
すっごく元気でめちゃくちゃおバカ。テレビアニメ放送中の「手品先輩」(原作/アニメ)は、失敗率が限りなく100%に近いポンコツ手品コメディ。いろいろあやういハプニングとめげなさすぎる先輩との楽しくて厄介な日々、これもまた青春。
アニメはついに最終回。コミックスは学校祭が終わり大きな動きに。どうしようもなくポンコツな手品先輩と、彼女を中心にした奇術部は、永遠に続くかのような錯覚に襲われながらも少しずつ変化しはじめています。中でも大きく変わりつつあるのは、助手と手品先輩の関係。助手目線から、手品先輩目線から、どう変わっているのか追ってみます。
2人の出会い
今となっては懐かしい、第一話の二人の最悪の出会いを振り返ってみます。

手品先輩マジで吐くからな(1巻)
一人で練習をしていた手品先輩、たまたま入ってみた新入生の助手。極度なアガリ症の手品先輩は、助手を見た途端緊張のあまり吐きそうに。その割に自分勝手に助手を引き留めようとする手品先輩の横暴。迷惑でしかない。
ただ、助手が年相応にスケベだったからよかった。手品先輩はかなりかわいくて、ものすごくナイスバディ。スキがでかくてポロリしまくり。もろ出しすぎて下品なほど。彼を場に留めた理由の1つになりました。
手品先輩は、助手が「入部」状態ではないとはいえ、呼び出したら来てくれることに大喜び。彼女はアガリ症ゆえに友人もほぼいない。先輩が抜けて部活は自分一人だけ。孤独な日々が続いていたのだから、後輩が初めてできた、という事自体がとても幸せでならない。失敗して、つっこまれて、ケンカする。今まであまり経験がなかったでしょう。いつも楽しそうでした。

助手がいなくなって気付いたこと(2巻)
部として申請できず、助手が入部もできないことを知り、彼女はまた孤独に戻りました。その時、寂しさを強く感じます。手品先輩「さみしい? 愚問! 慣れてますから! 一人でもできるのがマジックの良いところだよね」
手品先輩は最初は、「誰でもいいから奇術部に来てほしい」くらいの気持ちでした。気がついたら、助手がそばにいるのが当たり前に。もうかつての孤独には戻れません。
助手は最初の頃、先輩が卒業するまではしょうがないから付き合ってあげよう、くらいの気持ちで、自分を納得させていました。とはいえ自分から奇術部に来られるようほかの人に相談するなど、自主的に動くようになりました。
二人がお互い、特別に感じているのを認識したのは、この出来事からかもしれない。
助手の気持ち

応援はしたいんです(2巻)
特に責任はないし、そもそも部員じゃないんだけれども、惰性で奇術部に通う助手。彼は明確な好き嫌いがない、ぼんやりした感覚で生きている少年です。だからなんの部活に入るかも考えていませんでしたし、きっぱり奇術部を断りもしませんでした。
彼は先輩の暴走を面倒くさくは感じています。けれども彼女が一生懸命やっているのが嫌いなわけでもない。
アガリ症という最大の欠点を抱える彼女が練習している時、助手はかなり真剣に応援していました。手品先輩を置いて帰るふりをしながら、こっそり見守って「がんばれがんばれ……」と見つめている彼の姿は、今までの無関心・無感動な様子とは異なっています。

咲ちゃんがいなかったらこういう感情に気付かなかったかも(4巻)
彼自身が最初に気付いたのは、保護欲求でした。問題がありすぎる先輩のことをほったらかしにできない。なんせ素人のくせに水中脱出イリュージョンに挑もうとする子です。大道芸中にお金で買われそうになっても気付かない子です。純粋すぎて簡単にだまされる彼女、危なっかしいったらありゃしない。

独占欲(4巻)
咲ちゃんが加わってからは、ますます保護者っぽさが増していきます。ある日手品先輩が知らない男性と一緒にいるのを見て、助手は激しく混乱。
助手「彼氏面とかそんなんじゃないんです!! 面倒見てた野良猫が実は近所の飼い猫だったようななんともいえない感じといいますか!?」
まーくんは彼の心理を独占欲と称しました。彼氏や保護者と異なり、責任感がない発言にドン引き。
もっとも彼は、身を挺して彼女を助けようと駆け出す助手、責任感自体は既にあったようです。

自分への言い訳のターン(6巻)
かなりこじれた思考に陥ることが多々ある助手。6巻では、手品先輩が文化祭で、卒業した憧れの先輩に再会すると知る場面があります。
彼のモノローグ、まず「保護者」目線が真っ先に出てくる。次に自分と先輩がどういう関係なのか理解できず困惑。恋愛的嫉妬心ではないと必死に抵抗しつつも、先輩からの好意をどこか期待している節もある。迷走がひどい。
はっきりしない日々の中で、はっきりした独占欲や嫉妬が生まれたことに気付いた。手品先輩との特別ななにかのために、自分の身を動かそうとしはじめたのなら、それは立派な自我の目覚めです。

気にはなるよね(6巻)
助手も一応は、手品先輩を女性として意識してはいます(スケベ心以外でも)。時々ドキッとするしぐさを見せる手品先輩。その度にフラグがたったんじゃないか、と感じることもある。でも「いや、ありえないな」となってしまうのは、手品先輩が毎回オチをつけるほどドジだから。
最初は拒絶すらあったのに、今や「満更でもない」ところまで心が動いている。もしかしたら彼は、自分の感情に気付いているけれども、言い訳して逃げ続けているだけなのかも。
先輩の気持ち

助手を「男」だと意識しはじめた手品先輩(2巻)
手品先輩は序盤、純粋に「仲間が増えた!」という喜びでいっぱいすぎて、助手のことを男性だと見ていませんでした。パンツむき出しになったり、服が脱げたり、ダイナミック御開帳が多い彼女。恥ずかしくはあっても、それは子供の羞恥心に近いものです。助手が自分のことを好きだと勘違いした際、彼女的には助手にパンツを見られる方が恥ずかしかったらしい。そのくらい恋愛意識は薄め。

誰でもいいわけじゃない(3巻)
時がたつにつれ、先輩はふと表情を変えるようになります。奇術部で二人きりのある日、助手が居眠りし、手品先輩が一人で練習する珍しいタイミングが訪れました。彼女が助手を見ている視線は、かなり目を引く描写に。何を考えて、助手に触れようとしていたのだろう?

こぼれてしまう不思議な笑み(4巻)
自分と知らない男性が歩いていたのを心配し、助手が尾行していた件について聞いた手品先輩。普段は全くしない、クスクス笑いをし続けました。
ここでなぜ手品先輩が笑い続けていたのかは、明確には描かれていません。ただ、今までになかった助手の行動を知って、彼女の中に大きな変化があったのは間違いなさそうです。

先輩としてなのか、あるいは(5巻)
手品先輩は助手と出会ったことで、たくさんの青春の幸せを手に入れました。部活動を続けられること。仲間がいること。先輩と後輩の関係を楽しめていること。
自分は今とても楽しい。それだけではなく助手も「まあ楽しいですよ」と言ってくれた。
彼女の高校生活の幸せの中に、助手は欠かせないものになっていきます。もう「助手」は、助手以外にありえない。
永遠に続くと思っていた
この作品は、基本助手目線で描かれています。そのため手品先輩は「わからない人」という立ち位置に据えられています。それは極端な行動の人間という不明さもありますが、同時に「女性ってわからない」という少年の思いでもあります。

わかってはいるんだけれども(5巻)
助手「わからん……俺あと2年もあるし 先輩なんかまだ500年くらい部室にいそうな気がするし」
ドタバタな日々自体が、日常に変わっている助手と手品先輩。彼女に振り回されっぱなしの助手の目から見たら、この日々が終わるなんて考えられない。
当然、終わりは来ます。手品先輩は3年生。一緒にいられるのは1年もありません。

二人が真剣を出し合えた一瞬(6巻)
原作コミックの5巻から6巻で、先輩後輩としてのみならず、男女としても強く意識せざるを得ない事態が訪れます。まだまだ手品先輩と助手の関係はどうなるかわかりませんが、曖昧なままでいられる時間は多くありません。少なくとも、2人とも自分の気持ちに向き合い、動けるようにまで成長しました。
タイムリミットありの、ちょっとセンチメンタルな青春の描写が、ところどころにあります。でもまずはお色気大爆発で下品気味なおっぱいやパンツで、「今」を目いっぱい楽しめるように描かれているのが、この作品の魅力です。未来を憂うよりも、目の前のドタバタとスケベと、幸せそうな手品先輩の笑顔を楽しもう。自分と相手の気持ちがわからず困惑することもあるだろうけれども、華やかな手品のように、ハッピーな未来が訪れ続けること、期待しています!
(たまごまご)
(C)アズ/講談社











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