デモクラタイズなゲーム業界へ!――2008年のGDCを総括:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その21)(5/8 ページ)
デモクラタイズなゲーム業界へ!――2008年のGDCを総括(翻訳版)
お元気ですか? Game Developer Conference(以下、GDC)から帰国してからというもの、激務に追われ、あっという間に3月になってしまっておりました。大変申し訳ありません。こうして春の訪れを肌で感じる頃になり、ようやく原稿を書いている次第です。さて、21回目のくねくねハニィの「最近どうでございましょう?」ですが、さまざまな事象は次回にまわすとして、GDCを中心とした内容とさせていただこうかと思っています。
題して「2008年のGDC@サンフランシスコ! デモクラタイズなゲーム業界へ!」。珍しく前置きなしで参りましょう。
お約束ですがGDCって何ですか?
「Game Developer Conference」は、ゲーム開発者のための講演会、勉強会の名称。実は世界各地で行われているが、北米サンフランシスコで行われるものが規模的にも最大ということで、ここではGDCとしています。ほかにも、パリ、ロンドン、オースティンなど、かなりの回数が各地で行われていますが、この「最近どうよ?」でこれから扱うのは、サンフランシスコのMoscone Convention Centerで2月18日〜22日まで行われたものを指します。
さて、5日間に渡ってゲーム開発者に向けた勉強会が行われるわけですが、前半2日間はモバイルゲームをはじめ、シリアスゲーム(ノンゲームのエンタテインメント)サミット、カジュアルゲーム(ライトユーザー向けのカジュアルゲーム)サミットなどが行われ、後半3日間はコンソール、PCその他が混入してくる構成になっています。週のはじめは人もまばらですが、一転水曜からは多くの人が集まりました。GDC事務局からの発表では、今年は史上最多の1万8000人の参加があったとのこと。
参加費が高いことで有名なこのカンファレンスですが、すべてのセッションに参加できるパスが1人当たり1995ドル(約21万円)、メインカンファレンスパス(後半の水曜〜金曜のみ)が1395ドル(約14.6万円)、モバイルカンファレンスのみが1045ドル(約11万円)と、とてつもない金額を要します。渡航費をかけて出かけ、さらにこれだけの参加費がかかるとなると、そんなにおいそれと簡単に出かけるわけにもいかないという一面もあります。
GDCは大きく分けて、キーノートスピーチ(基調講演)、セッション(座学)、ラウンドテーブル(パネルディスカッション)などに分かれています。このほか、イベントとしてIGF(Independent Games Festival)アワードが連なります。また、EXPOと言われる展示場も若干ではありますが設置されており、ミドルウェアやエンジンといったゲーム開発よりの展示を見ることができました。今年の特色として、Career Pavilionと言って「転職フェア」のようなイベントもにぎわっていたようです。会社の費用でカンファレンスに来ている社員が、転職活動をして帰るという、ある意味アメリカらしいといえばアメリカらしい光景を目の当たりにしました。
セッションなどは、講師&お題別に時間と部屋が割り振りされており(60分がメイン、基調講演は90分)、1つの時間帯に複数が平行して行われており、参加者はスケジュール表を見ながら、大学の授業のように「1時限目はWestホール3階の3031でこの話、2時限目はノース1階の135であの話」と移動して回るわけです。会場も意外と広いので(Moscone Centerのウエスト、ノース、サウスの3ホール)、まわるとなると骨が折れます。
それにしても、今年は天気に恵まれず、会期中は雨ばかりでした。サンフランシスコ市内は、霧の街と呼ばれているので、基本的に天気は悪いのですが、天気のいいところから移動してきたハニィにとっては、ちょっと悲しい気持ちになったくらい。イベント自体が参加者最多とうたっていたのに反比例して、日本人の参加者が少なめに感じたのも寂しく感じました。
キーノートスピーチ(基調講演)
毎年水曜日と木曜日に1件ずつの基調講演が行われるのですが、今年もスケジュール的には順当で、2月20日(水)にマイクロソフトのコーポレート バイスプレジデント、ジョン・シャパート氏による「A Future Wide Open:Unleashing the Creative Community(未来は広く開かれる:クリエイティブコミュニティを解き放て)」、21日(木)にはインベンター兼フューチャリストのレイ・カーツウェル氏による「The Next 20 Years of Gaming」(ゲームの今後20年)と2本立てで行われました。
昨年の「SCE VS. 任天堂」とは大きく異なる内容で、昨年は任天堂とSCEがプラクティカルな戦略や方針を明確に打ち出していたのに対し、今年はカーツウェル博士の未来志向の話に代表されるように、ゲーム業界という枠を外れて「生命や科学の進化」という大きな視点からのコンセプチュアル(概念的な)アプローチがされていました。日本ではなかなか見られない展開に、筆者も少なからずカルチャーショックを覚えました。同席していたB型の日本人にはしっくり来ていたみたいですけど(笑)。詳細は当日掲載の記事を参考にしてもらうとして、ここからは記者視点でのまとめを書いてみます。
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