第15回:「待って、もう1回!!」 いつの間にかゲームがやめられなくなるフシギな呪文、「コンティニュー」のスッゴイ仕掛けなぜ、人はゲームにハマルのか?(4/4 ページ)

» 2012年01月06日 10時44分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

協力プレイの導入はコンティニュー数の増加も狙いの1つ

 ビデオゲームは1人で黙々とハイスコアの更新を狙うだけでなく、プレイヤー同士で協力しながら遊ぶのもまた楽しいものです。1人ではなかなか攻略できない場面でも、パートナーのサポートを得てうまくクリアできたときの喜びは格別です。

 古いアーケードゲームでは、任天堂の「マリオブラザーズ」をはじめ、カプコンのシューティングゲーム「エグゼドエグゼス」やSNKの「怒」シリーズ等々、2人同時にプレイすると楽しくかつ攻略がスムーズに進むことは、実際に遊んだ経験がある人であればよくご存知のことでしょう。これらの作品は、最初は1人でスタートした場合であっても途中でコインを投入すればもう1人のプレイヤーがいつでも参加できるのがミソ。途中からでも始められるようにすることで、参加機会の増加すなわちインカムアップにつなげるというワケですね!

 ゲームをただ見ている人に対して、ぜひ遊んでもらおうと協力プレイを促す面白い演出をしていたのが、タイトーが1986年に発売したアクションゲーム「バブルボブル」。本作では、1人プレイ時に空いている方の主人公キャラが「INSERT COIN!」「TO JOIN!!」と書かれたプラカードを掲げ、ぜひ遊んでほしいと盛んにアピールを繰り返します。そしてコインを入れてスタートボタンを押すと、両手を挙げて「THANK YOU!」とお礼を言ってからゲーム開始となります。

 以下のムービーをご覧になればお分かりになるかと思いますが、主人公キャラクターのアクションがとても可愛らしくできているので、「カネをよこせ!」という嫌味さを一切感じさせないのもプレイヤーへの訴求に大いに役立っていると言えそうです。さらに本作の場合は、2人プレイで最終面をクリアしないと真のエンディングが見られない仕組みになっているため、これも協力プレイのアピールすなわちインカム向上の要因になっていたのでは、と推察されます。

※プレイステーション2版「タイトーメモリーズ上巻」 を使用
(C)TAITO CORP. 1979-2005

 今ではめっきり少なくなりましたが、昔はアーケードゲームの定番だったクイズゲームも、ほぼ例外なく協力プレイシステムの導入によって人気、すなわちインカムを稼いでいました。多くのクイズゲームは、一定数のお手つき(誤答)をするとゲームオーバーになるルールになっていましたので、例えば3択や4択形式のクイズであれば1人のプレイヤーが間違えた場合には、自動的にパートナーが2または3択の高確率で正解できるようになる、すなわち先のステージへ進みやすくなるのです。

 また、協力プレイの途中でゲームオーバーになったときには、「せっかくここまで進んだのに、途中で離脱すると相手に何だか申し訳ないな……」という気分になってしまい、ついついコンティニューを繰り返してしまいます。人間心理を巧みに突いた(?)、実に見事なゲームにハマル仕組みですよね!

画像画像画像 クイズゲームは2人同時プレイの導入によってインカムを伸ばした典型的なジャンルと言えます
※写真は1992年にナムコが発売した「爆裂クイズ 魔Q大冒険」です
(C)1992 NAMCO LTD., ALL RIGHTS RESERVED

 2人プレイのときにだけ利用できるフィーチャーを盛り込み、協力プレイの魅力をアピールする例もあります。

 例えば、コナミが1985年に発売したアーケード用シューティングゲーム「ツインビー」では、2人同時プレイ時にお互いの自機をくっつけると強力なショットが撃てる合体攻撃が使えるようになっていました。また、1993年に東亜プランが発売したシューティングゲーム「バツグン」では、2人のプレイヤーが同時にボンバーを発射すると、より強力な合体ボンバーに変化して敵に大ダメージを与えられるアイデアも盛り込まれていました。

 しかし、シューティングゲームの場合は他のアクションおよびクイズゲームに比べると同時プレイを楽しむユーザーは昔から圧倒的に少ない印象を受けます。これはシューティング好きは1人で黙々と腕を磨くのが好きなタイプが多いせいなのでしょうか? 理由は定かではありませんが、このあたりも今後の当コラムにおける研究課題となるかもしれませんね……。

画像画像画像 「ツインビー」の合体攻撃は2人協力プレイでないと使用できないようになっていました
※ファミリーコンピュータ版を使用
(C)KONAMI 1986

 以上、コンティニューにまつわるお話をお読みになったご感想はいかがでしたか? 冒頭でも申しましたが、こうして見ると実に奥の深い世界であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。プレイヤーの参加意欲をいかにあおって売上をアップさせるのか、そのために編み出された数々のアイデアはまさに先人たちの知恵の結晶であり、これらを最初に考案した方々には敬意を表さずにはいられません。

