阪急電車の「マルーンカラー」はなぜいつもきれいなの? 竣工50周年の平井車庫で「知られざる裏側」体験してきた(2/3 ページ)
いつもピカピカ! 「いつもきれい」って実はとても大変なこと
日本の鉄道は「きれい」なのも誇るべきところですよね。
阪急電車ももちろんそう。特に目を引くのは車体の美しさ。「マルーンカラー」で親しまれる小豆色に近いシックな色の車体は、風景が映り込むくらいいつもピカピカです。
洗車は週に1回以上。「車体色が濃いめなので、ホコリや汚れが目立ってしまいやすいんですよ」とのこと。1週間たっていなくても、降雨で汚れたり、目立つ汚れを確認したならば洗車線へ。正面や連結間など、ブラシが届きにくいところや細かいところは人の手で。こうしていつもピカピカを保っています。
車内は「毎日」清掃です。シートも手すりも吊り手も、10人ほどのチームを組んで念入りに清掃します。
阪急電鉄は古い車体もまだたくさん活躍していますが、古さが気にならないのは日々行われる丁寧なメンテンナンスのおかげといえるでしょう。
運行50周年、沿線ユーザーおなじみの電車「5100系」も元気なわけ
2021年現在、宝塚線を走る車両で最も古いのが「5100系電車」(1968〜69年製造)。こちらも平井車庫と同じく運行50年を迎えた、沿線ユーザーにはおなじみの電車です。
パッと見で「ナントカ系だ」と分かる鉄道ファンはさておき、一般ユーザー目線では、現行型の「2代目1000系電車」(2013年製造開始)と比べても過度に古くは見えません。これは形と色、箱型の通勤電車であり、特徴的な阪急電車の「マルーンカラー」で統一されているのが大きいとは思います。でも、古いからといって乗客が不便を感じることはありません。
長期活躍の理由は、いろいろなところを少しずつ変えながら運行の効率化や乗客の需要に適応しているからといいます。例えば表示器。当初5100系に車外表示器はなく、行き先を書いた板(サボ)を人力で掛け替える方式でした。
JRの列車にはないけれど、阪急や東急などの一部私鉄の列車にはある「標識灯」(関連記事)も、当初は上部に1つずつ、左右に2つ付いているだけでした。白いライトに「赤いアクリル板」を重ねて、「白」と「赤」を光り分けていたそうです。アナログ感がなんだか心地いいですね。
車体のマルーンカラーも、昔は今よりややくすんだ色だったのだそうです。塗料の進化によって現在の、より鮮やかな色合いになりました。
同じに見える車両も、時代や需要に合わせて少しずつ変わっていました。
そんな5100系は2021年11月現在、50周年記念の特別ヘッドマークを掲出して走っています。運転席の後ろにも記念プレートが掲出されているそうです。5100系をちょっと意識して見ると当時のレトロな部分も意外と残っていて面白いんです。ヘッドマークと併せて、ぜひ5100系も愛でてみてくださいね。
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