絶対にネタバレは見ないでください 海外生まれのビジュアルノベル「Doki Doki Literature Club!」があなたに問いかけるもの週末珍ゲー紀行

ヲタクの妄想に秘められたアンチテーゼ。

» 2017年10月27日 20時20分 公開
[Ritsuko Kawaiねとらぼ]

 海外ゲームファンの間で現在、大反響を巻き起こしているゲームDoki Doki Literature Club!。Steamの現在の評価は「圧倒的に好評」で(10月27日時点)、レビュー総数1万2250件のうち97%が“好評”という、ちょっと見たことがないレベルの高評価を獲得しています。



Doki Doki Literature Club! なかなか見られない「圧倒的に好評」表示

 公式サイトやゲーム画面を見ても“よくあるビジュアルノベル”にしか見えない同作ですが、一体何がそこまで評価されているのか? 「週末珍ゲー紀行」第9回はそんな「Doki Doki Literature Club!」を取り上げます。

 なお、この記事内でも核心部分には触れないよう配慮していますが、少しでも前情報を入れずに遊びたい人は、今すぐにページを閉じて遊んでみることをおすすめします。


ライター:Ritsuko Kawai

週末珍ゲー紀行

カナダ育ちの脳筋女子ゲーマー。塾講師、ホステス、ニュースサイト編集者を経て、現在はフリーライター。下ネタと社会問題に光を当てるのが仕事です。洋ゲーならジャンルを問わず何でもプレイしますが、ヒゲとマッチョが出てくる作品にくびったけ。Steamでカワイイ絵文字を集めるのにハマっています。趣味は葉巻とウォッカと映画鑑賞。ネコ好き。




スタッフロールが流れるまでゲームは終わっていない

 世の中にあふれる“変なゲーム(珍ゲー)”を紹介する「週末珍ゲー紀行」。第9回はギャルゲーの皮をかぶった精神的ホラーなビジュアルノベルDoki Doki Literature Club!を紹介します。

 なんてことはない。ただのアニメオタクが理由もなく初対面の美少女にモテまくる萌え系ハーレムゲームだと思いますよね。否。最後までプレイすれば、衝撃の真実と非情な現実を突きつけられるでしょう。あなたが現状を把握できて、真のエンディングにたどり着ければの話ですが。


Doki Doki Literature Club!


 主人公はアニメオタクの学生です。毎日寝坊してくるドジっ子な幼なじみの女の子がいて、もちろん主人公が大好きで無償の愛情であふれています。彼女の猛烈アタックをきっかけに、ひょんなことから読書クラブに入部したら美少女だらけのハーレム状態。しかも全員が理由もなく漫画しか読んだことのないアニオタにくびったけ。ここまではいつもの光景ですよね。実生活では味わえないオタクの妄想をかなえるのがギャルゲーの醍醐味ですから。

 しかし、これだけで終わらないのが「Doki Doki Literature Club!」です。ゲームを起動すると最初に表示されるのが、「お子様や精神的に不安定な方、うつ病を患っている人は不快に感じる可能性があります」という旨のギャルゲーらしからぬ警告文。これが何を意味するのかは、延々と垂れ流される中身のない妄想恋愛ごっこでお腹がいっぱいになったころに理解できるでしょう。それこそが本作の正体であり、公式フォーラムにて開発者があらかじめネタバレ厳禁とクギを差しているゆえんです。


Doki Doki Literature Club! Just Monika

Doki Doki Literature Club! 幼なじみのサヨリは主人公が好きすぎて死にそう

 Steamストアページの精神的恐怖というタグや上記の警告文から、鬱なシナリオやグロ画像を想像する人もいるかもしれません。ネタバレした時点でプレイする価値は水泡に帰してしまうので、具体的な内容には一切触れられません。ただ1つだけいえるのは、主人公がスキーのストックで突き殺されるだとか、ヤンデレのヒロインが別のヒロインの腹を掻っ捌いて中に赤ちゃんがいるかどうか確認するだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片りんを味わえるだろうということだけです。

 もしかしたら少し遊んだだけでは、本作がドキドキさせる真の理由を理解できないかもしれません。ショッキングな事件が起こって心臓が止まりそうになったからといって、それだけが精神的恐怖の正体ではありません。たとえモニターに「END」と表示されてタイトル画面に戻ったとしても、それだけがコンテンツの全てではありません。“スタッフロールが流れるまでゲームは終わっていない”という、全てのゲームにおける共通の事実だけは絶対に忘れないでください。


Doki Doki Literature Club! ロリ系ツンデレのナツキはお菓子作りが得意な子

Doki Doki Literature Club! 黒髪ロング清楚系のユリはシャイだけど独占欲が強い

 そもそもよく考えてみてください。ギャルゲーのヒロインたちはどうして特徴がないのが特徴で、これといってアピールポイントもないアニオタ童貞主人公に無条件でほれてしまうのだと思いますか。それは彼女らの意志ですか。彼女らは誰に向かって話しているのでしょうか。真実の扉を開いて現実と向き合う覚悟と勇気があるなら、ゲームプレイ中にデータがインストールされているフォルダをのぞいてみてください。もしかしたら創造主が残した狂気、あるいは性的に消費されるだけの“彼女”が刻んだ心の声が聞こえてくるかもしれません。

 現段階では英語のみ対応なので、英文がほとんど読めない人には少しハードルが高いかもしれませんが、ゲーム自体は無料です。もし少しでも興味を持っているなら、絶対にフォーラムや動画サイトでネタバレだけは見ないでください。何度でも繰り返しますが、ネタバレを見た時点でプレイする価値は一切ありません。そして警告が示す通り、精神的に不安定な人にはあまりおすすめできません。以上のことを踏まえて、PCの扱いに関する最低限の知識さえあれば、乳袋が舞い踊るヲタクの妄想に秘められたアンチテーゼを心の片隅に刻み込めるでしょう。


Ritsuko Kawai


関連キーワード

ゲーム | ネタバレ | オタク | 妄想 | ギャルゲー


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた