まるで御朱印帳 全国郵便局のご当地印を集める「風景印帳」が旅を楽しくしそう司書メイドの同人誌レビューノート

『生き物好きのための風景印入門』『ムッシュ・パクボーと助手マリアンヌの風景印博物館』の2冊をご紹介。

» 2017年08月20日 12時00分 公開
[シャッツキステねとらぼ]
シャッツキステ

 近頃、私設図書館のまわりは雨が多くて、すっかり涼しくなりました。夏の休暇を終えて、そろそろいつもの生活に戻ってこられた方も多いのでしょうか。季節の思い出を添える残暑見舞いのような、ステキな同人誌をレビューします。

今回紹介する同人誌

『生き物好きのための風景印入門』 A5 12ページ 表紙・本文モノクロ

『ムッシュ・パクボーと助手マリアンヌの風景印博物館』 190mm×138mm 28ページ 表紙・本文モノクロ

著者:エハガキ華


同人誌『生き物好きのための風景印入門』 アザラシのまわりを囲んでいるのは昆布。かわいい……
同人誌『ムッシュ・パクボーと助手マリアンヌの風景印博物館』 ロマンを感じさせるステキなデザインです


風景印ってなに? 郵便局でかわいいスタンプと出会おう

 風景印とは、郵便局で押してもらえる、図柄のついた消印です。全国の郵便局で採用されているとのこと。日本郵便のWebサイトでも情報が掲載されています。

 図柄の題材は、その郵便局の土地柄にちなんでいるのですが、郷土品から名物までとっても多彩。そのなかでも、生き物にスポットを当てたのが『生き物好きのための風景印入門』です。日本全国のたくさんの風景印の中から、特に作者さんがおすすめする風景印を鳥類、昆虫、海の生き物、絶滅した生き物などに分類したうえ、紹介されています。えりも岬郵便局のゼニガタアザラシは目がうるうるしてます! 福島県久ノ浜郵便局のフタバスズキリュウは、湾の上を飛んでいるような、悠久を感じさせるデザイン。長崎の大瀬戸郵便局のマダコとひげのおじさま、そしてかんきつ類という名物を詰め込んだに違いない脈絡のないコラボに胸がなぜかざわめき……。全国津々浦々、こんなに面白いスタンプが潜んでいたのですね!

 このかわいくて魅力的な風景印、ハガキの料金と同じ62円の切手を貼れば、自分のノートなど、郵便物以外に押してもらうことも可能なんですって。

同人誌『生き物好きのための風景印入門』 風景印のことが分かりやすくまとめられています

同人誌『生き物好きのための風景印入門』 各地の特色あふれる風景印が。絶滅した生き物、というカテゴリーが絶妙

切手と組み合わせれば、可能性は無限大! オリジナルの「風景印帳」が完成!

 そこでご覧いただきたいのは『ムッシュ・パクボーと助手マリアンヌの風景印博物館』です。こちらは『生き物好きのための風景印入門』と同じ著者の方が作られた、風景印帳……、そう、風景印をスタンプして集めるためのノートです。くっ……この発想だけでわくわくします! しかもこのノート風のご本は、ステキなストーリーも一緒に楽しめてしまうんです。

 本の冒頭には短い物語が添えられています。舞台は“風景印博物館”なんですって。オープン間近ですが、実はまだ展示品に足りないところがあるみたい。館長に依頼され、風景印を求めて旅へと出発! と物語がはじまります。

 そしてページをめくると、まるで絵本のような美しさ。昆虫、海の生き物などとテーマ別にページが分けられ、それぞれ繊細なイラストがページを飾っています。よく見ると、紙がほのかに透けているのが分かるでしょうか。薄くて軽い紙なので、インクが透けて、擦りガラスの向こうをのぞくような美しさを感じます。あ、このイラストのところどころに枠が示してありますね。ははあ、ここに切手を貼って、風景印を押してもらうのですね。

 まずはどこの郵便局のどんな風景印にしようかな? という迷う楽しみが。そして風景印と調和する切手のコーディネートもしたい! こうやって、風景印を集めていくことで、風景印帳としても、物語としても完成するという心憎い作りです。

同人誌『ムッシュ・パクボーと助手マリアンヌの風景印博物館』 鮮やかな色が、不思議な雰囲気をかきたてます

同人誌『ムッシュ・パクボーと助手マリアンヌの風景印博物館』 どんな切手と風景印をコーディネートしようか、わくわくと迷う楽しさが!

