プレイヤーの心のゴールに突き刺さる「イナズマイレブン」レビュー(2/2 ページ)

» 2008年08月26日 13時35分 公開
[立花裕壱,ITmedia]
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サッカーRPGとは一体何だ?

 では、ゲームシステムの話に移ろう。まずは気になるRPG部分。人や物を探して、校内や河川敷、商店街など、あちこち足を運び、イベントを進めるのがRPG部分のメイン。RPGらしくマップには宝箱が落ちていたり、ランダムエンカウントで戦闘が発生したりもする。バトルの敵はテニス部員やバスケ部員、漫研部員など、各部のみなさん。4人対4人のサッカー勝負で「相手チームから1点うばえ」「時間内にボールをうばえ」などの条件を満たすとこちらの勝利となる。

 勝てば、経験値がもらえてレベルアップし、ガッツやボディ、コントロールといったパラメータが成長するほか、さまざまな必殺技も覚えていく。逆に負けると、この世界のお金にあたる「ねっけつポイント」と仲間を集めるのに必要な「ゆうじょうポイント」を失ってしまう。とはいえ、負けてもゲームオーバーになったり、戦闘不能になったりはしないので、ご安心を。

マップ上ではところどころに宝箱が落ちている。回復アイテムや装備品をゲット! このあたりは完全にRPGだ
ランダムエンカウントで発生するサッカーバトル。マップをウロウロして経験値稼ぎも可能。3D演出時にジャージ姿なのは芸が細かい
仲間は常に3人連れて歩くことに。基本的に入れ替えは可能なので、育てるつもりの選手をメンバーに入れよう

タッチペンで選手を動かせ!

 各章のトリを飾るサッカーの試合は11対11の形式で行われる。中学生だからか、試合時間は30分ハーフ。あとはほぼ通常のサッカーと同じルールだ。コーナーキックもあればフリーキックもあり、しっかりオフサイドの反則も取られる。

 試合中の操作は、大まかにわけて2つ。通常は、タッチパネルを使ったリアルタイムアクションだ。フィールドプレイヤーはAIで移動するが、ペンでタッチして移動コースを書き込むと、その通りに動いてくれる。ディフェンス時は敵の前に回り込むようにしてドリブル突破を防ぐ。オフェンス時は、ボールを持っていないプレイヤーをスペースに走らせると効果的。また、単純に画面をタッチするとそこにパスを出すので、フォワードをサイドに流れるように移動させ、そこにスルーパス。すかさず2列目を前線に走り込ませてセンタリング、なんて、現実のサッカー顔負けのプレイも可能なのだ。

 次に、ボールを持っている選手と相手チームの選手が接触すると、コマンドを選択するまでは時間の経過が止まってキャラ同士の「コマンドバトル」に入る。ここでは画面の下に「キャッチ/パンチング」「ブロック/スライディング」「シュート/ループシュート」など、状況に応じた二択のコマンドが表示される。

演出を見るだけでも楽しい、多彩な必殺技。秘伝書を使って覚えさせることもできる。この秘伝書はコンビニでも売っている

 右の選択肢のほうが成功率が高いが、ルーズボールになる可能性も高く、逆に左の選択肢は失敗の恐れもあるが、勝てばボールをキープできる。どちらを選ぶかは、下画面上部に表示される相手と自分のテクニックの数値、選手に設定された属性「風・林・火・山」の相性の兼ね合いを考えつつ決めよう。特に相性は重要で、火は林に強いが、山には弱いというふうに、ジャンケンの感覚になっている。例えばエースストライカーの豪炎寺の属性は火。相手のディフェンダーが山なので、ちょっと分が悪いな、といった具合だ。

 このコマンドバトルのときに、必殺技の選択もできる。このあたりは往年のファミコンの名作「キャプテン翼」を思い出していただければわかりやすい。必殺技には「TP(テクニックポイント)」が必要で、強力な技を1試合に何度も使用できるというわけではない。

