あいつ魔物を見る目がやばい、食べる気だ―― 仲間もドン引き、「ダンジョン飯」主人公ライオスの異常な味覚探求心あのキャラに花束を

スライムから動く鎧まで、片っ端から食べてみよう。

» 2015年09月08日 19時00分 公開
[たまごまごねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 時々思うんだよね。ナマコを最初に食べた人って勇気あるなって。毒のあるフグを意地でも食べようとした人って執念だよなって。おかげでぼくらは食べられるわけだ。ありがとう先人。


画像 ライオスのこの目。この目で「食えるかな」とモンスターをにらむ

 マンガ「ダンジョン飯」(九井諒子/KADOKAWA)は、ファンタジーRPG的世界観の中で、ダンジョンに住む魔物をどう食べるか追求した作品。確かにモンスターゆうてもキノコとかカニとかウサギとかいますしね。食べれそうな気はします。

 けれど、主人公ライオス「何がなんでも食べてやる」という探究心はちょっとサイコパス。



好きであるがゆえに

 剣士のライオスは、ドラゴンに食われてしまった妹ファリンを救うため、ダンジョンに潜ります。ゲームのような世界観なので、死んでも復活できます。ファリンはたまたま飲み込まれて腹の中に居たので、魔法で脱出できなかった。

 ライオスについていくのは、エルフの魔法使いマルシルと、ハーフフットの鍵師のチルチャック。いい仲間ですね。ただしダンジョンに潜るにはお金がかかります。特に食費。下に潜れば潜るほど、食べるものがない。そんなにもっていけない。彼らはお金がない。

 そこで、ライオスは「道中で狩ったモンスターを食べよう」という提案をします。


画像 ダンジョン入り口で倒した「歩き茸」を食べようと言い出すライオスさん。ヤダーッ!(1巻20P) (C)九井諒子/KADOKAWA

 魔物を食べながらダンジョンに潜らざるを得なくなった一行。しかしライオスが提案したのには、もう一つ理由がありました。彼は魔物が大好きで大好きでたまらない。姿や鳴き声、足音や捕食方法などなど。好奇心がこじれてたどり着いた疑問が、「どんな味なんだろう」

 彼はダンジョンで出会ったドワーフのセンシとともに、ダンジョンに住む魔物での食事の奥深さを知っていきます。



味覚探求者の異常な愛情

 ライオスの魔物食への探求は異常でした。お腹を満たすために食べるのではなく、「なんでも食べてみたい」。

 魔物を好きすぎる彼。仲間が食人植物に食われかけた時、その植物のつるの締め付け具合の気持ちよさを喜々として語っていました。さすがに食われかけた仲間はドン引き。彼、わりと仲間のことより、魔物への興味が優先しています。そもそも妹が食われたってのに全然焦ってない。


画像 仲間が死にかけていても、魔物への探究心が勝ってしまうライオス。さすがにお前それはさすがに(1巻P55) (C)九井諒子/KADOKAWA

 彼の興味は、食べられそうな動植物の領域をどんどん越えていきます。例えばマンドラゴラとか、コカトリスとか、そのへんはぼんやりと食べられそうな気はします。人間が食べているものに限りなく近いから。けれども彼の食べたいものは動く鎧動く絵の中の食物。鎧に関しては魔物食に精通しているセンシですら、「食えるわけないだろう」。ところが食っちゃうんだなこれが。


画像 「絵に描いた餅」を本当に食ったマンガのキャラは、ライオスくらいしかいないと思う(2巻P109) (C)九井諒子/KADOKAWA


世界に存在するからには

 ライオスの行動は確かに常軌を逸しています。ヘタしたら亜人種すら食べかねない(さすがにマルシルが意地でも止めるでしょうけど)。

 ただ、彼の考え方はあながち間違いではない。

 人間は生物のヒエラルキーにおいて、現在は比較的高い位置に居ます。武器を持って動物を狩り、畑で作物を育て、生きるために食べてきました。さらに家畜という、食用動物育成まで行っています。

 おそらく太古の人は、何が食べられて、何が食べられないか分からなかったはず。キノコなんかは、死を伴ったトライ・アンド・エラーだったでしょう。動物だって、魚や蛇やトカゲなど毒のあるものもいます。誰かが挑戦しなかったら、分からない。きっと、今でこそ当たり前に食べているニワトリだって、最初の最初は「食べたら死ぬかも」と思って食べたでしょう。

 生物の生態が分かっていくと、食べられるのかどうかは分かるようになります。たとえば生き物が毒を持つのは外的から身を守るためであることが多い。ということは何かしらの天敵に、生命をおびやかされている動物の可能性がある。理論立てて考えれば何かしら発見があります。

