伝説のクソゲー「頭脳戦艦ガル」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)
裏技でGO!
まあそもそも、ゲーム自体が序盤から難しい。シューティングゲームがすごく得意なプレイヤーなら別かもしれないが、普通の人が普通にプレイしていたら、とてもエリア30までは進めないと思う。わたしはワープアイテムを使っても、エリア15くらいまでたどり着くのが精一杯だった。パワーアップもできやしない。
でも幸いなことに、このゲームには自機が無敵になるという裏技がある。タイトル画面で、AA下左右右右B上上上上とボタンを押してからスタートすれば、敵や敵弾に当たってもミスにならない。地底やコアの壁に当たると自機が破壊されるが、残機数は減らない。
敵をどんどん撃ち倒して進み、コアエリアを進んでいる途中、遂に自機がパワーアップ。Aボタン押しっぱなしで連射ができ、プレイがぐっと快適になった。
ただし、BGMが快適じゃない。地底、コア、宇宙それぞれにBGMがあるが、単調で短いフレーズが延々と続く。
パワーアップすると、「ツインビー」や「スターソルジャー」のようにBGMが変わる。だがこれがまた、単調で短いフレーズが延々と続くもの。「スーパーマリオブラザーズ」でスターを取ったときみたいに、一定時間だけ流れるならまだ我慢できるのだが……。
さて、エリア30をクリアすると、緑色の小さな敵がゆっくり下りてくることがある。これを撃つと、1発めは1万点、2発めは2万点、以後、3万点、4万点と、インフレ気味な得点が入る。だが5発めを当てると、10万点も入る代わりに、集めたパーツがすべてなくなってしまうのだ。
確かに取扱説明書を見ると、「中には点数とひきかえにパーツを全てなくしてしまうものもあります」と書いてある。だがそれにしてもペナルティーが大きすぎる。またあの単調な地底・コア・宇宙を繰り返し行き来して、一からパーツを集め直さなければならないのだ。
クリアを目指してプレイしていたのに、せっかく集めたパーツを没収されて大きなショックを受けた人は多かっただろう。2周め、3周めだったりすると、なおさらである。
「頭脳戦艦ガル」はどこにいる?
パーツを100個集め、エリア30の中ボス「ナニ」を倒すと、遂に宇宙空間制御装置「ドラッグ」が出現する。弱点に30発撃ちこむと破壊できるが、背景同様にスクロールしているので、弱点がスクロールアウトする前に撃ちこまなければならない。撃ち逃してしまうと、またエリア1からやり直しだ。
無事クリアすると、晴れてエンディング。文字ばかりだけどエンディング。
あともう1つ謎なのが、「頭脳戦艦ガル」というタイトルだ。「頭脳警察」というバンドをほうふつとさせる名前だが、実はこのガルという戦艦、ゲーム中に一切出てこない。自機は「ジスタス-21」だし、エリア30に出てくる中ボスは「ナニ」、パーツを100個集めると出てくる最終ボスは「ドラッグ」だ。
頭脳戦艦ガルというのは、自機「ジスタス-21」を載せた戦艦の名前。ガルがジスタス-21を発進させた時点からゲームがスタートするので、ガルはゲームに登場しないのだ。
これでゲームタイトルが「頭脳戦艦ガル」になるのは、「機動戦士ガンダム」のタイトルが「ホワイトベース」になるようなもので、……いや、ホワイトベースのほうはアニメに出ているから、あり得なくはないか。
と、いろいろツッコミどころが満載の「頭脳戦艦ガル」だが、取扱説明書を見ると、目次にこんな一文があった。
「操作方法がわからなくなったり、トラブルが起きた場合は、この取扱説明書を、もう一度よくお読みください」
……デービーソフトも最初から、プレイヤーが困惑するであろうことを、予期していたのかもしれない。
とはいえ、クリアしようとさえ思わなければ、そこそこ遊べるゲームだと思う。
得点を稼ぐことを主目的にしてプレイすると、高得点を得られるフィーチャーがけっこうある。壊せない敵を、敵全滅ミサイル「A・T・O・M」で倒すとか。ワープアイテムを取らずに壊すとか。前述の、パーツを全部なくす敵にしても、クリアさえ目指さなければ、合計20万点もくれる大ボーナスキャラといえる。
あと、裏技で無敵にして遊ぶと、意外と楽しかった。途中からパワーアップしてオート連射になるし。まあ、クリアするまで2時間前後かかるけど。
「頭脳戦艦ガル」は、i-revoでオンライン販売されており、今でも楽に入手できる。みうらじゅんさんが“一番”と太鼓判を押したクソゲーだが、そういう評価が定まった今になって体験してみると、当時とは違った印象を受けるかもしれない。
ちなみに先ほどの、みうらさんのインタビュー記事には、泉麻人さん、糸井重里さん、カーツさとうさん、そしてすぎやまこういちさんといった、文化人の方々との、ゲームにまつわるエピソードも語られていた。
ほかにもゲーム好きの芸能人・有名人は数多いことだし、ゲーマーの中にもこんなに素晴らしい方々が大勢いらっしゃるということを、もっと社会にアピールできたらいいのになあと思う。
……「頭脳戦艦ガル」の紹介をした後にこんなことを書いても、説得力がないけれど。
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