「なんで女の子なのに女の人の裸を観に行くの?」 不思議な芸能“ストリップ”の魅力を語りつくす『女の子のためのストリップ劇場入門』作者インタビュー (1/2)
作者・菜央こりんさんにインタビュー。【前編】
「きれいな女の人の身体が見たい!」――そんな動機で訪れたストリップ劇場で、次々とカルチャーショックを受け、ストリップのとりことなった菜央こりんさん。
「ストリップの魅力を伝えたい」と発行した同人誌が出版社の目に留まり、青年マンガ誌『イブニング』(講談社)でのエッセイマンガ連載『女の子のためのストリップ劇場入門』がスタート。7月に単行本が発売されました。
今回のインタビューでは、同人誌時代からの菜央こりんさんの読者であり、ストリップ客仲間である記者が、「なぜそんなにストリップに心惹かれるのか」じっくり話を聞きました。昭和の遺産、滅びゆく芸能と捉えられがちな「ストリップの今」に迫ります。
「若くなくちゃ」「きれいじゃなきゃ」から解放された
――菜央さんは2017年からストリップ劇場に行き始めています。きっかけはなんだったのでしょうか?
女友達から「ストリップ行った。すごくきれいでよかった」という話を聞いたのがきっかけです。それまでストリップって、自分の頭の中では架空の存在だったんです。「そもそもまだあるんだ」「女の人も入っていいんだ」みたいな。最初は見世物小屋みたいな想像をしますよね。あとドリフの「ちょっとだけよ」とか。ちょうどそのときすごく美意識が高まっていて、「きれいな女の人が見れる!」という気持ちで訪れました。
――初めて見たときの感想はどんなものでしたか?
最初はただ「裸を見るところ」というイメージだったので、「裸が来るぞ」という気持ちで見ていたら、とてもきれいな衣装の女性が出てきて、まずそれにびっくりしました。それから、ダンスがうまい! まず本格的なダンスが出てくるって思わないですよね。しかも、若くてきれいな子なんですよ。そして、脱いだら「毛穴がない!」。最初はそんなことにびっくりしました。
――「ダンスパートが長い!」は初見あるあるですね。
はい、それからどんどんハマっていって。そうして観ていくうちに、いわゆる若くてきれいな子だけでなく、年齢も体型もさまざまな人がいることがわかってきたんです。
私は年齢で判断されることや、見た目をとやかく言われることが多くて、以前は「若くなきゃ」「きれいな身体でいなきゃ」という気持ちが強かったんです。だからこそ「きれいな身体を観てみたい」という気持ちがあった。今思うと、最初に見に行った時の「美意識が高かった」というのは「若くなきゃいけない」という気持ちの現れなんですよね。
女の人って身体のパーツを世間にジャッジされるじゃないですか。おっぱいの大きさとか、ウエストとか。でも、ストリップを見ていると、私だったら気にするだろう部分、世間からあらと言われるような部分が目に入ってきます。セルライトや整形のあと、リストカットも。
――ステージも近いので、身体のすみずみまで目に入りますね。
だけど、たとえ世間から見てあらと言われるような部分があっても、その時私たちはその人のステージへの姿勢、演目への工夫、笑顔とかさまざまなものを同時に見ている。その瞬間にその人のすべてを受け取っているから、世間からあらと言われる部分があったからと言って、その人のことを馬鹿にしたり、嫌いになったりはしない。そういうふうに思えたし、「他の人もそうなのかもしれない」って思えたことはすごく力になりました。
マンガにしたら伝わるかもと同人誌を作成、『イブニング』での連載へ
――本書はもともと同人誌で発表されたもので、コミティアなどで評判になったことをきっかけにイブニングでの連載が始まりました。同人誌にするまでの流れを聞いていいですか。
ストリップを友達に教えてもらって、すごく衝撃を受けたし、さっき話したように心が軽くなった部分もあったから「みんなに教えたい」と思いました。でも、言葉で説明してもそのすごさがあまり伝わらなかった。それ以前にも同人誌を作ったことはあったんですが、「ストリップを伝えるにはマンガの方がいいかもしれない」と思って、2017年に最初の同人誌『女の子のためのストリップ劇場入門』を発行しました。
――出してみての反応は?
ZINEの販売店に20冊ほど委託したら、ストリップが好きな方たちが気づいて買いに来てくれたようで、すぐになくなりました。それからコミティアに出したら、ストリップ好きな方はもちろん、タイトルから興味を持ってくださった方も買ってくださって、「もっと作ってみては」と言われたんです。ストリップ好きな人は、ほかの人が書いたストリップの感想をとても喜んでくれる感じがします。
――確かに。私もストリップ好きな人の話を聞くことがありますが、資料が残しづらいし、男性は“エロオヤジ”と思われがち。皆さん魅力が伝わらないのをはがゆく思っているようで、一見さんが楽しんでいたり、感想を書いたりすることをとても喜ぶ傾向がありますね。
はい、今、同人誌は友人と共同で出したものも含め、7冊出しているんですが、そうやって喜んでくれる人がいるから続けられたように思います。
――『イブニング』での連載はどういう経緯で始まったのでしょうか?
ありがたいことに引き合いはいろいろな会社からあったんですが、何がしかの原因でうまくいかないことが何度か続いて……。講談社の担当編集さんとは、一緒に浅草ロック座の千秋楽を見に行く機会があったんです。楽日ということで、踊り子さんも涙を流しながら手を振っているし、お客さんもすごい熱気でした。そこで編集さんもすごく感動してくれて。他社での企画がなくなった時に連絡したら、すぐに連載を決めてくれました。
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