山の斜面に「普通の人」石像400体 知る人ぞ知る富山の珍スポット「ふれあい石像の里」が色々おかしい
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山の斜面に1400体もの石像がずらりと並んだ珍スポットが、富山にある。ほとんどの像は坊主頭の羅漢様だけど、なぜか中には街で普通に見かけそうなスーツ姿の男女たちの石像も。めちゃくちゃ笑顔だったりピースをしていたりと、石像にしてはなんだかフレンドリー……いったい何者?
彼らはべつに富山の有名人というわけではない。ある実業家さんが個人的にお世話になったという理由で、記念写真を元に勝手に石像にされてしまった方々なのだ。そんなとんでもない石ゾーン「ふれあい石像の里」と「おおざわの石仏の森」を訪ねてきた。
「ふれあい石像の里」「おおざわの石仏の森」は、富山市街から車で約15分、神通川第2ダム(富山市大沢野町周辺)のほとりにある無料施設だ。経営は富山県の医療法人・社団城南会。会長である古河睦雄さんが、観光名所になればと石文化への趣味も交えつつ、中国の彫刻家に依頼して1989年に創設した。費用は6億円……いろいろスケールが突き抜けている。
心優しい富山市猪谷住まいの女性ドライバーに拾ってもらい、41号線を走りながら大沢野町あたりで窓の外を眺めると、神通川の向こうに例の石像たちが現れた。山のふもとあたりの一帯に白っぽいのがぎっしり。目をこらすと多くがこちらへ顔を向けていてちょっと怖い。
富山の知り会い5、6人に聞いても誰も知らなかったが、運転手いわく国道を使う地元民の間では有名なスポットとのこと。夜はライトアップされ、初めて見た人はたいてい驚くと笑っていた。うん、絶対怖いだろう。ネットでは富山の珍スポットとしてたびたび話題に上がっているので、どうも知る人ぞ知るニッチな施設のようだ。
目的地のすぐ対岸に下ろしてもらい、さっそく石像の里へ。石像の森には羅漢像が500体ほど並び、そこから800メートルほど離れた里の方に、お目当てのまったく知らない人たちの像……会長さんの先生、友人、親族といった身近な人たちの像があるらしいのだ。
里に着いてみると、その多さに苦笑い。石畳の空き地をコの字に囲むように、山の斜面や原っぱにずらっと、知らない人の像400体と羅漢像300体、総勢700体が並んでいる。神社に石像が1体あるだけでけっこうな存在感なのに、ところによってはパチスロ台みたいにぎっちり密着して並んでいて、とんでもない威圧感だ。みなさん中央の空き地を向いていて、そこに立つと視線の集中砲火、ものすごく落ち着かない。ていうかどこにいてもそわそわするよ。
会長さんにとっては大切な、僕にとっては全然知らない人の像を、1つ1つ鑑賞していく。笑顔でピースサインを決めているおばちゃんに、口をぽかーんと開けて突っ立っている女の子。記念写真から作られたためか、ほかの観光地ではまず見られないような石像と何度も出くわし、飽きが来ない。一応どの台座にも「保」「ヤスコ」など名前らしきものが彫られているけど、知ってもしょうがないよ、シュールすぎるよ。
ではここから、気になった石像の写真を紹介していきたい。
妙なテンションのまま敷地を駆け巡り、珍石像ツアーは1時間弱であっという間に終了。元の写真にアレンジが加えられたのか、ヒツジやトラに乗ったスーツの女性や、小さなペガサスを抱えたシャツ&ネクタイの男性など、たまにあった動物コラボものが忘れられない。
ちなみに大量の羅漢像は、寺院などによくある五百羅漢にならい、石仏の森と合わせて300体多い「八百羅漢」として設置されている。僧の中でも尊敬に値する者としてお偉いはずの羅漢様。数が多いせいなのか、ガッツポーズをしたり自ら頭をつかんで首をのばしたりとちょいちょいおちゃめな羅漢様がいて、こちらの方も見所というかツッコミどころがあった。
数から種類まで、型破りな石像たちにハラハラし通しだった石像の里と石仏の森。徒歩だと最寄り駅のJR笹津駅から約30分くらい。駐車場もあるので、車で通りがかった際には一度そのスケールの大きさに興奮してみては。
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