「今回も見つける」 浦環教授に聞く、若狭湾に眠る旧日本海軍のUボート「呂500」を探す理由(2/2 ページ)
ニコ生で生中継する意義、探索に掛ける思い
── 今回の支援者から特に印象的なコメント、期待の声がありましたらお聞かせください
浦氏 伊58呂50特定プロジェクトで実施したニコニコ生放送を視聴した方から「海中調査の中継は本当に楽しかった」と言っていただきました。実はこれが重要なのです。どんなに大変なことでも、関心を持って中継を視聴している皆さんを「楽しませる」ことが大切であると思います。
── 調査で使用しているROVはどんなものか、どんな機能があるのか、詳細を教えてください
浦氏 調査で使うROVは、メーカーの環境調査会社「いであ」が所有する「SeaROVER」というTELEDYNE BENTHOSが開発製造したモデルです。
SeaROVERは75(全長)×60(幅)×57(高さ)センチ、重量約75キロ。ビデオカメラを船首に2基(うち1基はモノクロ)、船尾に1基、そして全周囲二次元ソナーと全周囲三次元スキャナー(計測距離最大30メートル)を搭載して、水深300メートルまでの海中を最大3ノットで行動できます。
── 今回の潜水調査の具体的な手順とは?
浦氏 今回の若狭湾調査では、候補地としている海域が4カ所あります。
- シンヤマと呼ばれる沈没船付近
- 連合軍が発表した海没処分位置
- 冠島西方海域
- 地元で沈没船と言われている浦島礁
この候補地でマルチビームソナーを使って海底地形を詳細に調べます。艦影を発見したらROVを降ろして、撮影した画像から「艦が何であるか」を確かめます。
── 発見した潜水艦の艦名特定はどのように行うのですか?
浦氏 船体に艦名は書いていないので、艦の形から艦名を特定します。船の形から識別するときに特に重要なのは、艦橋、艦首、艦尾の形状です。
── 今回も潜航調査をライブ中継をしますが、その意義についてお聞かせください
浦氏 多くの人にとって、海中作業や調査をリアルタイムで見る機会はほとんどないと思います。このように日本でも海は遠い存在です。本来ならば、調査船に多くの方々を招待して調査の現場を見てほしいのですが、それはかないません。
そこでインターネットで配信し、まず映像の臨場感から海を好きになってほしいと思いました。作業が整然と進む編集済みの番組もいいのですが、現場で発生するトラブルや長い待ち時間も含めた海上活動、生活の全てを見ていただきたいのです。
また、私たちの潜水艦に関する知識にも限りがあります。番組を見た多くの方々からリアルタイムでコメントをもらえれば、艦名特定の判断材料や行動決定材料が増えます。視聴者の皆さんの力も借り、一緒に探すことで、より充実した調査になると考えています。
── 最後に、この探索に注目している皆さんにメッセージをお願いします
浦氏 今回の探索でもラ・プロンジェの実力をお見せすることができると思います。ご期待ください。
なおこの探索プロジェクトでは、調査用の船を借りたりする資金を寄付でまかなっています。クラウドファンディングは6月18日まで継続して実施しています。当初の目標額には到達いたしましたが、ゴールを越えて、さらに多くの皆さんのご協力をお願いいたします。
6月18日6時〜「ドイツ生まれの潜水艦・旧日本海軍「呂500」を追え!日本海より探索調査を生中継」
放送:ニコニコ生放送/生中継
アクセス:http://live.nicovideo.jp/gate/lv313510754
開演:2018年6月18日6時〜 (開場:6月17日29時50分〜)
長浜和也
IT記者は仮の姿で本業は船長(自称)。小型帆船を三浦半島の先っちょに係留する“一人旅”セイラー。伊豆諸島を旅するため、学連経験やクルー修行をすっとばして、いきなり1級船舶免許を取得してヨットに乗りはじめて早20年。かつて船で使うデジタルガジェットを紹介する不定期連載も。
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