子どもが1人でご飯を食べられる「子ども食堂」が池袋にあるらしい

現代の東京ではなかなか体験できない、和気あいあいの夕食タイム。もちろん大人もいただきます!

» 2015年08月26日 09時28分 公開

 東京都豊島区要町――池袋からほど近い住宅街の中で、子どもが1人で食べられる食堂があります。しかもオープンは月2回、毎月第1・3水曜日の17時30分〜19時までの限定。どんな場所かと興味そそられ出向いてみることにしました。

 東京メトロ有楽町線「要町」駅から歩くこと5分。白壁にカラフル文字で書かれた看板を発見しました。ここが「要町あさやけ子ども食堂」です。誰でもどうぞと言わんばかりに門戸が開き、奥からこぼれるあたたかな光が、ホッとできる家に帰ってきたような雰囲気を醸し出しています。この中にある光景に期待が高まり、いざドアを開けると……、


画像 優しい色味のライトで温もり満点

 すごい数の靴!! まるで、田舎のおばあちゃんちに親戚一同でも集まっているかのよう。果たして中に入れるのだろうか? と一瞬ひるみます。しかし、そんな不安をすぐに払拭してくれたのが、エプロンに三角巾姿のスタッフでした。


画像 うわっ! 何人いるんだ?

 「こんばんは、ようこそ!」とニッコリ笑顔で、「今日はね、とてもお客さんが多いのよ。どこか空いてるから、好きな席で召し上がって」とフレンドリーに出迎えてくれました。初めて会った方なのに、まるで昔から知っているご近所さんのようです。


画像 玄関でご飯代金(300円)を支払い、木の札(食券)をもらいます

 玄関を上がると左右に部屋があり、まずは左へ。すると、パーティが開かれてるようなにぎわいが。これがいつもの「子ども食堂」の光景だったのです。みんな楽しげに会話をしています。こちらがシャッターを切るのもお構いなしで話に夢中。ですが、この中には本日初対面という方もたくさんいるとのこと。それにも関わらず、話に満開の花・花・花! 賑やかムードに早く溶け込みたい……そんな気持ちにさせられました。


画像 子どもも大人もみんなで和気あいあい!

画像 障子に貼られた手書きのメニュー

画像 味のあるイラストが可愛い

画像 定番の障子の穴あきも、ここではインテリアに

 食事が終わった子どもたちは飛ぶ勢いで階段を登って2階へ。我も後に続けと登っていくと――。


画像 勢いよく駆け上がっていく先は?

 子どもたちが自由に遊べる部屋が! 大学生のお姉さんやお兄さんが絵本を読んだり、おもちゃで遊んだりと夕食後の子どもたちを楽しませていました。


画像画像 手作りの装飾が和ませてくれます

 ここは、要町あさやけ子ども食堂の店主である山田さんのご自宅。ご自身の部屋以外はすべて使用できるようにと改装したそうです。約2年前から始めたこの活動、最初は訪れるお客さんも少なめで、穏やかなムードだったそう。しかし、今や口コミで広がり、ママ会? お誕生日会? とも思えるほどの活気と賑わいに包まれるようになったとのことです。

 さて、1階に戻り、先ほどと反対側にある部屋に行ってみると、ここはテーブル席の食堂。畳の食堂同様に、活発なコミュニケーションで盛り上がっていました。“大家族”のワンシーンみたい!


画像 ずらりと並ぶ夕ご飯。フルーツも添えて彩り豊か

画像 子どもたちとご飯を食べるお母さんの姿はごく一般的な夕食どきの風景

 この奥にはオープンキッチンならぬ厨房スペースがあり、ここの“主役たち”が意気揚々と活躍していました。それは自前のエプロンと三角巾がお似合いのボランティアのみなさん! 多い時は20人近くにもなるそうです。人が人を呼び、私も私も! といった具合で、集まってくれているとのこと。みなさん、ものすごく楽しそう。


画像 初対面の人も多いのに、一致団結してテキパキ働いています

 メニューは基本的に野菜中心。素朴で味わい深い、まさにおふくろの味が堪能できます。この日はジャガイモ、インゲン、ゴーヤ、かぼちゃなど。普段の食事では、ここまで野菜を食べることは厳しい……と思うと、栄養満点のぜいたくな食事ですね!


