第8回:ステージクリアの快感をさらに高める、ボーナス得点のアイデアいろいろなぜ、人はゲームにハマルのか?(3/3 ページ)

» 2011年04月06日 14時16分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]
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まだまだあります! プレイヤーを夢中にさせるオモシロクリアボーナス

「1942」では、プレイヤーの実力を示すバロメーターである撃墜率をそのままボーナス得点の対象とすることでゲームをさらに面白くしている

 過去の当コラムでも何度か紹介したカプコンの名作シューティングゲーム、「1942」にも面白いクリアボーナスの仕組みが存在します。本作では、クリア時に緊急回避用アイテムである「宙返り」(Rマーク)の残った数と、ステージ内に登場した敵の撃墜率に応じたボーナス得点が加算されるようになっています。

 「宙返り」は1個につき1000点が加算されるので何点入るのかはすぐに計算できますが、もうひとつの撃墜率はちょっと変わっています。すべての敵を破壊したときは100パーセントで5万点となり、以下何機かの敵を逃して95〜99パーセントとなった場合は2万点、94〜90パーセントならば1万点……というように、成績が下がるごとに得点もマイナスされる言わば「減点法」のシステムをとっているというわけですね。

 ちなみに続編の「1943」では、ボス敵をどれだけ破壊したかを示す破壊率が高いほどクリアボーナスが高得点になるシステムになっています。

※PS2版「カプコン クラシックス コレクション」を使用。
(C)CAPCOM CO., LTD. 2005,2006
(C)CAPCOM U.S.A., INC. 2005,2006 ALL RIGHTS RESERVED.

 この「減点法」を使った面白い例は、タイトーが1986年に発売したアーケードゲームの「黄金の城」と「ハレーズコメット」の両作品においても見ることができます。

 「黄金の城」は主人公の騎士ガリアノスを操作して、剣と盾を駆使して敵と戦うアクションゲーム。本作ではクリア時の報酬として敵に壊された主人公の鎧のパーツがすべて再装着されるようになっています。このとき、残っていたパーツが多いほどボーナス得点が高くなる、つまり敵の攻撃を受けずに進める上手な人ほどたくさんスコアが稼げる仕組みになっているというわけですね。


※PS2版「タイトーメモリーズ2上巻」を使用。
(C)TAITO CORPORATION 1979-2006 ALL RIGHTS RESERVED.

 一方「ハレーズコメット」は、太陽系の惑星をハレー彗星(敵)の攻撃から守り抜くという壮大なストーリーのシューティングゲーム。もし敵を倒し損ねて画面外に逃がしてしまうと、惑星が攻撃されてダメージを受けるというユニークなシステムを搭載しています(※ダメージは画面右下にパーセント単位で表示されています)。

 本作では3ステージをクリアするごとにボーナスが入るようになっていて、星のダメージが大きくなるたびに得点がどんどん減らされるルールになっています。この面白いアイデアによって、プレイヤーはたくさん敵を倒して得点を稼いでやろうとモチベーションが上がるとともに、「何としてでも星を守ってやる!」という、まるで正義のヒーローにでもなったのような使命感がわいてきてゲームにますますハマッてしまいますよね?

 ちなみに「ハレーズコメット」では、星のダメージが100%になるとその時点で即ゲームオーバーになってしまいます。使命を守れなかったプレイヤーに対する、まさにこれ以上ないペナルティというわけですね(笑)。


※PS2版「タイトーメモリーズ2下巻」を使用。
(C)TAITO CORPORATION 1979-2006 ALL RIGHTS RESERVED.

 次回も引き続き、プレイヤーが思わず夢中になってしまうスコア(得点)アップの仕組みをムービーおよび画面写真にて実例を示しながらお届けしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!

今回登場したソフトはココで遊べます!

  • 「忍者くん」:Wiiバーチャルコンソール(配信中)
  • 「ロードランナー」:Wiiバーチャルコンソール(配信中)
  • 「ロードファイター」:PS用ソフト「コナミ80'sアーケードギャラリー」
  • 「アルゴスの戦士」:Wiiバーチャルコンソール、Xbox用ソフト「テクモクラシックアーケード」
  • 「1942」:PS2用ソフト「カプコン クラシックス コレクション」、Wiiバーチャルコンソール(配信中)
  • 「黄金の城」:PS2用ソフト「タイトーメモリーズ2上巻」
  • 「ハレーズコメット」:PS2用ソフト「タイトーメモリーズ2下巻」

著者プロフィール

鴫原 盛之 Morihiro Shigihara

 1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。その後、某メーカーでのグッズ・店舗開発や携帯コンテンツの営業、ゲームセンター店長などの職を経て、2004年よりフリーに。現在は各種雑誌やwebサイトでの執筆をはじめ、某アーケードゲームの開発なども手掛ける。著書は「ファミダス ファミコン裏技編」(マイクロマガジン社)、「ゲーム職人第1集 だから日本のゲームは面白い」(同)の他、共著によるゲーム攻略本・関連書籍を多数執筆。近刊は共著「デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド」(ソフトバンククリエイティブ)がある。

 Twitterは「@m_shigihara」です。

(著者近況)

 3月11日に発生した東日本大震災の被害にあわれた皆様には心よりお見舞いを申し上げます。

 現在、筆者は普段お仕事などを通じてお世話になっているゲーム業界関係者のご協力のもと、義援金を寄付するためのチャリティイベントの準備を進めております。正式に開催が決まりましたら、上記のツイッターなどを通じて告知させていただきますので、もしご興味のある方はご協力のほどよろしくお願いいたします!


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