2020年初頭、フランスでは何が起こっていたのか? ある1人の留学生が漫画でつづる「新型コロナ」感染拡大の記憶(2/2 ページ)

» 2021年02月19日 20時30分 公開
[SONOねとらぼ]
前のページへ 1|2       

史料調査のためスイスへ

コロナ 帰国日記

 2月のバカンス(ヨーロッパでは次々に長期休暇があり、その合間に授業がある)でどこに旅行するかということが、友達同士で話題に上がりつつあった頃。2月26日に、在リヨン領事館から注意喚起メールが届きました。ヨーロッパで、特にイタリアを中心に流行が本格化し始めたのです。

 これを皮切りに、次々と日本の指導教授からのフランス調査旅行中止の連絡や、安否確認、情勢を心配するメールが届きます。日本でも学会などが軒並み中止されつつあった時期でした。

 そんな中迎えた、2月29日〜3月8日のバカンス。かなりの人の移動が見込まれるため、非常に悩みましたが、私も史料調査のためスイスへ行くことにしました。スイス(ジュネーヴ)にはWHO本部があり、さらにEU加盟国ではないことも相まって、国境も早めに封鎖される可能性があると考えたからです。また、今行っておかないともうしばらく行けなくなるかも! という焦りもありました。

 結局、私のこの予想は外れました。スイスどころかヨーロッパ全体の一斉国境封鎖という、はるかに大変な事態が、この数週間後に起こったのです。

コロナ 帰国日記

 スイスで宿泊したBNB(民泊)では、リビングのテレビでもずっとコロナ関連のニュースが流れ、あらためて状況の緊迫を感じました。でも、BNBの管理人のマダムは、全くためらわずにビズ(頬を合わせるあいさつのキス)をしてくれました。「フランスでは両頬に2回だけど、スイスでは3回するのよ!」と教えてくれつつ……。

 その他、一緒に泊まっていた他のゲストや、図書館の職員さん、駅の酔っぱらいすらも優しく、おかげで無事に調査旅行を終えることができた私は、リヨンへの帰途につきました。「コロナが収まったらまた来たいな〜!」なんて能天気なことを考えながら……。

 状況が急変したのは、このバカンスから帰った直後でした。外務省が設定する感染症危険レベルが引き上げられ、大学が休講となり、留学生は次々と帰国。ついには、外出制限措置が取られる事態に発展します。

 今思えば、私と同じように「理論的に」「大丈夫」と判断し、多くの人がバカンス旅行に出かけた結果、大流行が引き起こされたのかもしれません。人間の心理には、危険や異常を小さく見積もり、日常の延長を生きようとする「正常性バイアス」が備わっています。楽観的な考え方が良い結果をもたらすこともありますが、欧州のコロナ大流行においては、むしろ大きなマイナスに働いたようです。

第2回に続く

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/01/news016.jpg 消波ブロックの隙間にカニカゴを仕掛けたら…… 「うそでしょ!」“想像を絶する結果”に大興奮「見てて声出た」
  2. /nl/articles/2501/31/news050.jpg 「許されると思ってんの?」 スマホのアラームを設定→翌朝…… “絶望の通知内容”が430万表示 「ほんとこれ」
  3. /nl/articles/2502/02/news005.jpg 「正直破格です」 成城石井の元店長が辞めてからも買い続ける“名品”がリピ必至 「ヨダレが出そう」
  4. /nl/articles/2501/31/news013.jpg これは“1秒”で解きたい! 「8×2×0÷4」の答えは? 【算数クイズ】
  5. /nl/articles/2502/01/news047.jpg 【編み物】彼氏のために、緑と黄緑の毛糸を正方形に編んでつなげると…… 圧巻のおしゃれな大作完成に「息をのむほどすばらしいよ」
  6. /nl/articles/2502/02/news069.jpg 「レベル間違えてる」 イオンの“1944円恵方巻”、衝撃ビジュアルにネット大騒然 「なにこれ」「本気かよ」
  7. /nl/articles/2502/02/news038.jpg 100均ビーズをどんどんテグスに通していくと…… うっとり見入る完成品に世界が注目「これは傑作」「どれも可愛いいい!」
  8. /nl/articles/2502/02/news003.jpg 「こんなお母さんになりたい」 北海道で暮らす67歳女性の“手作り料理”がすてき 「参考にしたい」「ぱぱっと作ってみな美味しそう」
  9. /nl/articles/2502/02/news027.jpg 「この子はきっと豆柴サイズ」と言われた子柴犬、4年後の姿が大きな話題に…… それから約1年たった“現在の様子”を聞いた
  10. /nl/articles/2501/30/news003.jpg 親の反対を押し切り、17歳で同棲を開始→それから13年後…… 若くしてママとなった女性の“現在”が話題
先週の総合アクセスTOP10
  1. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  2. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  3. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
  4. スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  5. 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  8. 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  9. 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
  10. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議