狼なんか怖くなかったりやっぱり怖かったり「プーヤン」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)
豚もおだてりゃ木に何か出す
「プーヤン」がファミコンに移植されたのは、裏技ブーム全盛期の1985年(発売日は9月20日で、「スーパーマリオブラザーズ」の1週間後だった)。そのためか「プーヤン」のマニュアルには、「ウラワザがいっぱい」というタイトルで、3つの技が紹介されている。
1つ目は、前にも述べたが、風船を撃つたびに狼の上昇スピードが遅くなるというもの。2つ目は、投げた肉が、狼の持っていない風船に当たると跳ね返るというもの。意図せずにこれが起こって、肉が狼に当たらないと厄介だが、逆にわざと跳ね返して、肉をより多くの狼に当てるという技が紹介されていた。
3つ目は、本来風船に当てるべき矢を、わざと狼に当てるというもの。その狼は盾を出して矢を弾くので、倒すことはできないが、弾かれた矢が真下に飛んでいくため、そこに別の狼がいたら、持っている風船を直撃する。このことを利用して、縦一列に並ぶ狼を倒すことができるのだ。
もっとも、これらは“ウラワザ”というより“テクニック”。そもそもマニュアルに堂々と書かれている時点で、“ウラワザ”とは呼びがたい。実は「プーヤン」には、本当の意味での“ウラワザ”といえる、多くの隠れキャラが存在するのだ。
「プーヤン」の隠れキャラはいずれも、出すためには高度な技術が必要で、挑戦しがいがあるものばかり。まず、下から2番目のハシゴの横で、矢を12発カラ撃ちすると現れるキノコ。撃つと8000点入り、しかもゴンドラがスピードアップする。最初のステージで出すことができるが、位置合わせが難しい。
お次は鳥。BGMのリズムに合わせて攻撃していると現れる。撃つと40000点ももらえる。さらに、肉の飛び方が変わり、何かに当たって跳ね返ったかのように行ったり来たりする。もっとも、いちばん遠くの列にいる狼を、肉で倒せなくなるのはツラい。ボーナスステージでパーフェクトが取れなくなるし。
ゴンドラをまったく止まらずに1往復させると、葉っぱが現れる。撃つと4000点入る。
豚に新機種
さらには、狼の投げる石をゴンドラの屋根に3回当てて、跳ね返った石を3回とも撃つと現れるチョウチョ(高得点のフルーツが早く出てくる)。矢を二十数発連続して風船か石に当てると現れる虫(肉がどんどん出てくる)。偶数ステージで、3つある風船発射口のうち、左端から発射される風船だけを撃つと現れるゴキブリ(ママの残り人数が5匹増える)。
これだけ多くの隠れキャラが出てくるにもかかわらず、この記事に載っている写真がキノコと鳥と葉っぱだけというのは、……はい、もちろん、わたしがほかの隠れキャラを出すことができなかったからです。すみません。
フルーツも、イチゴ、リンゴ、梨(ミカンかも)までは出せたが、実はその後さらに、水滴、パイナップル、メロン、ファミコンと変化し、最後はプログラマーの中本さんになるらしい。「プーヤン」と同じ1985年の、年末に発売された「ボンバーマン」にも、ファミコンと中本さんは登場する。ただ「プーヤン」のファミコンと中本さんは、「ボンバーマン」ほど高得点ではない、らしい。
「プーヤン」はさまざまなゲーム機に移植されていて、今日でも入手は難しくない。特にファミコン版は、Wiiのバーチャルコンソールでリリースされており、ダウンロード購入できる。
アーケード版をもとにした近年の移植としては、アーケードとプレイステーションで登場した「コナミ'80sアーケードギャラリー」、ハムスターから発売されたプレイステーション2版(「オレたちゲーセン族」シリーズ)、ニンテンドーDSの「コナミ アーケード コレクション」がある。
また、PSPの「メタルギアソリッド ピースウォーカー」には、「プーヤン」をモチーフにしたミッションがある。メタルギアソリッドのリアルなグラフィックで「プーヤン」が再現されると、同じようなシチュエーションでも、やっぱり受ける印象は変わるなあと思った。
最後に
今回の記事を書くにあたり、当初別のゲームを取り上げる予定でしたが、震災の影響で今回行こうとしていた場所に行けず、内容を変更しました。
わたしは、今回の震災で津波の被害を受けた町の多くに、行ったことがあります。見たことのある景色、歩いたことのある道路が、津波に飲まれる映像をテレビで見て、とても信じられませんでした。
今のところはまだ、日本赤十字社にわずかばかりの義援金を送ることしかできないのがもどかしいです。いつか被災地が復興して、また気軽に訪れることのできる町に戻ることを祈っております。今は思っていることをあまりうまく整理して書くことができませんが、心から願ってやみません。
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