「ONE PIECE FILM RED」が賛否両論を呼ぶ理由 ウタが実現した「新時代」とは? 深い物語をネタバレありで考察(1/3 ページ)
「オマツリ男爵」にも近い、悲しく恐ろしい物語だった。
「ONE PIECE FILM RED」が公開から10日間で観客動員数500万人、興行収入70億円を突破するという、シリーズ歴代最高の超大ヒットを遂げている。
しかしながら、その評価はかなり割れている。8月中旬現在、ファン向けの映画が高評価を得やすい傾向のあるFilmarksでは3.8点と好評だが、映画.comでは3.0点、Yahoo!映画では3.4点。点数の分布をみてもバラバラで、まさに賛否両論だ。
賛否両論の理由としては、今回の中心キャラクターである「ウタ」の歌唱を、若者を中心に絶大な人気を博している歌手のAdoが担当しており(声の演技は声優の名塚佳織)、その歌唱シーンが「多すぎ」という意見もよく見かける。個人的にはそれぞれの楽曲は1コーラスで終わっているし良いバランスだったと思うのだが、ファンの多い作品でここまで「音楽」をフィーチャーしたこと自体に評価が分かれることは納得できる。
だが、筆者としては、それ以上に「思っていた映画と違う」ことが評価に少なからず影響しており、劇場版『ワンピース』シリーズの中でも異色の作品となっていることも大きいと思うのだ。その具体的な理由を、本編のネタバレを含む考察と共に記していこう。
※以下「ONE PIECE FILM RED」の結末を含むネタバレに触れています。観賞後にお読みください。
「オマツリ男爵」に近い理由
今回のゲストキャラクターであるウタは「歌でみんなを幸せにする」ことを信条とする、世界中から愛される歌姫に初めは思えた……が、実際の彼女は麦わらの一味はもちろん自身のファンも強制的に自身の夢の中に閉じ込めてしまい、戦争やいじめがない楽園のような場所にずっといればいいという、表面的には魅力的だが、一方的な幸せを「押し付け」ていた。
より端的に言えば、味方だと思っていた者がはっきり「闇落ち」をしてしまう上に、時にはゾッとするような笑みを浮かべながら攻撃もしてくる、はっきりと「怖い」映画にもなっているのだ。そのため、「ワンピース」のファンからも賛否両論が激しく、ホラー的な内容かつつらく苦しい戦いが描かれる、2005年の細田守監督作「ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」に近い印象もある。
「ONE PIECE FILM RED」のウタと、「オマツリ男爵と秘密の島」のオマツリ男爵は、(後述する)悲しい過去を持ち、訪れた者たちを「罠」と言ってもいい方法で閉じ込め、自分の目的を達成するためには他者を巻き込むのも厭わないという点でも似ている。表向きには明るく見えたウタというキャラクターに、ここまでの「業」を背負わせたこと、その印象が予告編からはっきりと逆転することに、悪い意味で居心地の悪さを覚えた方もいるのではないだろうか。
「海賊」という根幹の要素にも斬り込む
さらに、本作は「ワンピース」という作品の根幹にある「海賊」という要素にも斬り込んでいる。原作の第1話の1ページ目から言及されている「世は大海賊時代」という言葉を冒頭に提示しながらも、海賊が略奪を行っており、それにより苦しめられた市井の人々(しかも子ども)の声をはっきりと聞かせる。そして、ウタはルフィに対して「海賊なんてやめなよ」と真っ向から否定する。
「ワンピース」という作品内では、ルフィたち麦わらの一味は(海軍から追われる賞金首とはいえ)正義の味方のようにも描かれているが、現実の海賊のほとんどはまさに略奪を行う悪逆的な存在だ。後述する「真実」を知る前のウタも、シャンクスの裏切りから海賊を嫌悪し、また海賊が自分のファンを苦しめていると考えていた。
コンテンツの主たる要素への否定的な言及は、まるで「ポケモンバトル」の悲しく苦しい側面を描いた「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」(1999)や、それまでヒロイックな活躍が描かれた怪獣への憎しみを持つ少女の心情を描いた「ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒」(1999)を連想するほどだった。それもまた「ワンピース」のファンこそが居心地の悪さを感じる、賛否両論の理由に少なからずなっているのではないか。
「死にたい」ではなく「逃げたい」「救われたい」
さらなる衝撃は、そのウタの過去にあった。幼い頃のウタは、実の父親のように慕っていたシャンクスに裏切られたと思い込んでおり、だからこそ海賊への憤りを募らせていた。しかし、大人になったウタは自身の能力が島の人たちをあやめたことを、そしてシャンクスがその罪を被っていた真実を知るのである。
はっきりとウタは、自分自身が大量虐殺者であることを悟り絶望していた。そして、来場者プレゼント第1弾「四十億巻」掲載の、総合プロデューサーを務めた尾田栄一郎による「ウタの来歴」には興味深い記述がある。ウタの心情について、「死にたい」という言葉に大きく×がつけられていて、そうではなく「逃げたい」「救われたい」という気持ちであると強調されている。
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高尚な純文学的コメディドラマだった。
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