画像画像 いわゆる“お母さんの手料理”が並びます

 それでは、私もいただきまーす! 肝心な味は? というと、隣に座った子どもが「おいしかったぁ〜」と絶賛していました。私も続いて同じことを言ってしまいました。


画像 今日のメニューが出来上がり。これにご飯と味噌汁がつきます

 そもそも、子ども食堂はなぜできたのか? 子ども1人での食事や栄養の偏りといった「孤食」という問題に対して、何か打つ手がないかと考えて始まったそうです。それを支えるのが、「NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」さん。地域の子どもを地域で見守り育てるために設立した団体で、夜の児童館などを子どもを通したさまざまな活動をしています。その一つが子ども食堂。今では、多くの人が見学しに訪れ、我が町で我が地域でと、食堂を開こうとしているようです。その手助けもしています。


画像 子どもたちは、ここに来るといつもよりたくさんご飯を食べるそう

 事務局長の天野さんは「子ども食堂といっても、子どもだけでなく誰でも気軽に訪れることができます。最近は母子連れが増えていますね。ボランティアの方には学生さんから高齢の方までいらして、幅広い世代が自由に交流し、自然な形でコミュニケーションが生まれています。人と人がつながる瞬間に立ち会えることは、このうえない喜びなんです!」と話してくれました。

 育ち盛りの子どもに栄養と笑顔で満たされた食卓を提供することから始まった「要町あさやけ子ども食堂」。社会での大きな役割を担う発端として、今後ますます発展していく気がしてなりません。もしかしたら、それは子どもたちによるパワーなのかもしれませんね。


画像 お客さんから寄贈されたイラストには店主の山田さんも描かれている

(茂木宏美/LOCOMO&COMO)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/10/news104.jpg 「太ももの筋肉が段違い」 “すさまじい完成度”の春麗のコスプレに「ご本人ですか?」と21万いいねの反響
  2. /nl/articles/2410/11/news033.jpg 「数やば」 ハードオフで目撃した“まさかの光景”が124万表示 「初めてみた」「いってみたい」
  3. /nl/articles/2410/10/news047.jpg 東京駅で“あるはずのない落とし物”が見つかり話題に 深まる謎に「未使用なのか」「すげぇ」「意味が分からない」
  4. /nl/articles/2410/11/news027.jpg 猫用ハウスにワンコがすっぽり、見過ごせなかったニャンコは…… 電車で見ちゃダメな“反撃”に「会話が聞こえてきそう」「笑ったww」
  5. /nl/articles/2410/11/news006.jpg 足の踏み場もないほど散らかった亡き母の部屋…… 息子の依頼で掃除の達人が見事片付けた結果に「驚いた」「素晴らしい仕事」
  6. /nl/articles/2410/10/news171.jpg “4000万円超” 田中律子、プレミア高級車を公開 「夢とロマンスが詰まってる」
  7. /nl/articles/2410/10/news136.jpg 「朝から眼福や……」 元鉄工所勤務の大食いタレントが“気になる”人続出 「くっそかわいいな」「お名前知りたいです!」
  8. /nl/articles/2410/11/news014.jpg とある道の駅で…… 10歳の子どもが熱烈に欲しがった“意外すぎる商品”に7万6000いいね「初めて見ました!」「狂おしいほど魅力的」
  9. /nl/articles/2410/09/news101.jpg 「隠れ家としては最適」 Amazonで“家”を買ったら……? “驚きの構造”が900万回再生の人気【米】
  10. /nl/articles/2410/11/news088.jpg マクドナルド、ポテト250円祭を“まさかの方法”でアピール “懐かしすぎるアイテム”に「若い人に伝わる?」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  2. 「驚愕の修理代」の金額明かす お見送り芸人しんいち、約2000万円の愛車が故障で「終わった」「お金がないです」
  3. プロ警鐘「エアコン、夏が終わったらコレやらないと……」が530万再生 水漏れや“内部のスライム化”を防ぐコツが目からウロコ
  4. “医療ミス”で両頬に大きな火傷 「鏡見るたび涙が止まらない」フォロワー24万人のモデルが悲痛の声 「周りの目が怖い」
  5. スーパーで買ったニンニクを土に植えると…… ぼこぼこ増える驚きの簡単栽培に「たくさん出来て最高」「植えてみよう」
  6. 「これは合格出せない」 リンガーハットがジョブチューン挑戦→“まさかの不合格メニュー2品”に騒然
  7. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  8. 「本当に56歳…?」 “王騎”大沢たかお、“腕と足の太さがほぼ同じ”の圧倒的肉体を披露 「かっこよすぎる」
  9. モグラに似てる“ヤベぇ虫”を、2カ月育ててみたら…… 感動の展開に「これはマジで凄い」「学術発表レベル」
  10. カインズの「撒くだけで防草できる砂」本当かどうか検証してみたら…… 驚きの結果に「魔法のような砂、買いに行きます!」「これさえあれば」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声