「ファミリートレーナー」の舞台を走る:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)
実際の皇居一周タイムと比べてみよう
東京駅を出て、スタート地点の二重橋まで歩く。この時点でもう太ももが痛くなってきた。いきなり不安だ。
スタートしてすぐ、左に坂下門と、宮内庁の建物が見える。遠くに富士見櫓(やぐら)、近くに巽櫓。右側には東京駅が見える。ここからお堀に沿って走る。
大手門前を通過。「ジョギングレース」では5分32秒で通過した地点だが、実際に走ったら8分26秒もかかった。実はもう足とか肩とか胸とかがキツくなっていて、休み休み走っているから遅くなったのだ。
例の銅像が見えた。和気清麻呂(わけのきよまろ)の像だった。1940年(昭和15年)に、皇紀2600年を記念して造られた像。和気清麻呂は奈良時代の政治家で、当時権力を持っていた僧・道鏡が天皇の位に就こうとするのを、阻止したとされる。
6分休んで再び走るが、平川門でまた止まる。全身がかゆい。スタートから21分22秒。「ジョギングレース」では10分で通過した地点だが。竹橋を渡ると、右手に国立近代美術館の建物が見えた。もう走るのをやめて美術館に入ろうかと思ったが、道路を渡るのも面倒だったので走り続ける。
北桔橋門(きたはねばしもん)前を通過し、乾門前でスタートからちょうど30分。ちなみに「ジョギングレース」でここを通過したのは14分42秒。
スタートから35分余り。お堀に沿って左に曲がるとき、左手に国会議事堂が見えた。やっぱり、ゲーム内に出てきたそれっぽい建物は、国会議事堂だったのか。
改修工事中の千鳥ヶ淵公園の脇を南下。「ジョギングレース」では21分50秒で行けた半蔵門に、42分かかって到着。
この先は桜田濠。心地いい風が吹く。かゆみはおさまってきたが、ちょっと調子に乗って走るとまたかゆくなる。ゲームではここで多くのランナーと、抜いたり抜かれたりを繰り返したが、現実では多くのランナーに抜かれっぱなし。
桜田門までたどり着いたが、ここでストップウォッチを誤操作してしまい、半蔵門からのタイムが分からなくなる凡ミスを犯す。力が抜けたが、また気持ちを立て直して走り出す。桜田門から6分37秒、二重橋前に無事ゴールした。
時計を見ると、皇居一周5キロを走るのに、1時間5分くらいかかっていた。歩くのとたいして変わらない。ファミリートレーナーで走るのと、実際に走るのとでは全然違うことが分かった。タイムが30分も違う。疲れ方も違う。
もっとも、走るのに慣れた人なら、少なくともかゆみでペースが落ちることはないだろう。ファミリートレーナーで何度か走って、ある程度慣れてから、実際の皇居一周に挑めばよかったかもしれない。
よくぞ生き残った、ファミリートレーナーよ
今回は割と、スポーツ・フィットネス寄りのソフトを取り上げたが、「ファミリートレーナー」には、もっとゲームっぽいソフトもあった。特に有名だったのが、TBSの人気番組「風雲!たけし城」をゲーム化した、「突撃!風雲たけし城」。石を飛び移る“竜神池”や、飛んでくるボールを避けながら狭いつり橋を渡る“ジブラルタル海峡”など、番組内で参加者が挑むアトラクションが再現されている。
そのほか、当時流行した巨大迷路をモチーフにした「迷路大作戦」、指名手配犯を捕まえる「マンハッタンポリス」、対戦のできる「ランニングスタジアム」「ファミトレ大運動会」があった。
1987年までに8本登場した、ファミリートレーナー専用ソフトだったが、翌1988年には、年末に「風雲たけし城二」が発売されただけ。結局1989年1月発売の「来来キョンシーズ ベビーキョンシーのあみだ大冒険」が、最後のソフトとなった。
ファミリートレーナーは話題にこそなったが、それほど大ヒットしたわけではない。マットが大きくて、プレイする場所が限られること、アパート・マンションでは足音が下の階に響くことなどが、理由として挙げられる。わたしも一時、健康のために「ジョギングレース」で毎日走っていたが、床がへこんできたのでやめた。
そもそも、専用コントローラーを使うゲームが売れない時代だった。やはり割高感があるからだろう。ファミリートレーナーの定価も8500円(アスレチックワールドつき)と、普通のファミコンソフトよりやや高かった。
状況が変わってきたのは1990年代後半。アーケードから「ビートマニア」「ダンスダンスレボリューション」(コナミ)、「電車でGO!」(タイトー)が、プレイステーションに移植され、ヒットしたのだ。いずれも通常のコントローラーでプレイ可能だが、別売コントローラーが発売され、好セールスを記録している。
この頃になると、ゲームをやるユーザーの年齢層が上がってきて、大人のプレイヤーが増えた。また、これら3本はアーケードのヒット作で、それぞれ独特の操作方法が、大きな売りとなっていた。これらのコントローラーが立て続けに売れたことで、「別売コントローラーは売れない」というジンクスは払拭されたのだ。
あらためて今、ファミリートレーナーをやってみると、プレイヤーとキャラクターが同じように動くというところが、時代をかなり先取りしていたように感じられた。ファミコン全盛時から、児童が体を動かさなくなったことは問題視されていたが、ファミリートレーナーが開発されたのは、それに対する1つの対策という面もあったのだろう。
昨年の東京ゲームショウで、Wii版の「ファミリートレーナー」が出展された。ソフトは、大幅にリニューアルされた「アスレチックワールド」だ。画面が横からの視点だったファミコン版に対し、Wii版はランナー背後からの視点となり、また種目によってはWiiリモコンも併用することで、よりプレイヤーとランナーとの一体感が増した。今年春発売予定。
コントローラーのジンクスが払拭された上、ゲームのコンセプトがWiiというハードのそれに近いので、Wiiユーザーにも受け入れられるのではないだろうか。
Wii版が発売されたら、「ジョギングレース」もリメイクしてほしいと思う。いろんな場所の景色をダウンロードできるようになったら、ファミコン版より長く続けられそうだ。
|
関連記事
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
-
ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
-
人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
-
妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
-
「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
-
「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
-
高2のとき、留学先のクラスで出会った2人が結婚し…… 米国人夫から日本人妻への「最高すぎる」サプライズが70万再生 「いいね100回くらい押したい」
-
「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」
-
“膝まで伸びた草ボーボーの庭”をプロが手入れしたら…… 現れた“まさかの光景”に「誰が想像しただろう」「草刈機の魔法使いだ」と称賛の声
-
「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
- イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
- 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
- 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
- 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
- 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
- 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた