子どもが1人でご飯を食べられる「子ども食堂」が池袋にあるらしい
現代の東京ではなかなか体験できない、和気あいあいの夕食タイム。もちろん大人もいただきます!
東京都豊島区要町――池袋からほど近い住宅街の中で、子どもが1人で食べられる食堂があります。しかもオープンは月2回、毎月第1・3水曜日の17時30分〜19時までの限定。どんな場所かと興味そそられ出向いてみることにしました。
東京メトロ有楽町線「要町」駅から歩くこと5分。白壁にカラフル文字で書かれた看板を発見しました。ここが「要町あさやけ子ども食堂」です。誰でもどうぞと言わんばかりに門戸が開き、奥からこぼれるあたたかな光が、ホッとできる家に帰ってきたような雰囲気を醸し出しています。この中にある光景に期待が高まり、いざドアを開けると……、
すごい数の靴!! まるで、田舎のおばあちゃんちに親戚一同でも集まっているかのよう。果たして中に入れるのだろうか? と一瞬ひるみます。しかし、そんな不安をすぐに払拭してくれたのが、エプロンに三角巾姿のスタッフでした。
「こんばんは、ようこそ!」とニッコリ笑顔で、「今日はね、とてもお客さんが多いのよ。どこか空いてるから、好きな席で召し上がって」とフレンドリーに出迎えてくれました。初めて会った方なのに、まるで昔から知っているご近所さんのようです。
玄関を上がると左右に部屋があり、まずは左へ。すると、パーティが開かれてるようなにぎわいが。これがいつもの「子ども食堂」の光景だったのです。みんな楽しげに会話をしています。こちらがシャッターを切るのもお構いなしで話に夢中。ですが、この中には本日初対面という方もたくさんいるとのこと。それにも関わらず、話に満開の花・花・花! 賑やかムードに早く溶け込みたい……そんな気持ちにさせられました。
食事が終わった子どもたちは飛ぶ勢いで階段を登って2階へ。我も後に続けと登っていくと――。
子どもたちが自由に遊べる部屋が! 大学生のお姉さんやお兄さんが絵本を読んだり、おもちゃで遊んだりと夕食後の子どもたちを楽しませていました。
ここは、要町あさやけ子ども食堂の店主である山田さんのご自宅。ご自身の部屋以外はすべて使用できるようにと改装したそうです。約2年前から始めたこの活動、最初は訪れるお客さんも少なめで、穏やかなムードだったそう。しかし、今や口コミで広がり、ママ会? お誕生日会? とも思えるほどの活気と賑わいに包まれるようになったとのことです。
さて、1階に戻り、先ほどと反対側にある部屋に行ってみると、ここはテーブル席の食堂。畳の食堂同様に、活発なコミュニケーションで盛り上がっていました。“大家族”のワンシーンみたい!
この奥にはオープンキッチンならぬ厨房スペースがあり、ここの“主役たち”が意気揚々と活躍していました。それは自前のエプロンと三角巾がお似合いのボランティアのみなさん! 多い時は20人近くにもなるそうです。人が人を呼び、私も私も! といった具合で、集まってくれているとのこと。みなさん、ものすごく楽しそう。
メニューは基本的に野菜中心。素朴で味わい深い、まさにおふくろの味が堪能できます。この日はジャガイモ、インゲン、ゴーヤ、かぼちゃなど。普段の食事では、ここまで野菜を食べることは厳しい……と思うと、栄養満点のぜいたくな食事ですね!
それでは、私もいただきまーす! 肝心な味は? というと、隣に座った子どもが「おいしかったぁ〜」と絶賛していました。私も続いて同じことを言ってしまいました。
そもそも、子ども食堂はなぜできたのか? 子ども1人での食事や栄養の偏りといった「孤食」という問題に対して、何か打つ手がないかと考えて始まったそうです。それを支えるのが、「NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」さん。地域の子どもを地域で見守り育てるために設立した団体で、夜の児童館などを子どもを通したさまざまな活動をしています。その一つが子ども食堂。今では、多くの人が見学しに訪れ、我が町で我が地域でと、食堂を開こうとしているようです。その手助けもしています。
事務局長の天野さんは「子ども食堂といっても、子どもだけでなく誰でも気軽に訪れることができます。最近は母子連れが増えていますね。ボランティアの方には学生さんから高齢の方までいらして、幅広い世代が自由に交流し、自然な形でコミュニケーションが生まれています。人と人がつながる瞬間に立ち会えることは、このうえない喜びなんです!」と話してくれました。
育ち盛りの子どもに栄養と笑顔で満たされた食卓を提供することから始まった「要町あさやけ子ども食堂」。社会での大きな役割を担う発端として、今後ますます発展していく気がしてなりません。もしかしたら、それは子どもたちによるパワーなのかもしれませんね。
(茂木宏美/LOCOMO&COMO)
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