ドリフトでインベタでミニターボな夜に、相手の国では朝だったりするWi-Fiマジックに酔いしれる「マリオカートDS」レビュー(4/4 ページ)

» 2006年01月06日 14時00分 公開
[仗桐安,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

ついに来た、夢のWi-Fi対戦 〜世界のみなさん、コンニチハ

 本作最大の特徴にしてセールスポイントと言ってもいいのがニンテンドーWi-Fiコネクションを利用したWi-Fi対戦だ。対応ソフト第1弾は「おいでよ どうぶつの森」だった。そして本作が対応ソフト第2弾である。

 ネット接続に対して腰の重かった任天堂が長い準備期間を経て提供するサービスということで熱い期待も寄せられるというものだが、実際に「おいでよ どうぶつの森」をプレイしてみたときに、筆者はそのタイムラグのなさ、ストレスのなさに驚いた。自分の村に3人の他人がいて各自が自由気ままに動いているのだが、動作は軽快でネットを介していることを感じさせないほどの状況だったのだ。しかもこれが本当に「無料」で「あんしん」(ともだちコードをお互いに登録した人しか入ってこれない。セキュリティ面は安心だ)なのだから、たいしたものである。

 本作の対戦でもフレンドコードをお互いに登録したうえでのともだちとの対戦が可能なのだが、しかし本作は、そこから1歩、いや100歩くらい前に踏み出した環境を用意している。なんと、世界中の人と対戦することができるのだ。

 世界中というと大げさかもしれないが、実際のところ本作は北米版と欧州版がすでにリリースされており、そちらの地域の人と対戦することが可能なのである。Wi-Fi対戦では対戦条件として「ともだちと」「ライバルと」「こくないのだれかと」「せかいのだれとでも」という4つが設定されている。

 「ともだちと」ならフレンドリストに登録のある人との対戦。これはおいでよ どうぶつの森と同じ感覚だと言ってよいだろう。それに対して「ライバルと」となると、プレーヤーと腕前の近い対戦相手が選ばれる。腕前はそれまでのWi-Fi対戦の成績から算出されるのだろう。この時点ですでに誰だかわからない人との対戦が楽しめるわけだ。そして「こくないのだれかと」であれば日本中のプレーヤーたちを対象に誰とでも遊べるようになる。さらに「せかいのだれとでも」であれば北米と欧州のプレーヤーも対象に含まれるという寸法だ。どこの人かというのはレース中に表示されるエンブレムの色でわかるので「お、おれ今、ヨーロッパの人3人と戦ってるな」ということは即座にわかるようになっている。

 何度かWi-Fi対戦をやってみたが、やはり「せかいのだれとでも」を選択した場合が一番相手が見つかりやすかった。「こくないのだれかと」だと夜はけっこうつながりやすいが深夜、早朝は対戦相手が見つからず仕舞いなこともあった。「ライバルと」だとさらに見つからないことが多い。

 必然的に深夜とか早朝に外国の人と対戦してみたりする(相手の国は何時だろうと考えるが実際よくわからない)のだが、やはりその対戦の快適さは特筆に価する。相手によってかは分からないが、たまに相手の表示がおかしくなってワープしまくる現象が見受けられた。しかし通信対戦環境はおおむね良好で、筆者がプレイしているあいだに筆者自身が通信エラーで切断されることはなかった。相手側が途中でいなくなってしまうことはままあったが、これは相手側が意図的に切断している可能性もあるので、何とも言えない。

 あと、これは印象でしかないが、外国のやり込んでいる人というのは本当に半端じゃなく強いのである。勝ちも負けも何百にも達しているという対戦成績もすごいが「普通に走っているのに何でこんなに差がつくの?」と言いたくなるくらいに速い人がわんさかいて、正直へこみそうになるほどだった。それでも「誰だかしらんけど、Bobってやつすげー」的な、マリオカートで見知らぬ外国人と戦ってるという状況が面白い、というか、そういうオンライン独特の面白さは堪能できる。