 「ダンジョン飯」では、人間が想像する「魔物」の生態を、ちゃんと存在する動物として考えたうえで、詳細に考察しています。ファンタジーの定番スライムは不定形生物。でも「生物」には間違いない。ということは消化器官がかならずある。クラゲの不思議な生態を考えたら、ありえない話じゃない。

 さすがにゴーレムや亡霊は生物ではないから食べられない。だけど世界に存在するからには、食の連鎖に関わることだってあるのではないか。世界に完全に無駄な存在なんて、いないはず。


画像 幽霊の冷気を使ったソルベ。うまければよし! ……か?(2巻100P) (C)九井諒子/KADOKAWA

 作者の九井諒子は、他の短編集でも、人じゃない生き物たちの生態を細かく掘り下げて描いています。生物のありかたを考えていくうえで、突き詰めた究極が「食べる」に行き着くのは、なるほど納得。

 冒険者たちがダンジョンで、ライオスが記したレシピにのっとって魔物食を食べる時代が来るかもしれない、と考えると彼は立派な学者です。

 いやどうかな。

 ダンジョン飯 ああダンジョン飯。


画像 それはそうとして、マルシルはかわいいですね


たまごまご


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/12/news116.jpg GU、SNSで話題の「バレルレッグジーンズ」全店発売を延期 「予想を大幅に上回る売れ行き」で
  2. /nl/articles/2407/11/news117.jpg 丸山桂里奈、“元夫”との2ショットに「え!!」 成長した娘にも注目の声「もうこんなに大きくなって!!」
  3. /nl/articles/2407/08/news120.jpg 17歳がバイト代を注ぎ込み、購入したカメラで鳥を撮影したら…… 美しい1枚に写り込んだまさかの光景に「ヤバい」
  4. /nl/articles/2407/12/news114.jpg 「これは吐きそうw」 マクドナルドが公開した“狂気のアイテム”にツッコミ殺到 「ギットギトになる」「笑った」
  5. /nl/articles/2407/11/news018.jpg そうめんを作り置き冷凍弁当にしてみたら……おいしくてリピ確定! 100万再生の作り方に「夏休みの子どものお昼に最高」
  6. /nl/articles/2407/11/news102.jpg この本棚、本当に250冊入るの? LOWYAのスタッフが“忖度なし”で検証したら……まさかの結果が45万回再生の人気
  7. /nl/articles/2407/10/news199.jpg ヤマト運輸のコンテナを運ぶ列車をじっくり見ると……? 唐突な“夢の共演”に反響「動物同士仲良く」「これが本当の便乗」
  8. /nl/articles/2407/10/news082.jpg こういうのでいいんだよ! 外泊経験豊富な人ほど納得できるホテルの“ある工夫”に850万表示「これは助かりますねぇ」
  9. /nl/articles/2407/09/news116.jpg ユニクロ“夏の神ワンピ”を66歳主婦が着てみたら…… シニア世代必見の着こなし術に「待ってました!」「涼しそうでいいですね〜」
  10. /nl/articles/2407/12/news143.jpg フジ「ぽかぽか」の出演者、“生放送中に倒れ”スタジオ騒然の事態に「えっ大丈夫ですか!?」 共演者が当時の恐怖証言「頭が真っ白」「お願い戻ってきて……」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「鬼すぎない?」 大正製薬の広告が“性差別”と物議…… 男女の“非対称性”に「昭和かな?」「時代にあってない」
  2. ヤマト運輸のLINEに「ありがとニャン」と返信したら…… “意外な機能”に「知らなかった」と驚き
  3. “性被害”描くも監督発言が物議の映画、公式サイトから“削除された一文”に「なぜ」「あまりにも……」
  4. イヌワシが捕えて飛ぶのはまさかの…… 自然の厳しさと営みに感動する姿が660万件表示「こんな鮮明に見えるのは初めて」
  5. 大好きな新聞屋さんに会えた柴犬、喜びを爆発させるが…… 切なすぎるお別れに「大好きがあふれてる」「帰りたくなくなっちゃいますね」
  6. 「爆笑した」 スイカを切ったら驚きの光景が……! 自信満々に収穫した夫婦を悲しみと失望がおそう
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出
  9. 「ロンハー」有吉弘行のヤジに指摘の声「酷かった」「凄く悲しい言葉」 42歳タレントが涙浮かべる
  10. 東京の用水路にアマゾン川の生き物が大量発生だと……? “いてはいけないヤツ”の捕獲に衝撃「想像以上にヤバかった」「ホンマに罪深い」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」