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CEDEC 2008特別インタビュー:「日本はもうゲーム先進国ではない」――岡本吉起氏が語る“世界に通用するゲームプロデュース” (3/3)

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自分のゲームで、周りを幸せにしたい

―― 岡本さんが独立されてから、今年でちょうど丸5年になりますが、5年間を振り返ってみていかがですか?

岡本 今の社員数がだいたい300人くらいなんですが、本音で言えば、当初僕が考えていたビジョンよりも、規模としては少し小さい。でも想定内ですよ。当初5年目のMAXとしては、500人もあるし、逆に80人くらいというパターンもありえると思ってた。

―― 当時のインタビューなどで語っていた退社理由のひとつに“やりたいこととのズレ”というのがありましたが、具体的にやりたかったことというのは?

岡本 一言で言えば、新規のタイトルを立ち上げたかったんですよ。あの頃、僕が会社から期待されていたタイトルは続編だった。でも、ゲーム市場は新規タイトルがあって成長するものじゃないですか。そこに考え方のズレがあった。後は先ほどから言っているように、日本のタイトルが世界に通用しなくなっている時代だからこそ、世界中の人にもっと日本のゲームを楽しんでもらいたかった。

―― 5年前から、すでに日本が出遅れつつあるのを感じていたということですか。

岡本 あの頃はまだ、ニンテンドーDSもWiiも発売される前だったから、まさかここまで任天堂が成功するとは思わなかったんですよ。独立する時に僕がやりたかったことって、実は全部任天堂がやっちゃいました。今にして思うと、大それた夢を持っていましたね。あれは任天堂くらいの規模があって、初めてできることだった。

―― 最近のゲームリパブリックが関わったタイトルは何でしょう?

岡本 直近だと、ニンテンドーDSの「ドラゴンボールDS」が9月18日に発売されますね。少年時代の孫悟空を描いた、無印の「ドラゴンボール」としては久々のタイトルです。

―― ドラゴンボールDSは岡本さんのところで開発されていたんですね。

岡本 ほかの人が持っているコンテンツを、自分なりに料理したらどうなるか、っていうのも一度挑戦してみたいことのひとつだったんです。ドラゴンボールのゲーム化って言うと、今では「ドラゴンボールZ」が完全に主流なんですが、無印だって掘り起こせるんだということを示したかった。後は単に僕が好きなんですけど(笑)。

―― では、無印で行こうという提案は岡本さんのほうから?

岡本 そうそう。というか、悟空が動いて、ブルマがいて、如意棒で戦っているところまで作ってから持っていったので、「大体できてるじゃんか」と言われました。そういえば、カプコン時代にコラボレーションしたタイトルの中には、ほとんど完成してから持っていったものもありましたね。

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―― それは持ってこられた側も驚いたと思います。

岡本 あの時は「西からヤ○ザがやってきたぞ!」って笑われましたよ(笑)。

―― 今後の目標としては?

岡本 大きいところでは、自分たちのゲームを遊んだ皆さんが、何らかの影響を受けて、幸せな気持ちになってくれることですね。「ストリートファイターII」を作った時、僕はそれができたと思ってるんです。練習して練習して、最後に昇竜拳が決まって相手が吹っ飛んでいって、それでまた明日も頑張ろうと思った人や、将来クリエイターになろうと思った人、本当に格闘技をやろうと思った人がいただろうと。あれと同じようなことがもう一度できたらいいなと思いますね。バイオハザードの時は、怖かった怖かったばかり言われたんで、あんまり幸せにはできなかったと反省してるんですが(笑)。

―― 私もストリートファイターIIで幸せになったひとりです。

岡本 小さいところでは、まずは一緒に頑張ってくれてるゲームリパブリックの社員から幸せにしてあげたいですね。みんなが喜んでくれることが僕の幸せですから。

―― 自分の幸せより、まず周りを幸せにしたいと。

岡本 それが僕の一番の幸せなんです。その結果としてよいゲームが作られることにもなるし、ユーザーが喜んでくれることにもつながっていく。全部つながってるんですよ。マザーテレサの言葉で、「世界を平和にしたいなら、まず家族を幸せにしなさい」ってありますけど、その通りですね。

―― きれいにまとまったところで、CEDECの講演、楽しみにしています。

岡本 たぶんガッカリさせますよ(笑)。大勢の人の前で話すのって苦手なんです。少人数で、こうやって向かい合って話す分にはいいんですけどね。

―― いえ、きっと講演を聞いてゲームリパブリックに入ろうという若い人が……。

岡本 それだったらありがたいんですけどね。逆に講演を見て、がっかりして人が抜けてったりしてね。なんだよあのオヤジ、含んだ言い方してて結局アレかよみたいな(笑)。

―― オチもついたところで、本日はどうもありがとうございました。

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