ねとらぼ

里帰りするようにうっとしいまでにアプローチする姑。

嫌いな奴と会わなきゃいかん苦しみが一番嫌だね

 この日のアドバイザーは三石メソード主宰で翻訳家の三石由起子。まず、8歳、6歳、4歳、2歳という4人の子どもを抱えた夫婦に、遠い実家まで来いというのに無理があると指摘する。

 「子どもが4人もいる若い夫婦がね、これは大変だよホントに。足並みもそろわないしね、次々に行事はあるしね。これはね、親になんか会ってるヒマない!

 「はあ……」

 「いいですか? 『盆暮れ遊びに来なさい』じゃないですよ。『4人もいて大変だから来なくていい』これが母親ですよ!

 5時間もの長旅、小さな子どもを4人も抱えての移動は考えるだけで苦行(交通手段は明かされていなかったが、仮に新幹線だとしたら、東京〜博多くらいの距離だ)。金銭的な負担も大きいし、うっとうしい母親のいる実家へそうそう帰りたいとは思わないだろう。

 三石先生は、さらに厳しい言葉でたたみかける。

 「よくこんなことを言うの『娘を持たない親のところには嫁にやるな』って」

 娘を育てた経験のある母親は「自分と世代の違う女」の実情を知っているので、たいがいは「いい嫁だ」と思える。しかし娘を持たない母親は、自分や自分の友達を基準にして嫁を見てしまうため、どんなにいい嫁であってもよくは見えないのだという。

 「子ども4人抱えてヘトヘトになっている女の子はね、お盆とか暮れはねえ(自分の)実家に帰りたいですよ。実家に帰ってぐでーっとしてたいんですよ。夫のウチになんか帰って、どうして働きたいんですか? せっかくの休み

 「うーん……」

 三石節はまだまだ止まらない。

 「仏教にはね、四苦八苦という8つの苦しみがあるんだけどさ。私、その8つの中で一番、個人的に嫌だと思う苦しみはね、『怨憎会苦』というやつなんですよ」「嫌いな奴と会わなきゃいかん苦しみ。これが私は一番嫌だね!」

 仏教の教えまで飛び出した。

 三石先生の厳しいアドバイスは時に独善的すぎることもあるが、「里帰りしない長男夫婦がおかしい」と信じて疑わない相談者に対しては、これくらいの厳しさがちょうどいいだろう。

 「もう、むこうが恋しくなるまで放っておいた方がいいと思う。ご主人と楽しく暮らすことだけを考えてね」

 長男夫婦も、もうちょっと里帰りできない理由を説明してあげてもいいのでは……とは思うが、相談者のうっとうしい性格を改善しない限り、実家に寄りつくことはなさそうだ。

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北村ヂン

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