誰もが知るおとぎ話が「めでたし」となったその後は……? 「童話のアフターストーリー」を描いたマンガに「刺さりまくりました……」「最高に好み」(1/2 ページ)
おとぎの国で役目を終えたモノを引き取る、とある兄弟の廃品回収物語。
誰もが知るおとぎ話が「めでたし」となったその後――おとぎの国の労働者(廃品回収業者)の視点から描かれるマンガ『アフターメルヘン』がX(旧Twitter)で話題を呼んでいます。作者・田島生野さん(@ikunoTJTJ)の投稿は記事執筆時点で800万件に届く表示回数となり、美しく幸せなだけでない、ときに醜悪で残酷な物語への注目が集まっています。
本記事では、作者・田島生野さんへのインタビューと併せて、マンガ本編を掲載します。
『アフターメルヘン』作品紹介
物語は、おとぎの国で廃品回収をなりわいとする兄・ヤコブと弟・ヴィルヘルムの兄弟が、今日も依頼主のもとに廃品回収へ向かう場面から始まります。
おとぎの国の廃品回収業者という少し変わった役割ですが、この仕事に長く従事してきた兄は、依頼主からの信頼も厚いベテラン。その涼しげな表情とテキパキと仕事をこなす姿は、新人として同業に就くことになった弟からも尊敬のまなざしを向けられています。
そんな2人が向かうのは白雪姫の居城。誰もが知るおとぎ話の白雪姫は、毒リンゴの眠りから覚め、王子と結ばれて15年。今は王妃となり、一人娘にも恵まれ幸せに暮らしているようです。
王城に到着し、奥の間に案内される道中、1人で何かを見つめている女の子が兄弟の目にとまります。それこそが白雪姫の一人娘、マルガレータ。彼女が見つめていたのは、クモの巣に引っ掛かってもがいているチョウ。助けても無駄だとしながらも、かわいそうで醜くて残酷なその光景になぜか見入ってしまうマルガレータなのでした。
マルガレータとヴィルヘルムが歓談している間に、兄は白雪と対面。変わらない美ぼうや柔和な表情、美容のために筋トレも始めたと朗らかに語る姿、幸せそうな白雪ですが、娘の話になると途端に表情を曇らせます。
白雪が回収を依頼したのは、魔法の鏡。一見すると状態は悪くないものの、白雪は「壊れてしまっている」と強調。鏡があると、「お母さまと同じになってしまう」のだと不穏な内容も口にし、白雪の心をむしばむ何かがあることが示唆されます。
結果、魔法の鏡を回収し、帰路へつく兄弟。世界一の美女(白雪)に会えなかったと残念がるヴィルヘルムに、「お前、もう会ってるぞ」と言葉少なに答えるヤコブ。ここでようやく、「世界で一番美しいのは、マルガレータ」だと魔法の鏡が答えていたことが判明し、それがかつて白雪の母がたどった道と同じであること、だからこそ白雪が娘につらく当たること、魔法の鏡が“壊れている”から手放すことで心の安定を図りたいことなど、物語の輪郭がはっきりと見えてきます。
誰もが知るおとぎ話が「めでたし」となったその後、すなわち作品タイトルの通り“アフターメルヘン”。ヤコブが劇中でヴィルヘルムに説いて聞かせる「美しいだけじゃ物語は始まらない」「憎悪や嫉妬、醜悪なものが美しいものを磨き上げる」「だからこそ残酷なものは可哀想だけど心惹かれる」という言葉は、美しく幸せなだけでない、ときに醜悪で残酷な物語が描かれる同作のテーマを言い表しているかのようです。
『アフターメルヘン』作者・田島生野さんインタビュー
――― さまざまな童話をテーマにした本作。制作のきっかけ、このテーマで描きたかった理由などがあればお聞きしたいです。
元々童話モチーフが好きでしたし、自分のアナログの画風とおとぎの国は親和性も高いだろうと思っていたので、いつか描きたいテーマでした。
童話について考えていた時、「子どもの頃だからこそ流していたものの、大人になった今童話を読んでいて感じる、“よく考えたらこの展開おかしくないか?”というツッコミどころや引っかかりに焦点を当てて、そこを掘り下げていったら面白いのではないか?」と思ったのが本作制作のきっかけです。
また、童話と別の何か異色なものをぶつけてみたいという思いがあり、当時新卒で、新人研修中の寮で考えていたせいもあるかもしれませんが、私の思う童話のイメージ(自由、綺麗、優しい……)と対極にあったのが、「労働」でした。そこから、おとぎの国の労働者(廃品回収業者)の設定が生まれました。
――― 制作でこだわっているポイントは?
ストーリーを作る上でのこだわりは、読者の方に「納得感」を抱いてもらいたいということです。
数百年世界中で愛され続けている童話の設定を借りて描く以上、読み手にとって「イメージと違う」「こんなのグリム童話じゃない」と思われてしまうこともあるかもしれません。その拒否感を少しでも減らしたくて、モチーフの童話のさまざまな訳、関連書籍を読み込み、「童話のアフターストーリー」を描くにあたり、できるだけ原作から無理のない展開で、読み手に「なるほど、こういう原作がある上で、こういうアフターなのね」と少しでも納得していただけるといいなと思いストーリーを組み立てています。
――― うれしかった読者からの反応・感想などありましたら、お教えいただけますと幸いです
「面白かった」や「好き」というシンプルなご意見が一番うれしいです。
あとは、前作『ヴィクトリアの電気棺』を覚えていてくださって、今作も興味を持っていただけたのがうれしかったです。
でも、いただけた感想でしたら何でもうれしいです!
――― 読者へのメッセージをお願いします
世の中にたくさんの素晴らしい作品がある中から本作を見つけていただき、読んでいただき、好きと言っていただき本当にありがとうございます。
上下巻ということもあり、連載はもう半分以上進んでおりますが、最後まで楽しんでいただけるように今後も誠心誠意作品制作に取り組んで参ります!
おとぎの国のその後の物語、兄弟の行く末など、最後まで見守っていただけるとうれしいです……!
(C)田島生野/イースト・プレス
関連記事
- 最愛の人が残した臓器を巡る即席親子のロードムービーマンガが切ない 「読後の余韻が凄い」「つらいけどよかった」
先日完結した高村秀路さんのマンガ『うらうらひかる 津々に満つ』。とてもいい……。 - 事故死した御曹司がたどり着いた“最後の晩餐”を振る舞うお店 異色のグルメマンガ『冥天レストラン』が笑えて泣けておいしそうな大盛りストーリー
グルメ×ファンタジー×ヒューマンドラマな、コメディータッチのマンガ。 - 【マンガ】斬った人間の記憶が見える少年、“自分の師匠”を処刑して見た光景とは…… 『竜送りのイサギ』が和風ファンタジーな世界観の良作
「サンデーうぇぶり」で好評を博す和風ファンタジー。 - 過労死したOLが神に願った力とは…… “人間以外の生物に好かれる能力を持つ女の子”の異世界転生マンガが癒やされるかわいさ
もふもふ。 - 弱音を吐けない限界OLが泣いた“女子大生の一言” ダメなところを認めてもらえるうれしさを描いたマンガに「癒やされた」「人間の面白さが詰まってる」
分かる……。 - 誰からも愛されない“できない自分”の物語 マンガ『だめっ子みーちゃん』に「胸がギュッと締め付けられた」「考えさせられる」とネット上で反響
読むと心に突き刺さる読み切りマンガ。 - 事故死した息子夫婦のカフェを「オラたちでやるべな」 老夫婦の第二の人生を描いたマンガに「号泣」「親の声を聞きたくなった」と感動の嵐
2010年、文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品になった『かへ』。 - “遊女の子どもの霊”を母のもとに連れて行くと…… 遊廓を舞台にさまざまな人間模様を描くマンガ『あおのたつき』が泣ける
浮世と冥土のはざまにある「鎮守の社」に迷い込んだ遊女を主人公とするストーリー。 - 絶滅危惧種になった人間の少女の結婚に、幼馴染のキメラ族は…… SNSで名作と話題のファンタジー漫画『リストルージュ』が切ない
「いろいろな人に読んでほしい!」「世界観も絵も表現も全て好き」の声。 - 最後の1ページでまさかのどんでん返し 異世界転生モノの流行を逆手に取ったマンガ『最強勇者パーティーは愛が知りたい』に「そうきたかァ〜」「最高の流れ」の声
一度読んでみてほしい話題作。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
-
「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
-
60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
-
「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
-
皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
-
真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
-
71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
-
新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
-
家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
-
ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
-
「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
- 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
- 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
- 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
- セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」