夢がかなった? マエストロになったり丸くなったり粉砕してみたりE3 2006「Wii27番勝負」(その9)

どうせならとWiiタイトルすべてを持ち回りで担当することになった突発企画だが、気がつけば終盤戦と出遅れた。「Wii MUSIC:ORCHESTRA」と「METROID PRIME 3 CORRUPTION」と「PROJECT H.A.M.M.E.R.」を体験してみたわけだが、どうも選んだタイトルに一貫性がない気がする。

» 2006年05月12日 22時04分 公開
[加藤亘,ITmedia]

タクトを振るうマエストロになる「Wii MUSIC:ORCHESTRA」

 任天堂のメディアブリーフィングは宮本茂氏のオーケストラ指揮からはじまった。背後の画面に並ぶ映像の中の奏者たちが、宮本氏の持つWiiリモコンの動きに合わせて曲調を変えていく。ここで、我々は実際にリアルタイムでプレイしているのだと気付かされた。

 小さい頃、一瞬だけだがマエストロに憧れた。指揮棒をそえる指先ひとつでオーケストラの奏者が音楽を奏でる。背後にはその音楽に身を委ねる観衆が。緩急つけて楽譜をめくり、曲が終わると満足そうにお礼をする……。気持ちいいに違いない。しかし、指揮者になるには血のにじむような努力と才能と運が必要だ。どの職業もそんなものなのだろうが、指揮者はまた独特といえる。なによりも自分にそれだけの音楽の才能がないことに気がつくと、興味も薄れていった。

 しかし、ここに来てチャンスが巡ってきた。宮本氏のように、Wiiリモコンひとつで音楽を指揮できる「Wii MUSIC:ORCHESTRA」の登場だ。内容は実に単純。曲に合わせてWiiリモコンをタクト代わりに振るだけである。ゆっくり振れば曲は遅くなり、早く振るとテンポが上がる。実に直感的。

ゲームをはじめるとSelect Music画面へ。E3デモ版は「Zelda」と「Carmen」の2曲のみだが、実際は相当の曲数を用意する予定だ。ポインターをどちらかの曲に合わせてAボタンを押すとコンサートのはじまりだ。ちなみに筆者はZeldaを選択
画面上にはオーケストラの奏者と、指揮者(=プレーヤー)のタクトを握る手のみが映し出される。気分はもうコンサート会場。背後には数千人の観衆を想定する。もちろんデモの際はインストラクターのお姉さんのみが生暖かく見守るだけだったが……
タクトでテンポを整え、曲がはじまるとあとは必死だ。知っている曲だけに、ちょっとでも音を外すと普通にへこむ。ただし、ぴったりとイメージどおりに曲が奏でられると予想以上にうれしかった。順番を待つ外国の方がそのうまさに「エクセレント!」とはやし立てるともう絶好調である

 なるほど、ひとりでももちろん悦に入ることができるが、正しい楽しみ方はやはり観衆があってこそのゲームなのかもしれない。確かにひとり必死にタクトを振るのもいいが、他人がいると爽快である。インストラクターのお姉さんにも「オジョウズ」と褒められたら、有頂天にもなるというもの。Wiiリモコンもセンサーバーの範囲であれば問題なく認識してくれるが、どこまで動きをダイナミックにできるかは、この場では確認できなかった。どうせならば、感情の赴くままにリモコンを振るいたい。テンポの速い曲は多少疲れそうだが、リモコンを手元でちょっとだけ動かすだけでも反応してくれるので、ゆっくり座りながらでもできる。

曲を最後まで指揮すると、最後点数が表示される。結果は80点。高いほうらしいのでひと安心

 「Wii MUSIC:ORCHESTRA」は、ぜひWiiと同時発売をお願いしたい。普通にほしい。自分の知っている曲を思い通りに奏でることができるという内容だけになるのか、それとも何かしらの別のゲーム性が加わるのかはデモ版では分からないが、とりあえず夢が叶った瞬間だった。こういう“なりきりモノ”も、Wiiの魅力を引き出すひとつの要素と言えよう。

サムスとお近づきになれる気がした「METROID PRIME 3 CORRUPTION」

また、この黄色いパワードスーツを着る日がやってきたか

 1986年、ファミリーコンピュータディスクシステムに登場した「メトロイド」は、時を重ねて対応機種の進化とともに、グラフィックスの変化、ファーストパーソン・シューティングの要素追加など、時代に合わせて変化していった。そして生誕20周年の今年、Wiiにて最新作「METROID PRIME 3 CORRUPTION」が発表された。どうやら、また銀河に名を馳せた賞金稼ぎ(バウンティーハンター)サムス・アランになる日(中身は女性)がやってきたようだ。

 北米で特に人気があることもあり、会場ではそれなりの試遊台が用意されている。基本、Wiiリモコンを右手、ヌンチャクを左手に持ち、移動をヌンチャクで、ショットとアクションを右手が担当するといった案配。ヌンチャクのCボタンで特殊能力であるモーフボールへと変形する。このゲームの特徴として、このモーフボールにならないと通れない場所があったり、さらにこの状態で爆弾を置き、その爆風で飛び上がらなくてはならないところがあったりと、謎解きの要素もふんだんに取り入れられている。



 デモ版では、謎の研究所が舞台となっている。敵がわんさかいる施設内を時には人として、時には玉っころとして転がって移動していく。さて、今回のお試しをするにあたり、筆者にとっては最初のヌンチャク使用の瞬間だったわけだが、なにげにそれほど違和感なく操作している自分がいた。もちろん最初はどこにボタンが? と手元を確認することもあったが、しっかりホールドさえしていれば目を閉じてでもプレイできるようになるだろう。と、実際、英語で書かれた説明を必死に読んでいると、よくわからないところへコロコロ転がって移動していた。

 そして目の前には敵である。さっそくリモコンのポインターを敵に合わせ、Aボタンで撃ち込める。これまたスムーズ。視点変更でもたつくこともあるが、コレは筆者がいまいちコントローラの使い方に不慣れなためだ。ほどなくしてなんだか強そうな敵と遭遇。この先どうなるの! といったところでプレイ終了となった。

 横向きアクションだったメトロイドは、メトロイドプライムになって視点が変化した。その時のような劇的なゲーム性の変化はなかったが、なによりも手元の操作がより“人間”のものに近づいたように感じる。従来はどうしてもロボットやラジコンを操作するようなデバイス感覚だったが、Wiiのコントローラは少しだけ人間の動作が加わった分、なにやらサムスに少しだけ近づけた感覚を得た。もちろん一方的な片思いなわけだが、いずれは彼女とともに狭い通路を駆けめぐり、寄せ来る敵をなぎ倒せるのかと思うと楽しみで仕方がない。

ハンマーぶん回して粉砕――「PROJECT H.A.M.M.E.R.」

 タイトルどおり。巨大なハンマーを武器にとりあえず敵を倒すのが目的。なぜこれを選んだか。それはハンマーが好きだから。小さい時に指揮者になりたかったように、自宅の改築工事を見て、大工もいいなと思った口なのだ。適当な椅子くらいなら今でも作れる。しかし、これはそんなビルダーの話ではなかった。

 プレーヤーは巨大なハンマーを武器に機械に制圧された街を解放に赴く。Wiiリモコンをポインター代わりに攻撃の基点とし、ヌンチャクで移動を行う。例えばAボタンを押してリモコンを左右に振ると、プレーヤーはハンマーを横に振り回し、スピン攻撃を行ってくれたり、いったん上画面へポインターをずらし、再び下に持って行くことで地面を砕くほどの重さが加わった攻撃を繰り出す。

 街にある車や街頭、ゴミバケツなども破壊可能で、木箱の中にはライフ回復アイテムが入っていたりする。攻撃した敵やエフェクトは何段階かで壊れていき、最終的にバラバラに分解され消滅する。ゲームはこうして敵を破壊し、アイテムを取得、先に進んで目的を達するというパターンのようだ。

 小さい頃に大工になりたかったが、これはむしろ解体屋のお仕事だ。ヌンチャクを動かして技を繰り出さないと通れない敵もいたりと、ある程度は謎解きの要素もあるようだが、デモ版ではナビゲーターがヒントを出してくれるので苦もなく進む。これがチュートリアルだからなのか、実際のゲームでもそうなのかはわからないが、E3バージョンは最後この街のボス(?)へ至ると「TO BE CONTINUE」と宣告され、終了となる。


 Wiiコントローラとヌンチャクを併用するというスタイルは、アクションゲームやFPSでは定番となりそうだ。実際、使用してみても違和感はそれほどない。そんなバカなと思われるかもしれないが、両手で握るコントローラがちょっと間隔を開けて左右に分かれたものと考えてほしい。これに試作中の銃型コントローラ「Zapper Style」が加わることで、よりその形は明確になる気がする。本作の試遊では、縦方向へのアプローチが少なかった気がするが、この先どう表現されるのかが楽しみな1作である。

3本やってみて

 今回、Wiiをいち早く体験できたことは有意義だった。なによりも感覚を体験できたことが大きい。思ったほど重くないコントローラだが、これが長時間になるとどうなるのかはわからない。ただ、明らかにゲームのある風景は変化するものと予感した。これまでも腕や足、身体全体を動かすデバイスはあったが、ゲーム本体がその思想から発生したものは前代未聞である。この先のゲームライフをどう提案してくるのか期待したい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/17/news061.jpg ママが反抗期の娘に作った“おふざけ弁当”がギミックてんこ盛りの怪作で爆笑 娘「教室全員が見に来た」
  2. /nl/articles/2502/18/news140.jpg 職場で21歳上の女性上司に“一目ぼれ”→猛アタックして交際&年齢差を乗り越え結婚 夫妻が波乱語る
  3. /nl/articles/2502/18/news090.jpg 伊勢丹で販売の高級バレンタインチョコに「カビによる汚染」発覚…… 回収・返金へ
  4. /nl/articles/2502/18/news092.jpg 「悲しみに暮れてる」 サイゼリヤがメニュー改定→“定番商品”消滅にショック広がる 「大好きだったのに」
  5. /nl/articles/2502/18/news011.jpg そうはならんやろ! あどけない女の子が約45年後には…… “とんでもないギャップ”に爆笑 「立派に育ってw」
  6. /nl/articles/2502/11/news012.jpg 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  7. /nl/articles/2502/18/news005.jpg 咳き込んでいたら、愛犬が寄ってきて…… ぽとりと置いたぬいぐるみに「なんて優しい子」と大反響 1年後の現在、飼い主に話を聞いた
  8. /nl/articles/2502/18/news151.jpg 父は時任三郎、母は元モデルの“33歳俳優”が「ダンディー」と話題 海外生まれで大卒後に俳優として活躍中
  9. /nl/articles/2502/18/news014.jpg 不要になったペットボトルに種をまき、3カ月育てたら…… 驚きの成果に「すごっ!」「素晴らしいアイディア」
  10. /nl/articles/2502/18/news047.jpg 母が7歳娘のために“ほぼ100均コーデ”を手作りしたら…… 信じられないクオリティーに驚き「マジすごい」「おしゃれすぎ」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  4. 雑草ボーボーの荒れ地に“牛3頭”を放牧→2週間後…… まさかの光景に「感動しました」「いい仕事してますねぇ〜!!」
  5. “この子はきっと中型犬サイズ”と思っていたら……たった半年後とんでもない姿に 「笑わせてもらいました」
  6. 年の差21歳で「夫は娘の同級生」 “両親大激怒”で結婚は猛反発されるも……“まさかの行動”で説得
  7. 163センチ、63キロの女性が「武器はメイクしかない」と本気でメイクしたら…… 驚きの仕上がりに「やっば、、」「綺麗って声でた」
  8. サイゼリヤ、メニュー改定で“大人気商品”消える 「ショック」悲しみの声……“代わりの商品”は評価割れる
  9. ママが反抗期の娘に作った“おふざけ弁当”がギミックてんこ盛りの怪作で爆笑 娘「教室全員が見に来た」
  10. 「さすがに無神経な内容」 “暴言受けた”伊藤友里が降板発表→岡田紗佳の直後の投稿に批判の声 Mリーガーも反応
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議