 ここでもうひとつ、みなさんにぜひ覚えておいていただきたいことがあります。それは大多数のアーケードゲームに導入されている、コンティニュー受付時間中にコインを入れると、その瞬間にカウントダウンしていたタイマーがリセットされるアイデアの存在です。これによって、プレイヤーがスタートボタンの場所を探したり財布をポケットやカバンにしまうための時間的余裕を与え、精神的なプレッシャーから解放させる効果があるのです。今度ゲームセンターに行く機会があったときには、ぜひこの機能をみなさん自身の目で確かめてみてください。些細なことですが、このようなノウハウの蓄積がアーケードゲームの売上を少なからず支えているのです。

 ゲーム開発ではなく営業畑出身の筆者が申し上げるのはおこがましいかもしれませんが、このようなちょとしたアイデアにもユーザーすなわちお客様への気配りの意味があることをぜひとも覚えておいていただきたいですね。

 それでは、今回のお話はここまで。また次回お会いしましょう!

今回登場したソフトはココで遊べます!

  • 「ドルアーガの塔」:PSP用ソフト「ナムコミュージアムVOL.2」、PS用ソフト「ナムコミュージアムVOL.3」
  • 「ドラゴンバスター」:PSP用ソフト「ナムコミュージアムVOL.2」、PS用ソフト「ナムコミュージアムVOL.2」
  • 「スペースハリアー」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「R-TYPE」:Wiiバーチャルコンソール(PCエンジン版の「R-TYPE I」および「R-TYPE II」)
  • 「1942」:Wiiバーチャルコンソール、PS2用ソフト「カプコン クラシックス コレクション」
  • 「ファイナルファイト」:Wiiバーチャルコンソール(スーパーファミコン版)、PS2用ソフト「カプコン クラシックス コレクション」
  • 「ストリートファイターII」:Wiiバーチャルコンソール(スーパーファミコン版)、PS2用ソフト「カプコン クラシックス コレクション」
  • 「首領蜂」:PS用ソフト「首領蜂」ほか
  • 「アルゴスの戦士」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「ダライアス外伝」:PS2用ソフト「タイトーメモリーズ上巻」
  • 「スーパーマリオブラザーズ」:Wiiバーチャルコンソール
  • 「バブルボブル」:Wiiバーチャルコンソール(ファミコン版)、PS2用ソフト「タイトーメモリーズ上巻」
  • 「ツインビー」:Wiiバーチャルコンソール(ファミコン版)、PSP用ソフト「ツインビーPORTABLE」

著者プロフィール

鴫原 盛之 Morihiro Shigihara

 1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。その後、某メーカーでのグッズ・店舗開発や携帯コンテンツの営業、ゲームセンター店長などの職を経て、2004年よりフリーに。現在は各種雑誌やwebサイトでの執筆をはじめ、某アーケードゲームの開発なども手掛ける。著書は「ファミダス ファミコン裏技編」(マイクロマガジン社)、「ゲーム職人第1集 だから日本のゲームは面白い」(同)の他、共著によるゲーム攻略本・関連書籍を多数執筆。近刊は共著「デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド」(ソフトバンククリエイティブ)がある。

Twitterは「@m_shigihara」です。

著者近況

 先日、アスキー・メディアワークスより発売された攻略本「スーパーマリオランド3Dランド ザ・コンプリートガイド」におきまして、筆者は攻略ページの執筆を一部担当させていただきました。よろしければぜひお買い求め下さい!

 今やビデオゲームを楽しむうえでは欠かせないコンティニュー機能ですが、まさかこれほど奥の深いものだったとは……。執筆しながらいろいろと調査している最中にも、次から次へと新発見が続いたため当初の構想よりもはるかに文章量がマリオ大増殖状態になってしまいました(笑)。


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/18/news004.jpg 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  2. /nl/articles/2405/18/news066.jpg 「なぜ今になって……」 TikTokで“15年前”の曲が大流行 すでに解散の人気バンド…… ファン驚き 「戸惑いが隠せない」
  3. /nl/articles/2405/18/news055.jpg ガチ“別人級”……凄腕メイク術駆使したビフォアフが「日本の頂点」と話題、“フォロワー数580万人”の美容系インフルエンサー
  4. /nl/articles/2405/18/news003.jpg 0歳娘がはじめて歩けた瞬間、パパの顔を見て…… 号泣必至の“表情としぐさ”に「やったねえ!すごいねえ!」「かわいくて涙が」
  5. /nl/articles/2405/15/news106.jpg 「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
  6. /nl/articles/1611/04/news117.jpg 「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出
  7. /nl/articles/2405/18/news023.jpg 死んだはずのスズメバチ、お尻をよく見てみると…… 「亡者の執念発動してますね」「だから怖いんだよな」油断できない生命力におののく声
  8. /nl/articles/2405/18/news068.jpg 『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博がXで怒り 立て続く“誤配”で「三度目です」「次はもう知らん」
  9. /nl/articles/2405/17/news026.jpg トリミングでシーズーを「ハムスターにしてください」とお願いしたら…… インパクト大の完成形に「可愛いーーー」「なんて愛おしい鼻毛カール」
  10. /nl/articles/2405/17/news022.jpg 妻が作ったキャラ弁にフランス人夫と3歳娘が大爆笑! 「怖い」と言われた完成形に「蓋開けた瞬間w」「一緒に笑っちゃいました」
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評