42歳無職の弟が、両親の財布からお金を抜いてパチンコと酒に使っています。突きつけられた「家族の病理」 ニッポン放送「テレフォン人生相談」先週のハイライト

マドモアゼル・愛の巧みな人生相談芸が炸裂。

» 2019年04月08日 10時30分 公開
[北村ヂンねとらぼ]

 平日の午前中、ニッポン放送を聴いていると突然はじまる異様な雰囲気の番組「テレフォン人生相談」(ニッポン放送・月〜金曜11時〜)。その名の通り、電話をかけてきた相談者の悩みに、曜日担当のパーソナリティー、各種専門家たちによるアドバイザーが答えていくという内容。

テレフォン人生相談 平日の午前に突然始まるテレフォン人生相談。アドバイザーは大原敬子(幼児教育研究)、マドモアゼル・愛(エッセイスト)、高橋龍太郎(精神科医)、三石由起子(作家・翻訳家)、田中ウルヴェ京(メンタルトレーナー)、中川潤(弁護士)、大迫恵美子(弁護士)、坂井眞(弁護士)、塩谷崇之(弁護士)、野島梨恵(弁護士) イラスト/北村ヂン

 リスナーの人生にも影響を与えるような名アドバイス。百戦錬磨のアドバイザーたちにも手に負えない厄介な相談。泣き出す、逆ギレする、勝手に電話を切っちゃう……などなど、素人参加番組ならではのヒリヒリするようなハプニングもしばしば飛び出し、目(耳)が離せない長寿番組だ。この連載では毎週、良くも悪くも心をグッとつかまれた相談をピックアップして紹介していきたいと思う。(今回は4月1日〜5日放送分からピックアップ)

身内の金に手をつける弟。悪いのは本当に彼だけなのか?

 今回ピックアップしたのは4月2日(火)放送回。

 この日のパーソナリティーは医師&登山家の今井通子。アドバイザーはエッセイストのマドモアゼル・愛。相談者は45歳の女性。実家で長年引きこもっている弟に関して悩んでいることがあるという。

 42歳に至る現在まで、ほとんど働いたことのない弟。20代の頃、実家を出てひとり暮らしをはじめたものの、パチンコにハマッて家賃は滞納するわ、カードローンに手を出すわ。結局、自己破産してしまい、その後、まったく仕事をしていないのだ。

 相談者自身は1年ほど前に結婚して実家を出ていおり、現在は父(72)、母(72)、姉(46)、弟が実家で同居中。そして問題の弟は、両親、姉の預金通帳や財布からちょくちょく金を抜いて、パチンコや酒に使ってしまっているという。

 絵に描いたようなダメ息子だが、ここまで行かないまでも、ロクに親孝行できていないリスナーたちには耳が痛い話だったんじゃないだろうか(ボクも)。

 「弟をもう一度、立ち直らせたいんですけども、どうしたらいいでしょうか?」

 聞いているといろいろな感情がモヤモヤとわき上がってくる弟のダメっぷりを、気持ちよくぶった切ってくれることを期待したが、アドバイザーのマドモアゼル・愛(こんな名前だけどおじさん)は意外な方向に斬り込んできた。

 「『こういう風に大変な状態なので、何か良い方法ありますか?』っていう。もちろんね、お気持ちは分かるけれども、無理だって分かるよね?

テレフォン人生相談 相談者は45歳の女性。実家で長年引きこもっている弟に関して悩んでいる。問題の家庭環境を図解する イラスト/北村ヂン

 無理って……それ言っちゃったら身も蓋もないじゃん!? 相談者も「うん……まあ……」と涙声になってしまう。しかし、マドモアゼルは決して、突き放したわけではなかった。

 「全ての問題が、ひとりの問題行動を起こす人に原因があると思っちゃうけれども、果たして本当でしょうか?」「家族の病理があると思いませんか?」

 この家族は弟とも、各自の持つ問題とも向き合うことをせず「自分たちはいいけど、アイツがダメだ」と、問題を全て弟に押しつけて消極的にまとまってしまっているのだと指摘する。

 「アナタだけがこの家族から離れられたから、余裕を持ってこういうことをしゃべっているんです」「余裕を持って泣けるんですよ、当事者ではないから」

 「……そうなんです」思いっきり腑に落ちた様子で、ボリュームの調整が追いつかないくらい大きな声で応える相談者。

 「お姉さん(相談者)しか動く人、いないんです」病理に取りつかれた家族から離れ、唯一、辛うじて幸せになれた人だからこそ、「家族自体に問題がある」ということを理解できるはずだと迫る。

 「あの先生、私……この電話切り終わりましたら、家族に問いかけてみたいと思います」

 この回を聞きかえしてみると、前半と後半で相談者の声のトーンが明らかに変化している。前半はある意味、傍観者の立場で「実家が大変なんですよねぇ〜」的なしゃべり方をだったのが、後半では一歩踏み出し、当事者となる決心をしているのが声からも伝わってくる。

問題の本質をズバーンと言い当てる人生相談芸にシビれた!

 人生相談の方法論として、とにかく相手に共感して、愚痴を聞いてやって、ガス抜きしてやるというパターンがあり、「テレフォン人生相談」でもしばしば使われている。しかし、やはりシビれるのは、相談者本人ですら気付いていなかった問題の本質をズバーンと言い当てるキレキレのアドバイス。この回では、マドモアゼル・愛の巧みな人生相談芸を堪能させてもらった。

 ただ、肝心の「弟は財布からいくら抜いていたのか」について、具体的な言及がなかったのが残念。

 1000円、2000円というレベルなのか? 数万、数十万円、もしくはそれ以上の単位なのか……? その程度によって「ひょえーっ! ○○万円もー!?」などと、感情の入れ具合が変わってくるので、ディテールはしつこく聞き出してほしかった!

北村ヂン

文章からイラスト、漫画、映像まで、あの手この手でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうハイパーメディアライター Twitter

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」