将棋電王戦FINAL第1局は人間側が勝利 21歳のイケメン棋士・斎藤慎太郎五段がAperyを真っ向勝負で撃破

プロ棋士も斉藤五段の指し手を「ノーミス」と絶賛。

» 2015年03月14日 23時42分 公開
[たろちん,ねとらぼ]

 3月14日、プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトによる5対5の団体戦「将棋電王戦FINAL」の第1局が行われ、ニコニコ生放送で中継されました。

画像

 団体戦形式での開催は今回が最後となる将棋電王戦。これまで負け越しているプロ側は若手を中心に、徹底的にコンピュータ将棋ソフトを研究して勝ちに行く布陣で挑みます。人間側の先鋒は真っ直ぐな将棋と人柄、そして甘いマスクで「西の新王子」とも呼ばれる人気の若手棋士・斎藤慎太郎五段。コンピュータ側は前回の世界コンピュータ将棋選手権で優勝も飾った実力ソフト「Apery」が登場しました。

画像 斎藤慎太郎五段

画像 Apery

 対局会場となったのは世界遺産・二条城で、実際にかつてお城の給仕が行われていた二の丸御殿の「台所」に対局場を設置。斎藤五段の登場シーンは入場ならぬ「入城」になるというユニークな光景になりました。将棋ソフトの指し手を盤上に再現する代指しロボット「電王手くん」も一新され、名前を「電王手さん」とあらためて初登場。さらに進化したスムーズな動きで駒を操り、恒例となった対局開始時の「おじぎ」も披露してくれました。

画像 対局会場へと「入城」する斎藤五段

画像 さらなる進化を遂げた電王手さん。ちなみに性別は「男」だそうです

 戦型は斎藤五段の居飛車対Aperyの振り飛車という対抗型に。Aperyが飛車を四筋に構える「四間飛車」を選択すると、斎藤五段が「いやー」と頭を抱える場面がありました。その後も何度か動揺したような仕草が見られた斎藤五段ですが、対局後のコメントによると「考えていた形のひとつではあるが、本命の将棋ではなかった」とのこと。

 過去の棋譜や定跡と同じ場面でも自力での思考を行うソフトであるAperyは、序盤から1手ごとに長考。それに対して、斎藤五段はほとんど時間を使わず指し手を進め、残りの持ち時間に早くも1時間以上の差が開きます。このあたりは過去の電王戦でも見られた展開で、事前研究や定跡に長けた人間にとって有利な点のひとつ。解説の鈴木大介八段は「人間は中盤が難しいけど、コンピュータには手の広い序盤のほうが難しいのでは」と分析しました。

画像 Aperyの指し手を見て頭を抱える斎藤五段

 将棋は当初、お互いが玉をがっちりと固めあう「相穴熊」模様に進行しますが、途中でAperyが玉を囲いきらないまま攻撃に転じます。相手の飛車を成らせて自陣の守りの金を捨てても攻撃の手を選択するなど、Aperyがいかにも「コンピュータ将棋らしい手」を見せました。斎藤五段がそれに冷静に対処していくと、多くのプロ棋士が「斎藤五段有利ではないか」と見る展開に。しかし、そこからの粘り強さがコンピュータ将棋の真骨頂であることは、過去の電王戦で多くの棋士やファンが痛いほど経験済みです。無数の変化の中から、たった一つ読みを外しただけで取り返しがつかなくなるのが対コンピュータ戦。ここからは斎藤五段が一転して長考に沈みます。

画像 ニコ生将棋では指し手と同じくらい注目が集まる対局者のお昼ごはん。斎藤五段が選んだのは他人丼でした

 ニコニコ生放送ではニコファーレでの大盤解説のほか、現地控え室や対局場近くで開催された解説会からも中継が行われました。将棋ソフトの評価値や予想手を表示できるシステムを搭載したタブレット「Surface」を使った解説や、将棋用語に特化した音声認識システムを使って現地控え室にいる棋士の声をニコ生コメントに表示するなど、電王戦らしいテクノロジーと将棋の融合の数々も披露されました。

画像 タブレット「Surface」にドワンゴ技術部が開発した棋譜再生ソフトを搭載して解説に利用

画像 NTTの音声認識システムを将棋用語に特化したシステムを準備。でも将棋界人気ダジャレ「両取りヘップバーン」までは対応しきれなかったもよう

 夕食休憩後、いよいよ局面は終盤戦に突入。斎藤五段はミスなく指し手を進め、とうとう素人目にも「必勝」と呼べる展開に持ち込みます。一方、Aperyは持ち時間を使い切り、電王戦史上初めてコンピュータ側が1手1分の「1分将棋」に突入。次第に時間稼ぎのような無意味な手が目立つようになります。人間同士なら投了する局面ではありましたが、Apery開発者・平岡拓也さんの「せっかく棋譜が残るのだから、コンピュータの特徴的な手を残したい」「最後の1手まで指します」という事前の宣言どおり対局を続行。斎藤五段も最後まで気を抜かず、115手にて斉藤五段がAperyを詰ませての完勝となりました。

画像 苦しい戦況を見つめる平岡さん。長時間の対局ながら姿勢をほとんど崩さずAperyを見守っていました

画像 勝利の瞬間

 斎藤五段は事前に数百局の練習を重ね、20〜30パターンほど有力と思われる局面を用意していたそうですが、本番では「まさかここまで一気の勝負になるとは思っていなかった」と驚いたとのこと。これまで電王戦で勝利した棋士は事前準備どおりの展開にソフトを誘導して勝つパターンが多かったですが、結果として真っ向勝負で見事に強豪ソフトを撃破した形になりました。平岡さんも「こちらの読みに無い手を指されるたびにAperyの評価値が下がっていった。今回の将棋は完全に力負けでした」と斎藤五段の実力を賞賛。斎藤五段が「普段対局していたときの強さはやや影を潜めていた」と語るように、プロの事前研究を避けるため評価値としての最善手以外の手をランダムで選択するAperyの思考が裏目に出た部分もあったようですが、完璧な指し手で相手の隙を逃さなかった斎藤五段が、プロ側にとって大きな1勝目をあげました。

たろちん

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/12/news010.jpg 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
  2. /nl/articles/2404/09/news079.jpg お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  3. /nl/articles/2404/11/news030.jpg 夫婦ゲンカ翌日の“やり返し弁当”、白飯に「バカ」だけと思いきや…… 「仕返し最高です」「めちゃめちゃおもろい笑」
  4. /nl/articles/2404/12/news017.jpg ダイソーのバケツでオクラを育ててみたら…… 最強の省スペース栽培に「今年の夏は是非やってみます」「すごい!すごすぎます!」
  5. /nl/articles/2404/12/news182.jpg 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  6. /nl/articles/2404/11/news026.jpg 庭に直植えして大後悔した巨大木の伐採を、YouTuberにお願いしたら…… 流血沙汰の結末に「色々と考えもんだなぁ」「あんなんなるんだ」
  7. /nl/articles/2404/09/news009.jpg “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  8. /nl/articles/2404/11/news095.jpg カビ・石けんカス・水アカはどの順番で落とせばいいのか―― プロが教えるお風呂掃除が参考になる「見事です!」「感動しました!」
  9. /nl/articles/2404/12/news009.jpg 猫素人だった息子と、元野良猫が出会って3年…… 徐々に距離を縮める様子に「ジーンとしました」
  10. /nl/articles/2404/12/news015.jpg 万能「ストライプシャツ」の“コレジャナイ感”を解決するには…… 印象激変の着こなし術に「できそう!」「ちょっとした工夫ですね」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  2. 500円玉が1つ入る「桜のケース」が200万件表示越え! 折り紙1枚で作れる簡単さに「オトナも絶対うれしい」「美しい〜!」
  3. 赤ちゃんがママと思ってくっつき爆睡するのはまさかの…… “身代わりの術”にはまる姿に「可愛いが渋滞」「何回見てもいやされる!」
  4. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  5. 日本地図で「東京まで1本で行ける都道府県」に着色 → まさかの2県だけ白いまま!? 「知らなかった」の声
  6. 中森明菜、“3か月ぶりのセルフカバー動画”登場でネット沸騰 笑顔でキメポーズの歌姫復活に「相変わらずオシャレで素敵」「素敵な年齢の重ね方」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. もう別人じゃん! 「コロチキ」西野、約8カ月のビフォーアフターが「これはすごい」と驚きの声集まる
  9. 娘がクッションを抱きしめていると思ったら…… 秋田犬を心ゆくまで堪能する姿が440万再生「5分だけ代わっていただけますか?」「尊いなぁ…」
  10. 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」