最愛の人が残した臓器を巡る即席親子のロードムービーマンガが切ない 「読後の余韻が凄い」「つらいけどよかった」(1/2 ページ)
先日完結した高村秀路さんのマンガ『うらうらひかる 津々に満つ』。とてもいい……。
最愛の人が遺したのは、臓器と自分の子どもでした――X(旧Twitter)で公開された高村秀路さん(@takamurahideji)のマンガ『うらうらひかる 津々に満つ』に、「読後の余韻が凄い」「つらいけどよかった」「読めて良かったと思える作品」などの反響が寄せられています。
2月14日にコミックス2巻が刊行され完結した同作。本記事では、高村秀路さんへのインタビューと併せて、マンガ本編を掲載します。
『うらうらひかる 津々に満つ』作品紹介
物語は、居酒屋で女性にプロポーズする一組の若い男女の姿から始まります。
全財産が入った預金通帳を突きつけ、結婚を申し込む圭祐。勇気を振り絞ったプロポーズに「馬鹿じゃないの」と冷たそうな言葉を口にする千津子ですが、すぐさま「全財産って」「普通指輪でしょ」とデレる千津子に圭祐はあらためていとおしさを感じるとともに、2人のステキな結婚生活を思い描くのでした――。
しかし、そんな甘い時間は圭祐にやって来ません。時は流れ、圭祐はごみで埋め尽くされたような汚部屋で暮らし、昼間から酒をかっ食らうような独り身のすさんだ生活を送っていました。
その様子からは、千津子に会いたくても会えない事情があるようですが、別れても千津子のために毎月預金口座へ入金し続けているもよう。そんな中、圭祐は千津子と自分の子だという少年・航士に出会います。
10歳だという航士の存在を驚きつつも喜ぶ圭祐ですが、同時に、千津子が1年前に亡くなったことが航士の口から明かされます。もはや二度と会うこともかなわないと悟った圭祐は茫然自失。悲しみに打ちひしがれてしまいます。
そんな圭祐に航士が明かしたのは、千津子が生前、臓器提供の意思表示を行っており、死後に肺、角膜、肝臓、腎臓、心臓が移植されたこと。航士は、移植を受けたレシピエントに会うことで、母がまだどこかにいることを確かめたいという願望を明かし、移動費として口座のお金を使わせてほしいと申し出るのでした。
道中に同行し、移植を受けたレシピエントの下を訪れ、千津子の面影と幸せだった日々を思い出す圭祐。しかし、一方の航士は何か胸に秘めている思いが、レシピエントへの辛辣(しんらつ)な言葉となって口をついて出てしまいます。
差し込まれる過去回想では、物語冒頭のような生き生きとした姿と打って変わり、痩せ細り、目もうつろな千津子の姿も。圭祐と千津子の間に何があったのかなどの謎をはらみながら展開していくストーリーには、「読後の余韻が凄い」「つらいけどよかった」「読めて良かったと思える作品」などの反響が寄せられています。
『うらうらひかる 津々に満つ』作者・高村秀路さんインタビュー
――― 本作制作のきっかけ、ヒントになったアイデアをお伺いできますか?
担当編集さんから「移植された臓器を探す」「子育て」というキーワードで企画をいただいたことがきっかけです。その頃、連載のネームを出しても出しても直しても直しても通らずで3年目だったので、たぶん担当さんが私のメンタルを気遣ってくださって、1巻か2巻分の短期でということでご提案いただきました。
――― 制作で特に力を入れたところ、こだわったポイントは?
資料を読めば読むほど、臓器移植というテーマのセンシティブさに腰が引けてきました。命に関わることなので当然なのですが、自分がいかに何も考えていなかったかを反省しました。
レシピエントの方とドナーご遺族の方、どちらの方も深い葛藤こそあれ恨み言をおっしゃっているような資料には行き当たらなかったので、どちらかがどちらかをむやみに傷つけるお話にならないように気を付けました。
とは言え誰も傷つかないお話というわけでもないので、これから読んでくださる方はご注意ください。
――― 最終話まで描かれて、作品への思い入れやご自身の中で気に入っているポイントは?
4話5話の佐川くんは気に入っています。この人だけは最初から決まっていたみたいに頭の中から出てきました。「正しかったりしっかりしたりって難しい」というセリフも、私自身がずっと何についても失敗を繰り返しては考えていたことなので、佐川くんに言ってもらえてよかったです。
――― うれしかった読者からの反応・感想などはありましたか?
SNSやマグコミでいただくご感想は読んでいただけたということなので全部うれしいですが、お手紙が届いたときはまた別の、胸にこみ上げるものがありました。雑誌(月刊コミックガーデン)のお便りコーナーで航士を描いてくださった方を見たときも、腰が抜けるくらいうれしかったです。
――― ありがとうございます。最後に、読者へのメッセージをお願いします
読んでくださってありがとうございました。また読んでいただけるようなものが描けるようにがんばります。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
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