あらゆる面で“進化”したポケモンの世界は、宝石のようにキラキラとまぶしい「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」レビュー(4/4 ページ)

» 2006年09月28日 10時30分 公開
[仗桐安,ITmedia]
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ワイヤレスプレイで、交換も対戦も遊び倒せ

 物語の序盤で、ある程度まで進むと、通信プレイが可能になる。最初の項でも述べたが「ポケットモンスター」シリーズがなぜこれほどまでに支持されているのかといえば、それは交換や対戦などの通信プレイに負うところが大きい。通信こそが本作の肝だと言ってもいいだろう。さっそく記者Iの「ポケットモンスター ダイヤモンド」と通信プレイを体験してみたので、ご報告しよう。

画像画像 ユニオンルームでは、複数人のプレーヤーによる、さまざまなコミュニケーションが可能だ

 通信プレイについては、基本的に「ポケモンセンター」で行うことになる。DSワイヤレスプレイの場合は、お互いに本体と本作を持ち寄って、それぞれがポケモンセンターで手続きを踏むことで通信する。ニンテンドーDS標準の機能でワイヤレスにはなったが、このあたりは前作の勝手と同じだと思ってもらっていい。

 ただし、本作でできることは前作とは比べものにならないくらいに豊富だ。「ポケモンセンター」2階の「ポケモンワイヤレスクラブユニオンルーム」では、ポケモンの交換や対戦ができる。そのうえ、「あいさつ」(お互いにトレーナーカードを見せる)や「おえかき」(最大5人まで、同じスペースに自由に絵を描くことができる)、「チャット」(決められた単語から好きなものを選んでチャットできる)などのコミュニケーションツールも用意されている。「たいせん」はレベル30までのポケモン2匹を用意してのシングルバトル、「こうかん」ではポケモン交換をすることが可能だ。

 また、かなり面白いのが「レコードつうしん」と呼ばれる機能。これでお互いのレコード情報を交換すると、各地のTVで相手プレーヤーの情報が放送されることがあるのだ。ゲームボーイアドバンス版にもあった機能だが、本作ではよりこまかくほかのプレーヤーの情報やコメントが放送されるので、TVをまめにチェックしたくなってしまうことだろう。

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 「ポケモンワイヤレスクラブユニオンルーム」の隣には、「ポケモンつうしんクラブコロシアム」がある。こちらでは2人でのDSワイヤレスプレイによるシングルバトル、ダブルバトル、ミックスバトルの3つと、4人によるマルチバトルが用意されている。

 シングルバトルは文字通りポケモンを1匹だけ出してガチンコ勝負をするモード。ダブルバトルは2匹同士でのバトル。ゲームボーイアドバンス版から採り入れられた2匹対2匹のバトルと同じ画面を想像していただければいいだろう。面白いのはミックスバトル。これはプレーヤーがそれぞれ3匹のポケモンを選出し、それらを“ミックス”して戦うモードだ。お互いが3匹のポケモンのうち1匹を選んで混ぜるので、相手が何を差し出してくるのかを予想しつつ出し抜く、という駆け引きが楽しめる。4人によるマルチバトルは今回試すことができなかったが、機会があればいずれリポートしたいと思う。

Wi-Fi通信で、世界のトレーナーたちとつながれ

 では、本作の新要素の目玉とも言えるWi-Fi通信についてご紹介したい。

 前作での通信交換や通信対戦は、いずれも身近にほかのプレーヤーがいなくては成立しなかった。たとえば小学生や中学生であれば、仲間内で同じゲームに同じ時期にハマり、携帯ゲーム機を持ち寄り、通信対戦や通信交換を大いに楽しむなんてのも、比較的容易なことだろう。

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 しかし、周りに同じゲームをプレイしている人が少ない社会人ゲーマーだってたくさんいるのだ。モノクロだった初代「ポケットモンスター」からプレイしている筆者も、当時の時点で大学生だったので、周りでプレイしている友人はそんなに多くなく、「ゴースト」が「ゲンガー」にならないジレンマなどを嫌というほど味わった身分だ。そんな周りにトレーナー仲間がいない方々に朗報である。いや。周りにポケモンファンがいる方にとっても朗報だ。すでにご存知の方も多いとは思うが、本作ではニンテンドーWi-Fiコネクションを利用して、遠くにいるプレーヤーとポケモンの交換や対戦ができてしまうのである!

 この機能があることを知って「じゃあちょっと、ひさびさにポケモンでも集めてみますか」と思った方も多いのではないだろうか。Wi-Fiのサービスが任天堂からアナウンスされてから「そうなったらいいのにな」とは思っていたが、まさか本当に可能になるとは、と筆者は感無量である。これで家のなかや外出先でニンテンドーWi-Fiコネクションを通じて、ポケモンの世界を共有できるのだ。

画像画像 DSワイヤレスプレイで一緒に遊ぶことで、ともだちてちょうに登録することもできる

 ただ、いつでもどこでも誰とでも、というわけにはいかない。「ともだちてちょう」に登録されている人としかつながらないようになっているので、どこの誰だか分からない人とつながる不安はないわけだ。また、電話やメールで「ともだちコード」を交換すれば、遠く離れた友達であっても、トレーナー仲間として本作の中で出会うことも可能だということになる。

 さてさて。さっそく「Wi-Fi通信どんなものだろう?」と検証してみた筆者と記者I。お互いがまったくのプライベート空間である自分の家のなかでおのおのニンテンドーWi-Fiコネクションにつないでみた。

 まず驚くのが、バトルと交換の時は、特に何もボタンを押さなくても常時ボイスチャット状態である、ということ。「メトロイドプライムハンターズ」や、先日リリースされた「Wi-Fi対応 役満DS」などではボタンを押しながらでなければチャットできなかったが、本作ではなんともオープンな仕様で、常に会話ができてしまうのだ。まずはその、あっけなく普通に会話ができてしまっていることに2人して感心しまくった。「これすごいですね」、「ねー。これはすごいね」、「いやーはは、うわー、すごいわー」とウキウキで話し出し、「じゃあまずは交換しますか」、「はーい」と、段取りもスムーズに交換や対戦を試してみたのだった。

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 結果としては交換も対戦も、DSワイヤレスプレイで遊んだときと変わらない感覚で可能だった。「ポケモンがネットを通してウチにやってきたよー」と純粋に感動してしまったくらいだ。気になったのは、ボイスチャット時に小さく聞こえる「サー」という音(会話にまったく支障のない程度の、あー通信中なんだなと分かるくらいの音)が、しばらく無言になると消える現象。「あれ、通信とぎれたのかな」としゃべりだすと「いや聞こえてる聞こえてる」と反応があり「サー」という音も復活するようになっていた。「無言が続いているあいだはちょっとしたスリープ状態になっている」と考えれば、なかなかどうしてよくできた機能ではないか。チャットに関しても特に通信上のトラブルはなかった。

 また、ゲーム内のコトブキシティで利用できる「グローバルトレードステーション(GTS)」もWi-Fi通信を利用した魅力的な要素だ。こちらは自分が交換に出したいポケモンを選び、「何と交換したいか」、「オスがいいのか、メスがいいのか」、「レベルはいくつくらいがいいのか」を設定したうえで預けることができたり、逆にポケモンの名前やレベルなどの条件から、誰かが交換用に預けているポケモンを検索できる、という“交換”に特化したスグレモノの機能だ。

画像画像 こちらがGTS。こちらがGTS。海外版が発売されれば、世界中の誰かとポケモン交換が可能だ

 ポケモンを検索する側は、納得のいく条件の相手を探し出すことができたら、交換に応じることができる。自分が「スボミー」と交換してほしくて出していた「コリンク」が、一晩寝て起きたら、誰かとちゃんと交換されていた、なんてこともあるのだ。こちらはどこの誰とでも交換が可能なので、ほしいポケモンがあったらどんどん積極的に利用したいところだ。

 Wi-Fi通信が可能な環境をまずそろえなくてはならない、という敷居の高さは依然としてあるとは思うが、その壁さえ越えてしまえば、こんなに画期的でこんなに面白いネットサービスを無料で利用できるのだ、という点は大いに評価できる。ニンテンドーWi-Fiコネクションが稼動を始めてから約1年が経過するが、いよいよ真打ち登場といった感じだ。

新たなるポケモンを探して、冒険の日々は続く……

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 今回はあくまでも概要の部分、インプレッション的な側面の強い内容でお届けしたが、今後もさらにご報告をさせていただければ、と思っている。

 実のところ、ここまでお伝えしたことは、筆者が30時間ほどプレイしたうえでの内容だ。大変うれしいことであるのだが、30時間プレイしてみた現在でも、本作の全容も「ポケモンずかん」の全ポケモンもいまだ把握しきれず、その奥深さ、懐の深さ、ハンパではないやりこみ要素の数々にズブズブとハマっているところなのだ。今回書ききれなかったさまざまな新要素について、あらためてお伝えする機会を、どうかお待ちいただきたい。

 現時点でいえば、シリーズ全作をほぼやってきた筆者としては「大満足!」と太鼓判を押しておこう。ダイヤモンドやパールという実際の宝石のようにキラキラとした魅力を持つ、「ポケットモンスター」の名に恥じない一作になっていると、自信を持ってオススメできる。そして筆者の分身キリアンは、かわいい「ヒコザル」をひきつれて、「ポケモンずかん」を完成させるべく、今日も「シンオウ地方」を東奔西走しているのだ。

(C)2006 Pokemon.
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