 必殺技はシュート系のものばかりではなく、素早い動きでボールを奪う「クイックドロウ」や強烈なスライディング「キラースライド」といったディフェンス系の技も用意されている。中にはボールがスイカに変わる「フェイクボール」や、後ろに回り込んでひざカックンする「うしろのしょうめん」なんて笑えるものも! チームが成長してきて、相手も強豪チームになると必殺技の応酬となる。


試合の流れは基本的にリアルタイムだが、画面の右上の手のひらアイコンをタッチすると10秒間試合が止まってゆっくり選手に指示が出せる「ドロータイム」になる

 通常のアクション部分とこのコマンドバトル部分のバランスがよく、試合には奥の深さを感じる。慣れるまでは結構大変だが、コツをつかむとジワジワ面白くなってきて、いろいろなプレイを試してみたくなる。対人のワイヤレス対戦も用意されているので、慣れたプレイヤー同士ならかなり白熱しそうだ。

 ちなみに「バーニングフェイズ」という、いわゆるボーナスタイムも、試合を分ける重要な要素。3人の異なるプレイヤーがシュートをすると、一定時間、バーニングフェイズに突入する。このフェイズの間は必殺技のTP消費が半減し、さらにコマンドバトルでも勝ちやすくなる。つい1人のFWに頼りがちになってしまうが、バーニングフェイズをいかに発動させるかが問われる。

自分だけのイレブンを作ろう!

 試合以外にも、詰め込まれすぎなほど、さまざまな要素がもりだくさんだ。特に選手収集はやり込み派にはたまらないだろう。

これが「人脈システム」。ゆうじょうポイントを消費して、スカウト可能な選手を増やす。ところどころロックされた場所は一定の条件を満たすと先に進める
チームメイトや戦った選手は選手バインダーに登録される。ちなみにWi-Fi通信で毎週1人配信のダウンロードサービスも実施される。どんな選手か、楽しみだ

 雷門中学の生徒たちをサッカー部にスカウトする方法はいろいろある。マネージャーの音無春奈に頼んで、部活やポジション、能力を指定する「条件で探す」方法、欲しい選手を名指しする「名前で探す」方法。また、ゆうじょうポイントを使って人脈ルートを広げていく「人脈で探す」方法もある。これは実際に写真を見てもらえれば分かるが、人間関係がRPGのスキル習得システム風にツリー化されていて面白い。また、ゲームが進行すると他校の生徒を引き抜く奥の手も使えるように……。

 登場する選手はなんと1000人以上! 遭遇した選手が登録される「選手バインダー」もあり、スカウトするとさらなるデータも記録される。コンプリート要素も十分だ。


 ストーリー、システム、グラフィック周り、やり込み要素とすべての部分において熱の入った「イナズマイレブン」。試合で歯が立たなくても、バトルで経験値を積んだり、ねっけつポイントを消費してパラメータを上げたりすれば、必ず勝利に結びつくというスタイルは、ゲーム初心者でも遊びやすい。

 あえて気になったところを挙げれば、エンカウントで戦うバトル部分がやや単調な点。何度も同じルールでの戦いを強いられるのはちと辛い。プレイヤーにとっては強制的にやらされる部分なだけに、工夫してもしすぎるということはないだろう。また、必殺技に関して、もう1人の自分がディフェンスする「ドッペルゲンガー」や、キーパーがゴールをずらす必殺技「ゴールずらし」など、荒唐無稽なものや間違いなく反則な技が入っているのが気になる、という人もいるのではないか。超人的な肉体を持てばなんとかなる、という次元は越えてしまっている。ただし、この部分はサッカーファン以外にも興味を持ってもらおうという本作の意図でもあり、最終的には個人の好みになるだろう。

 何はともあれ、サッカーゲームとしては、画期的で、かつ挑戦的なのは間違いない。頭の体操とミステリーという2つを組み合わせて「レイトン教授」という新境地を生み出したレベルファイブが、再び繰り出した必殺シュート。多くのプレイヤーの心のゴールに突き刺さるはずだ。

「イナズマイレブン」
対応機種ニンテンドーDS
ジャンル収集・育成サッカーRPG
発売日2008年8月22日
価格(税込)4800円
(C)LEVEL-5 Inc.


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