3画面マルチ環境の「GT4」で感じる次世代ゲームの方向性ゲームレビュー(5/5 ページ)

» 2005年02月02日 12時37分 公開
[小林仁,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

リッチな画面情報が生み出す強烈なゲーム体験

リプレイ画面のダイブモードも驚異の臨場感。写真では細長すぎてその迫力が伝わりにくいが、リアルで見ると通常のワイドテレビ3台ぶんに映し出されているため「今まで見たことがないインタラクティブな映像」として見たものを釘付けにさせる。映画で最も横長サイズであるシネラマもかなわないほどの迫力だ

 さすがにこのマルチモニタ環境下のGT4という強烈に贅沢な環境を実現できる人はまだそう多くないと思う。が、それでも今回の体験で期待できることがある。それは、次世代のテレビゲームはファミコンが登場して20年以来の大きな「ゲームプレイ体験の質的変換」が近い将来起きる可能性があるということだ。

 その理由は、テレビ業界のフォーマットがここ10年で一気に新しく塗り替えられるからである。日本国内では1953年から開始された従来テレビの解像度はインターレース表示で640×480ピクセル表示(もちろん実解像度はさらに低い)が限界だったが、今後切り替わるHDTVの場合はインターレース表示の1920×1080ピクセル(1080i)。その情報量は6倍以上にも跳ね上がる。

 これはただ画面が綺麗になるというレベルの話ではなく、今回のマルチワイド画面の解像度640×3=1920ピクセルの表現が生む左右方向への広がりをもフォローできてしまうことを意味する。

 ちなみに、すでにMicrosoftのビル・ゲイツ会長は、Xbox後継機で「HD(高品位画質)の出力機能を備え、すべてのソフトをHD対応にする」とアナウンスしている。このことからも、次世代ゲーム機は(そしてその対応ソフトも)まず間違いなく全機種HD対応化されるはずだ。

 もちろんXbox2、PS3(という名前になるであろう)をはじめとした新型ゲーム機の世代は、現行テレビとHDが共存するためゲーム環境が一変するわけでははない。

 しかし、いずれ固定ピクセル化が進みプログレッシブ表示の1920×1080ピクセル(1080p)が主流になるであろう将来のフルHDTVに対応する次々世代ゲーム機は、間違いなく今回の「マルチワイド環境のGT4」と同じクオリティのゲームがデフォルトで遊べる時代になる。テレビゲームのHD化はただ画面が「よりリアルに美しくなる」という単純な意味ではなく、明らかに従来と異なるゲーム体験を約束してくれるはずだ。

 最後に、今回のようなモードを実験的に用意していることからもわかるようにGTの開発スタッフ達は間違いなく「未来のゲーム像」を見据えて数々のトライアルを行なっている。今まで国内外から多くの「ポストGT」を狙う作品がリリースされているが、そうしたライバル勢を真っ向に受けながらヒト・モノ・カネを一点に注ぎ込んでいるからこそ、全世界で戦える一線級の日本産ソフトが誕生しているのだ……ということを知りながら遊ぶとGTシリーズの凄さが改めて実感できるはずだ。


 とまあ将来的なゲーム像を最後に語ってみたが、実際にこれらを手軽に体験するにはまだまだ時間はかかるだろう。しかし、アーケードゲームの世界ではすでに「F355 Challenge」をはじめ3画面モニタを使ったドライビングゲーム作品がいくつかあるものの、これだけの環境をいま40万円で手に入れることができてしまうというのはある意味”破格”である。

 GT4にはさまざまなクルマの遊び方が詰め込まれているが、もし「ニュルブルクリンクや鈴鹿サーキットを走り込むための特訓用シミュレータ」として楽しめる人ならば、今あえてこのマルチモニタ環境をそろえてみるのも悪くない。

F1GPの舞台として知られるモナコ公国コート・ダジュールのリプレイ画面(上は全景、下はそのアップ)。スタンドを埋め尽くす観客がいるホームストレートから急勾配が続くコースのアップダウンが判別できるだけでなく、モナコの美しい景観が3画面ワイドでしか味わえないことがよくわかるだろう。ホームシアター環境における大画面ワイドとはまったく違った”異次元のプレイ感覚”が得られるこの究極の環境。「TVゲームの進化」を考えるうえで機会があればぜひ体験してほしいもののひとつだ
(C)Sony Computer Entertainment Inc.
All manufacturers, cars, names, brands and associated imagery featured in this game are trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners. All rights reserved.
Any depiction or recreation of real world locations, entities, businesses, or organizations is not intended to be or imply any sponsorship or endorsement of this game by such party or parties.


前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」