マリオVSブラッキー! 「レッキングクルー'98」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)
対戦型落ちものパズルの隠れた名作
レッキングクルー'98は、時代を反映した落ちものパズルになっている。ひとり用のストーリーモードと、対戦モード、トーナメントモードがある(ファミコン版レッキングクルーも収録されている)。ストーリーモードも敵キャラクターとの対戦になるあたり、コンパイルの「ぷよぷよ」を多分に意識して作られたようだ。
フィールド内にある4色のパネルを、たたいて壊したり、ハンドルで横にずらしたりして、同じ色のパネルを3枚以上並べると消せる。連鎖消しに成功したり、同色を一度に4枚以上並べたりすると、相手フィールドに変化を起こして妨害ができる。
妨害の内容は、そろえた色によって異なっていた。赤だと相手のフィールドにモンスターを送り込める。モンスターは真上から踏めば倒せるが、左右や下から接触すると、マリオなどのキャラクターが少しの間、操作不能になる。
青を並べると、相手フィールドの下からパネルがせり上がる。その枚数は消した青パネルの2倍。例えば横4列に並べて消すと、相手の横4列が2枚ずつせり上がる。縦に並べて消すと、相手の縦1列に集中してパネルを送り込める。
緑は相手のパネルを壁ブロックに変える。ブロックは1回たたくとパネルに戻るが、色は別の色に変化する。基本的には横2列のパネルがブロックに変わるが、消した数や連鎖次第では、変わるパネルはもっと増えた。
だが最も強烈な妨害は、黄色のパネルを消した時に現れる“鉄板”。たたいても壊せない。鉄板を壊せるのは、フィールド内のパネルを追加する時、2列に1個出てくる爆弾だけだ。ただし鉄板が増えると、パネルを消しづらくなってフィールドが埋まってくるので、パネル追加のボタンは押しにくい。鉄板が自分のフィールドに現れたら、早めに消すのが鉄則だ。
パネルが消えている間にもマリオを操作できるのが、このゲームの特徴。パネルを壊すこともできるので、状況によっては連鎖中に連鎖を伸ばすことも可能だ。
フィールド上端のラインより上にパネルが積み上がると警告音が鳴る。3秒以内にパネルを壊したり移動させたりして、ライン上のパネルを引っ込められればセーフだ。それができないと負けになる。
1回のプレイが、落ちものパズルにしては比較的長く、5分以上かかることも多い。とはいっても、とりあえず同じ色のパネルを4枚以上消すことさえ考えれば良く、あまり複雑な連鎖を必要としないので、つい、まったりと長時間プレイしてしまう(あまり連鎖を考えていないから、長時間かかるのかもしれないが)。
私はストーリーモードやトーナメントモードで、敵キャラとの対戦を延々数時間、ひたすらやってしまうくらいハマった。
ナスビ仮面もスパナゴンも登場
ストーリーモードでは、クッパが勝手に建てた秘密のアジトのせいで、日照権を奪われたマリオが、クッパの手下と戦ってアジトを破壊していく。
ステージ数は、クッパとの戦いを含めても全5ステージと少ない。だがそれぞれの敵を、指示された時間以内に倒すと隠しステージが現れる。4つの隠しステージで新たな敵と戦って、最後にクッパを倒すと真のエンディングが見られるのだ。
今回はナスビ仮面やスパナゴン、そしてブラッキーが、各ステージでのマリオの対戦相手として登場する。一方、隠しステージの敵は、おにぎりとオヤジと幽霊の少女と土偶。ちょっとシュールだ。対戦やトーナメントでは、これらの敵や、ルイージ、ピーチ姫でもプレイできる。
レッキングクルー'98が発売されると、某ゲーム誌のマンガでもブラッキーの話の続編が描かれた。ここでのブラッキーは、ゲームの中で芝居をする役者という設定なので、レッキングクルー'98で使われる映像を撮影するストーリーになっている。
ゲームの製作風景は、ブラッキーがレッキングクルーに出演した13年前とはまったく違っていた。広いスタジオに巨大なセットが組まれ、大勢のスタッフが忙しく立ち働く。最初はブラッキーも圧倒されたが、ルイージの作戦が功を奏し、本来の動きを取り戻していく。
当時は、まさに映画のようにゲームの開発現場が巨大化し始めた時期。だから、ゲームを映画に、ゲームキャラクターを俳優に見立てた世界観は、現実のゲーム業界の変遷を表現するのにぴったりだった。
2001年、ブラッキーはゲームボーイカラー用ソフト「モバイルゴルフ」にも登場。ケータイを通してダウンロードできるゴルファーのひとりだったが、ゲームに出演したのこれが最後だった。
ブラッキーが初めて描かれた1993年には、既にワリオが存在していたし、その後、ワルイージというキャラクターも現れた。したがって、仮に今ブラッキーが復活したとしても、活躍できるポジションを見つけるのは難しいかもしれない。
でもブラッキーには、マンガによって“単純なアイデア勝負でゲームが作れた時代を象徴する人物”“ゲームで悪役を演じることに、人一倍まじめに取り組む人物”という、ワリオやワルイージにはないキャラクターを与えられた。任天堂が勢いを取り戻した今だからこそ、再び何らかの形でカムバックしてほしいと思う。
それから、レッキングクルーに続いて、レッキングクルー'98もバーチャルコンソールで出してほしい。私は今回この記事を書くために、あらためてプレイしてみたら、あらためてハマってしまい、原稿の完成がまる1日遅れてしまった(すみません……)。
同じニンテンドウパワーの書き換え専用ソフトだった「ファミコン探偵倶楽部PART II うしろに立つ少女」のリメイク版や、「ファイアーエムブレム トラキア776」「はじまりの森」もバーチャルコンソールで出ているのだから、レッキングクルー'98もぜひ!
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