職員室のPCは数台だけ、プリントのコピー代にも困窮 現役中学教員が語る「教育現場の“理不尽な貧しさ”」(1/3 ページ)

「だから、行政は何もしない。『教員の一人一人が頑張ってください』みたいな」。

» 2019年12月19日 19時30分 公開
[ねとらぼ]

 ブラックな労働環境、厳し過ぎる部活動、なくならないいじめ………。子どもの成長を支える学校を巡って、ニュースではさまざまな問題が取り上げられています。実際に働いている教員は、どのような思いを抱いているのでしょうか。

 本記事は、公立校の中学教員に「一般教員として感じている“学校の問題点”」を語ってもらう連載企画。今回はたびたび言及されてきた「学校にいかにお金が回っていないか」についてAさん、Bさん(仮名)にインタビューしました。

「このままだと“コピーの予算”が尽きる」「インク代が高いからカラーコピーするな」



―― 前回の記事で「本来お金を使うべきところに税金が使われていないと感じてしまう」という話があった。そういえば以前から「学校には金がない」と繰り返し言ってたよね

A:お金には本当に困ってるよ。「このままだと“コピーの予算”が尽きるから、2枚印刷するときは縮小して1枚にしろ」と言われたりする。授業などで必要だからコピーしてるわけなんだけど。

―― 文字が小さくて読みにくくならない?

A:普通はそう思うよね。「子どもに満足な教育を受けさせなくていい」と言っているのと変わらないと思う。

 それから「インク代が高いからカラーコピーするな」というのもあって、授業で使うプリントはきまって白黒。社会科のプリントに金閣寺を印刷しても、金色であることが伝えられない。「では、資料集の何ページを開いてください。金閣寺は名前通りの色なんです」と二度手間になる。

―― そういえば、学校のプリントってきまって白黒だったね。うまく印刷できないことも多くて、今考えるとかなり見にくかった

B:機材も良くなかったりするから。「英単語の問題でペンのイラストを載せたら、印刷が不鮮明。注射器と間違えてしまった子どもが『pen』じゃなくて『drug』と回答した」なんて話もある(笑)。

A:もはやこういうのが当たり前みたいになってるけど、やっぱりおかしいよねえ。

―― そもそも学校ってたくさん印刷する場所だと思うんだけど、なぜそんなことに?

A:確かに紙はたくさん使う。プリント1枚作るだけでも、一学年全員に配ると印刷枚数が百ウン十枚とか。

B:行政は学校内部への配慮が少ないわりに、対外的によく見せようとするんだよ。説明できないことはしない。

―― 「説明できない」とは?

B:例えば、さっきの「コピー代がもったいないから縮小、白黒印刷」という話なら、予算を増やせばすぐにでも解決できそうだよね。枚数が多くてランニングコストがかかるというなら「デジタル教材を導入して黒板にカラー画像を映せるようにする」などの手があると思う。

 ただこういう取り組みのメリットは市民に伝わりにくい。現場にいれば「生徒にとって良いことだ」とすぐに分かると思うのだけど、外部からはどういう意味があるのか理解しにくい。それが「説明できない」ということ。

 だから、行政は何もせずに「教員の一人一人が頑張ってください」みたいなね。

A:金を出さずに工夫だけ求めてくるよね。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」