2度の挫折を経て「FFXI」にハマりつつある独身男性の物語(その6)ヴァナ・ディールをもう一度(2/2 ページ)

» 2007年06月12日 15時56分 公開
[山本博幸,ITmedia]
前のページへ 1|2       

NMとの交戦で今までにない満足感を体験

 剣を交えたとき、すぐに僕は敗北を感じた。というのも、こちらが与えるダメージ値があまりにも少なく、それに反比例するかのように被ダメージ値が多き過ぎる。4人の前衛のうち、僕を含めた3人が忍者をサポートジョブにしていたので、いわゆる「蝉回し」(忍術による分身で敵の攻撃をかわせる複数の前衛がターゲットを回して被ダメージを抑える戦術)で何とか攻撃を凌ぎつつダメージを与えていたが、全滅するのは時間の問題だろうと思って諦めていた。しかし時間が立つにつれ、最初は唐突過ぎてぎこちなかった蝉回しが安定し始め、徐々にではあるがNMのHPが減り始めたのだ。

 20分以上戦っていただろうか。1体のモンスターに対してこれほど長く交戦したことは一度もない。そしてついに、長きに渡るバトルに勝利したのである。NMを倒した瞬間、メンバーからそれぞれ安堵のコメントが流れてくる。何の合図も出さず、それぞれがそれぞれの役割を120%発揮して勝ち取ったバトルだった。この充足感は今まで味わったことがない。最初に襲われてしまったメンバーはしきりに謝っていたが、今となってはそんなことはどうでもいい。むしろこのバトルを味わわせてくれて感謝したいくらいだ。それほど緊張感があり、楽しい経験だったのだ。

メンバーの力を終結してNMとバトル。この頃は丁度空蝉の術が使えるようになったときで、忍具は高いけど一手に攻撃を引き受ける盾役の使命感に燃えていたのだ

 ヒーリングを終え、再び僕たちはBFを目指して移動を始める。突然のNM戦以外は特に危険な状況に襲われることもなく、ようやくBF手前まで到着。ボス戦に向けての作戦会議が行われた。ボス戦で重要なのがアニマを使う順番のようで、手練のプレーヤーたちが率先して使用順、ボスが使う特殊技の注意点、最後に追い込みをかけるタイミングなどをレクチャーしてくれる。僕はそれを細かく手元に用意したメモ用紙に書き記し、頭の中でシミュレーションした。これほど綿密な打ち合わせは、実際の仕事上でもなかなか行ったことがない(関係者の方々、申し訳ありません……)。作戦会議がようやく終わり、いよいよBFへ突入することになった。ここまで来れば、あとは自分たちの力を信じるのみだ。

難解なプロマシアストーリーで得たものは――

 各プロミヴォンでのボス戦で共通している戦術は、序盤はTP(テクニカルポイント。これが100%以上になると強力な技が使える)がたまってもWSは発動せずに、ボスのHPが残りわずかになった状態まで待つこと。そして前もって決めておいた順番で各種アニマを使うことだ。「さっきのNMを倒したこのメンバーならボスも絶対倒せるはずだ!」と全員が意気込み、それぞれのジョブを生かしつつバトルを展開。プロミヴォン-デムのボスは特殊技の「フィション」で敵を最大4体まで呼び出すのが特徴なのだが、このときは幸いにも1体しか呼び出さずボスのみに集中できた。そしていよいよボスのHPが残りわずかになった瞬間、前衛はSPアビリティ(各ジョブが1つだけ持っている特技で2時間に1回しか使えない)とWS(ウェポンスキル。TPが100%以上になることで使える、武器固有の特殊技)を発動。長い旅路を経てボスを撃破することに成功したのである。ちなみに、ボスとの戦闘時間は約5分余り。NMと戦った時間に比べればかなり短く、そしてあっけない。

 「歯ごたえがなかったね〜^^」などと各々が余裕のコメントを残し、プロミヴォン-デムをクリアしたのだ。かなり大変な道のりだったが、それだけにクリアしたときの満足感は何物にも変えがたいものがある。何よりLSのメンバーと一緒にやり遂げたうれしさは、知らない人とパーティを組んでいるときでは味わえないものだった。以降、残ったプロミヴォン-メアとプロミヴォン-ホラにもチャレンジし、そこで僕がとんでもない失敗をしでかすのだが、それはまた次の機会に……。

念願のアトルガン皇国へ、いざ行かん!!

アイテムが出やすくなる特性があるシーフのレベルを上げていなかったので、己の運のみに頼ってアイテム収集。すべてそろったときは思わずガッツポーズ!!