御朱印帳みたい? 各地を巡りたくなる楽しさがある

 『ムッシュ・パクボーと助手マリアンヌの風景印博物館』は装丁も美しくて、灰色の表紙にニス盛りをしたような艶(つや)やかな淡い緑のインクが、やわらかくも繊細な雰囲気です。それをぱっとひらくと、本編は鮮やかなインクに彩られています。そしてここに、鳶色のスタンプが押されると思うと、ますます画面は華やかになりそうです。こんなにステキなデザイン、装丁だと、自分がうかつに手を加えてこの雰囲気を壊しちゃいそう……と心配になりかけましたが。でも、自分は切手を選んで、風景印を押してもらうだけ! なんですよね。自分の絵や字の上手下手は全く関係ありません。完成されたデザインの組合せを楽しむだけ。それなのにステキな風景印帳が完成していくなんて、うれしいです。

 目的地を調べ訪ねて、朱のしるしをもらうのは、神社巡りの御朱印帳のようですね。夏休みが終わっても「今度はどこに行こうかな?」と巡る楽しさがありそうです。


サークル情報

サークル名:エハガキ華

次のイベント参加予定:Otegamiフリマ2017 AUTUMNコレクション 切手の博物館(東京都目白 8月26日)

エハガキ華とモリヒサケイコの郵便アソビ展 North Lake Cafe & Books(千葉県我孫子市 9月6日〜10月9日)

Twitter:@ehagaki_hana


今週のシャッツキステ

シャッツキステ 誰かにお手紙を出したり、思い出のメッセージを振り返ったり、なんだかしっとりとそんな雰囲気に浸りたい晩夏ですね

著者紹介

司書メイド ミソノ 司書メイド ミソノ:秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」でメイドとしてお給仕する傍ら、とある大きな図書館で司書としても働く“司書メイド”。その一方で、こよなく同人誌を愛し、シャッツキステでも「はじめての同人誌づくり」「こだわりの特殊装丁」の展示イベントを開く。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えた辺りで数えるのをやめました」と語る

関連キーワード

同人誌 | 郵便局 | 入門 | 切手 | デザイン | ご当地 | 日本郵便


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/08/news177.jpg イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  2. /nl/articles/2411/06/news180.jpg 「むりだろww」「笑いました」 ニトリでソファ購入 → 愛車の前でぼうぜん…… “まさかの悲劇”が1000万表示
  3. /nl/articles/2411/07/news182.jpg 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  4. /nl/articles/2411/07/news163.jpg 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. /nl/articles/2411/05/news138.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  6. /nl/articles/2411/08/news132.jpg peco、息子の近影を公開「すごーくりゅうちぇるに見えます!」「パパに似てる〜」 息子のスクールランチも色とりどりでおいしそう
  7. /nl/articles/2411/08/news143.jpg 高嶋ちさ子、3000万円超の“超高級外車”ゲットにドヤ顔も! 笑い止まらずハンドル握り「Woohoo!!!」
  8. /nl/articles/2411/07/news029.jpg 50代主婦が5日間、ひたすら草抜き&庭木の剪定→たった一人でやり遂げたとは思えないビフォーアフターに称賛の嵐 「尊敬する」「本当に脱帽です」
  9. /nl/articles/2411/08/news025.jpg 「そうはならんやろ」クルマ修理会社の壁を見ると…… まさかの“シュールすぎるイラスト”に9万いいね 「よすぎる」「天才か」
  10. /nl/articles/2411/08/news111.jpg 2人組ガールズユニット、突然の脱退を発表 マネージャー「本人の意思ではない」 母親とする人物からの脱退理由と経緯説明が物議
先週の総合アクセスTOP10
  1. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  2. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  3. 結婚相手を連れてくる妹に「他の人に会わせられない」と言われた兄、プロがイメチェンしたら…… 「鈴木亮平さんに見えた」大変身に驚がく
  4. 「2007年に紅白出場」 38歳になった“グラビア界の黒船”が1年ぶりに近影公開→驚きの声続々
  5. 「クソビビったwww」 ハードオフに38万5000円で売っていた「衝撃的な商品」が90万表示 「売った人突き止めたい」
  6. 夫婦喧嘩した翌朝の弁当を夫が作ったら…… “森”すぎるビジュアルに「インパクトすごい」「最高に笑いました」の声
  7. 約9万円の「高級激レアガンプラ」を10時間かけて制作→完成品に「家宝だ」「めっちゃくちゃにかっこいい!!」
  8. 天皇皇后両陛下主催の園遊会、“お土産”に注目 ジョージア大使「大好物です」「娘たちからも大好評」
  9. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  10. 事故で重体の人気日本人TikToker、1カ月の意識不明と家族ケア経て逝去……“旅立ち直前に会った”親友は「励ましに来てくれてたのかな」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた