デモクラタイズなゲーム業界へ!――2008年のGDCを総括:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その21)(4/8 ページ)
まだあった! デモクラタイズ! 任天堂の「WiiWare」
セッションの中で最終日22日(金)の朝9時から任天堂の青山氏による「WiiWare」のお話がありましたの。もちろん早起きして、ハニィも聴きに行ったわよん。
「WiiWare」は、バーチャルコンソールのような既存のゲームを落としてくるのではなく、WiiのWi-Fiコネクションを使ってダウンロードできる有料の「オリジナルコンテンツ」を投入するってこと。「パッケージのソフトが『WiiWare』のソフトに代わるものではない」と青山氏がおっしゃってて、そりゃーハードディスクもついていないWiiにパッケージ同等の大容量を記憶するところがないでしょうが! と突っ込みそうになったけど、あくまでも価格や容量に縛られないシンプルなゲームを提供するってことみたい。
購入方法は、バーチャルコンソールと同様Wiiポイント制になり、ショッピングチャンネルの「WiiWare」ページからダウンロードするんですけど、1回ダウンロードしちゃえばチャンネルの中に現れるようになりまする。「みんなの任天堂チャンネル」上の「みんなのおすすめ」で「レビュー」を見てから買うってこともできるみたいよん。
ここで、青山氏が気になることをおっしゃったんですが、「ゲーム以外のコンテンツの可能性」と「すべての開発者にオープン」。でた! デモクライタイズだ! 「Wiiウェアでソフト配信したい人はメールをください」とのこと。ホントに? これってすごいことだよね〜。ただ、マイクロソフトが評価過程をある程度オープンにしているのに対して、任天堂はそこまでの言及はなかったから、デモクラタイズまではいかんのかなぁ……。
任天堂から公式に発表がありましたけど、日本では3月25日から正式にサービスが開始されまする。ハニィも最近ホコリをかぶってるWiiを棚から出してつなごかな。それにしても、すばらしい、マイクロソフトの「XNA」、Wiiの「WiiWare」、プラットフォーマーとしてアプリケーションの活性化と多様化をもたらす開放。ゲーム業界にはハード自体の更新だけでなく、オンラインプラットフォームの更新って波も来てるのだね〜。
余談ですが、このセッションの中でおもしろいアップデート情報が! Wiiが青く光る時(任天堂からお知らせがある時)のフラッシュの仕方がいつの間にか変わってたって知ってました? 「ほ〜ほけきょっ」って鶯の鳴き声をもじったとか。日本人の心ですな〜。でも、任天堂系のセッションはすべて写真を撮らせてもらえないって悲しいことになってましたね〜。ちゃんと聞きに行ったんだから写真くらい撮らせてくれてもいいのに……。ハニィの隣の人が写真を撮ってたら、すごい勢いで怒られてて、その勢いでハニィのコーヒーがこぼれましたじょぉぉぉ(恨)。
ハニィのあとがき
帰国してからだいぶ経ってしまいましたけど、サボってました、ごめんちゃい。あの〜、まず言いたいのは、デモクラタイズも含め、SCEどうしたの? ま、もともとPCから移行しやすいXbox 360や、開発上はゲームキューブと大きな違いのないWiiと比べれば、ツールがようやく揃いだしたPS3に対して多くを要求するのは酷ってもんでしょうが、ちょっとGDCでの存在感がイマイチでしたね〜。昨年のキーノートで「Home」を発表したSCE WWSプレジデントのフィル・ハリソン氏が、退職してアタリに行っちゃうとかいうニュースがGDC後報道されるなど、ホントに心配ですよ。グレートなニュース待ってます!
さて、ハニィ視点のGDCリポート、いかがだったでしょうか? はい、「デモクラタイズ」です。ゲーム機のスペックが上がって、ビジネス的には相当大きなリスクになってしまったソフト開発。思い切った投資やアイデアにGOを出しにくくなってるよね。でも、エンターテインメントってビジネスである反面、ミズモノであって、ある意味バクチであるって側面も否めないわけだ。お金をかけたからって必ずしも楽しいものや新しいものができるわけでもない。ひょんなことから化けることだってあったはず。でも、PS3やXbox 360でパッケージタイトルを開発していくためには10億円前後の開発費がかかる、と言われている昨今、バクチとも言ってられないわけで、無難な方向へと向かってしまう。そうするとエンターテインメントとしての進化が停滞する……と、悪のスパイラルにも陥りかねないわけで、アプリケーションのサイズを問わず、在庫もプライスプロテクションも考えなくてよい、というオープンな環境は、もしかしてゲーム業界の救世主となるかもしれないね。
では、このプラットフォームのオープン化は果たして危機感を高める日本のゲーム業界に朗報なんだろうか? と考えてみた。もちろんそうあってほしいんだけど、歴史的、文化的にみると、そうとも言い切れないのかもしれないな、とも思ったの。だってオープンな環境ってのはあんまり得意ではないでしょう? すでに20年以上限定され、規定されたプラットフォーム上でのクリエイティビティを重ねてきた日本のゲーム業界で、いきなりオープンにされることが果たして好ましいことなのかな? と、猜疑心の方向から考えてみたの。
でも、そう、新しい人たちが、これを打破してくれるかもしれないかな、と。既存の概念を脱ぎ捨てられるクリエイター、これは現在ゲーム業界にどっぷり漬かっている人たちではないかもしれない。そういう意味でもある程度の世代交代は必須なのかもしれないね。過去の功労者からこれからを引き継ぐ人たちがたくさん現れてくれないと日本の業界は活性化しないよ〜。このチャンスを逃さないで、成り上がってくれる皿洗いから転身したジェームズ君のような存在を日本でも期待するハニィでした。
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