 初プロミヴォン攻略で勢いに乗った僕は、そろそろ新大陸「アトルガン皇国」を目指してもいいんじゃないか? と思い始めた。何といっても、あのNM戦とボス戦でかなりの自信がついている。プレイヤースキルも以前とは比べ物にならないはずだ。そうと決まれば向かうはジュノ大公国。アトルガンへ行くには、ここで発生するクエスト「アトルガン皇国へ」をクリアすると入手できる「渡航免状」が必要になる。

 クエストをクリアするには上級、中級、下級のどれかを選んで要求されるアイテムを揃えるか、50万ギルを用意することが条件だ。当時の僕には50万ギルなんて大金はもちろんなく、上級、中級でそれぞれ必要なアイテムも揃えられない。ソロで挑戦するとなると、サポートジョブ取得クエストで必要になったアイテムを計6種類揃えることが条件の下級が適していたので、それらを落とすモンスターを倒すためにバルクルム砂丘とブブリム半島へと向かった。

 レベル40以上ともなると、これらのモンスターはもはや「練習相手にならない」ものばかりで、すべてのアイテムを揃えるのに少々時間はかかったものの、苦戦することなく撃破できた。そしてついにジュノのNPCから渡航免状を譲り受け、マウラの港からアトルガン皇国へと旅立ったのである。

 初めてアトルガンを訪れて驚いたのはシャウトがものすごく多く賑やかで、ジュノ以上にプレーヤーの密度が濃く、活気づいていたことだ。ミッションの勧誘やら聞いたこともないイベントの勧誘など、とにかく常に誰かがシャウトしている。NPCの数も多く、全員と一通り会話するだけでもかなりの時間を費やした。その際にイベントもいくつか発生したが、現段階ではよくわからないので、とりあえず後回しすることに決め、別の港口からナシュモへ向かうことにした。特に意味などなく、何となくいろいろな街を見てみたかったのだ。

 そのときに乗った船の乗客は僕1人だけ。これは豪華なクルージングになるぞ、とナシュモに着くまでの時間を満喫しようとデッキに出てみると、もう1人(正確にはもう1体)お客さんがいた。頭足族(通称タコ)のNMだった。頭の中では絶対に勝てないとわかっていながらも、初めて訪れたエリアで浮かれていたこともあり、「計り知れない相手」の強さを計ってみたくなった。とは言え、何の作戦も練らずにいきなり攻撃をしかけるほど、僕も愚かではない。ナシュモに着く約1分前に攻撃をしかければ、たとえピンチになっても寸前のところで画面が切り替わってナシュモに到着するはずだ。そんな浅はかな考えを胸に、今か今かと時間が過ぎるのを待った。

触らぬNMに祟りなし……

 NPCと会話して到着時間が1分前になったのを確認したのち、僕はデッキにいるNMに対して攻撃を始めた。まずは手始めにアシッドボルトを発射。ミス。ここまでは想定範囲内だった。次の瞬間、NMが僕に対して攻撃を始めたときに思わず声を上げてしまうほど驚愕した。その当時の僕はHPが900弱はあったのだが、一度の攻撃でその半分以上を削られてしまったのだ。

 「ちょっと待ってくれ……!!」と僕の願いを聞き入れるはずもなく、NMの2発目の攻撃が僕にクリーンヒット。1分どころが10秒も持たずに戦闘不能になり、そのままナシュモの港に上げられてしまったのである。

 強いと思っていたがまさかここまで……。「計り知れない相手」は伊達ではなかったことを身を持って体験した僕は、すごすごとホームポイントに設定していたジュノへと戻ったのである。さすがアトルガン皇国。一筋縄ではいかないエリアだ。もう少し経験を積んでから訪れたほうがよさそうだ。

聞くところによると、船上に出現するモンスターはレベル75で挑んでも負けてしまうとか……。レベル40になりたての僕には、ある意味高嶺の花だったわけだ。納得
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/14/news189.jpg 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  4. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  5. /nl/articles/2411/15/news016.jpg 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  7. /nl/articles/2411/15/news009.jpg 高2のとき、留学先のクラスで出会った2人が結婚し…… 米国人夫から日本人妻への「最高すぎる」サプライズが70万再生 「いいね100回くらい押したい」
  8. /nl/articles/2411/15/news058.jpg 「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」
  9. /nl/articles/2411/14/news023.jpg “膝まで伸びた草ボーボーの庭”をプロが手入れしたら…… 現れた“まさかの光景”に「誰が想像しただろう」「草刈機の魔法使いだ」と称賛の声
  10. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた