということは考えられないので、お急ぎの方はe-Taxをご利用ください。

 確定申告期間が始まる前でも、確定申告を行うことができます。その場合も、管轄の税務署に行くかe-Taxをご利用ください。可能ならば、密をつくらないという観点からも、税務署のコストを下げるという観点からも、e-Taxをご利用いただきたいです。

 なお、確定申告期間を過ぎた場合は、加算税や延滞税の対象となることがありますので、ご注意ください。

 あまりいないと思うんですが、自宅から紙で申告するという方は前年の申告書の控えを見ながら頑張ると思うので、前年からの変更点が分かる下記の画像を御覧ください。

確定申告確定申告 今年の確定申告書から「雑所得」が「公的年金の雑所得」「業務性のある雑所得」「それ以外の雑所得」に細分化されていたりします

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