 もちろん日本にも猛者はいる。そしてまさに今日本作を買った、というような人が0勝3敗という成績で参戦したりもする。そのマリオカートというパイプだけでつながった人々がガチンコでレースをして、勝利と敗北に一喜一憂しているさまを想像すると、何だか愉快だ。各プレーヤーはオリジナルのエンブレムを作ることができるのだが、これもそれぞれ個性が出ていて面白い。どこかの誰かとつながっているという感覚を楽しむのに一役買っているといえるだろう。

 ただ残念なのは、せっかくオンラインでつながるのだから、簡易チャットとか何かコミュニケートできる手段がほしかったという点だ。これはしかし、あえて入れなかったのだとは思う。見知らぬ誰かとゲームをする、まではよいが、そこで言葉のやりとりがあった場合に、何か二次的なものが生まれてしまう可能性がある。それがよいものであればいいが、よくないものも含まれて、例えば子供がプレイしていて何の気なしに個人情報を教えてしまうだとか、相手が外国人で話が通じなくて逆に困るだとか、そういうことも起こりかねないだろう。いろんな要素を考えれば、ただ対戦ができるだけ、という本作の仕様は英断ではある。しかし、せめて何がしかの感情を伝えるようなアイコンだとか、そういったものがあってもよかったんじゃないかとは思うのである。

画像 Wi-Fi対戦が遊びの幅を広げる。今夜も誰かとマリオカート!

NDSで登場した、ということの意義 〜Wi-Fi対戦という発明

画像

 本作はNDSというプラットフォームで登場したわけだが、ではNDSの売りである2画面とタッチパネルを活かしきっているかというと、そこは少し疑問が残る。下画面に詳細マップを映すことで後ろの敵を意識しやすくなったし、下画面を見ながら走ったりすると案外面白かったりもするのだが、2画面あるからこういう風に使った、という域を出ていないように思う。またタッチパネルに関しては、マップの切り替えくらいにしか使わないので、Yで切り替えるよりはタッチで切り替えるほうが楽、という程度にしか使われていない。NDSの2画面とタッチパネルを思う存分活かしてやろうという貪欲なタイトルの真逆にあるタイトルだといえる。

 別に筆者はそれを非難するつもりはない。いいのである。それでいいのだ。何もNDSで出たからと言って、全てがタッチパネルを意識しなくてもよいのだし、飽くまでもボタンの操作に拘った本作は、それはそれで筋が通っていると思う。そして何よりも、NDSのWi-Fi通信という機能については他の追随を許さない勢いで活かしまくっているのだから、それでいいではないか、と思うのである。

 おいでよ どうぶつの森は村で遊ぶというどちらかといえば静的なコンテンツだった。しかし本作はスピード身上のラグがあっては成立しないハードなレースものなのだ。その対戦においてこれだけの通信環境を無料で提供できるようにしたという、その任天堂の発明に筆者は惜しみない賞賛を贈りたい。そしてタイムマシンに乗って高校生の自分に言って聞かせてやりたい。「俺、携帯ゲーム機のマリオカートでBobにボロ負けしたよ。自宅にいながらヨーロッパの人と遊んだんだよ」と。おそらく高校生の自分はそんなことは信じないだろう。そういえば今は21世紀だ。二足歩行のロボットがガシガシ走るさまも目撃した。未来ってこういうことなのかな、とふと思ったりしてしまう。

 とにかく本作は前作までのファンなら間違いなく買いなうえに、新しもの好きの方々にもぜひ触れてほしいタイトルだ。回線が不安定っぽい状況も何度か見られたが、大枠では快適だったWi-Fi対戦。今後プレーヤーは確実に増加していくだろう。めちゃくちゃ速い外国人に勝てるように筆者も鍛錬していこうと思う。さて。ヨッシーサーキットでミニターボの練習でもするかー。

画像
(C)2005 Nintendo


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」