ミステリ好きが早口で語る! ドラマ「アンナチュラル」の面白さ(1〜4話)(3/3 ページ)

» 2018年03月02日 12時00分 公開
前のページへ 1|2|3       

4話「誰がために働く」



 交通事故によって亡くなった工場員を死に追いやったものは、「過労」させた工場長なのか、「病気」を見逃した医者なのか、それとも「バイクの故障」を見落とした修理工場なのか――4話で初めに提示されるのは、トリッキーな謎です。

 従来のミステリ作品では、あまりこういう問いの立て方は見ません。真相がその3つのどれになっても、あまり面白くないですよね。大体ミステリでこういうつまらなそうな謎が出てくると、自殺か殺人という方向に話が転がっていきそうなものです。

 ところが「アンナチュラル」では、早々に「過労による事故」という方向で絞られた上に、「真実は最初に提示された3つのうちのどれでもない」と示される。本当の要因になったのは、実際に死んだ日よりも1カ月前の事故であり、本当の“悪”は成金の社長――という意外な展開になります。視聴者にとって一番勧善懲悪的なカタルシスが得られる相手、つまり「こいつに報いを受けてほしい」と視聴者が感じる人物を、最後の対決相手にしているのが非常にうまいですね。

 「アンナチュラル」の分かりやすい特徴として、いわゆる「犯人側」の物語はほとんど描かれません。テンプレ的なキャラ描写がされていると感じることも多い。細やかな心理の裏表を描く物語だからこそ、「悪役」については視聴者の解釈が揺らがないように描かれていますね。実際問題、「残された者の物語」を描くことを目指すなら、犯人の物語を描き込む余裕なんてなくなっていくというところもあるでしょう。

 4話については、その「生者の物語」をうまく感動的なエンタメとして仕上げています。最初加害者のように見えていた工場の人々のイメージをしっかり転換し、“味方”として描きなおす。被害者の家族だけではなく、工場の人々も、1人の死に向き合うことで、結果的に自分たちが生きることを選択する――というきれいな構図になっていました。

 さらに、六郎くんの掘り下げもしっかりやっています。彼はジャーナリズムに漠然とした興味を抱き、UDIに“ネズミ”として入り込んだキャラ。1〜2話の暴走気味なところを経て、3話ではジャーナリズムの負の側面を知ります。その裏返しとして、4話ではジャーナリズムのプラスの側面も知りました。だからこそ彼は今後さらにはざまに立たされていくわけですが……、よいバランス感覚ですよね。




 物語の大きな転換点となる第5話以降のレビューは、引き続き以下の記事でお届けします!

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/15/news011.jpg 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. /nl/articles/2412/16/news107.jpg 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  5. /nl/articles/2412/15/news035.jpg 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  8. /nl/articles/2312/15/news032.jpg 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. /nl/articles/2412/15/news028.jpg 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. /nl/articles/2412/16/news023.jpg 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」