「西武のLaview」vs「東武の川越特急」 でっかい「乗り鉄釣り針」ルートに釣られてみた:パート1:月刊乗り鉄話題(2019年5月版)(1/2 ページ)
乗り鉄のハートをワシっとつかんだ、連休限定「Laviewの新宿線初運行」と「東武の川越特急」を楽しんできました。
大型連休はいかがでしたか。鉄道会社も令和ヘッドマーク取り付け、令和記念きっぷ販売など、さまざまなイベントを実施しました。その中で、乗り鉄のハートをワシっとつかんだ企画は西武鉄道の「Laview、新宿線で初運行」でした。
新型特急電車「Laview」はこの連載で既に2回、紹介しております(関連記事)。またやるの? あんたLaview好きすぎだろ。そんなツッコミも甘んじて受けましょう。だって、運行ルートがヘンなんですもん(もちろん良い意味で)。
まるで釣り針かトラップのような「Laviewの連休特別ルート」
4月17日、西武鉄道は「新型特急車両 Laview 新宿線の一部で初運行! 大型連休にあわせて本川越〜飯能駅間で運転」と発表しました。これにはビックリです。なぜかというとLaviewは、まずは池袋線系統の特急「ちちぶ」「むさし」に充当すると発表されていたからです。
Laviewは2018年度に2編成を製造済み。2019年度に5編成を製造する予定。合計7本は池袋線系統のニューレッドアローと同じです。将来は現在の電車「ニューレッドアロー」を全てLaviewにする予定ですが、新宿線の特急「小江戸」への導入時期は未定です。従って、新宿線系統への導入は早くとも2020年度と予想されました。それが臨時列車とはいえ、早くも新宿線で走るなんて! も、もしかして、去年の株主総会で「池袋線ばかり投資されてズルイ」って意見が出たからかな(邪推)。
もう1つのビックリは、新宿線を走るとはいえ、運行ルートが西武新宿〜本川越間でないこと。臨時小江戸号として西武新宿発にしてもよかったはず。それなのに、本川越〜飯能駅間という、都心と関係ないルートでした。報道資料によると「大型連休期間中、西武線沿線、埼玉県内の観光地を周遊していただくことを目的に」とあります。確かに「本川越」は小江戸と呼ばれる古い街並みが残り、和菓子がおいしい観光地。「飯能」は2019年の春に誕生した「ムーミンバレーパーク」(関連記事)の入り口ともいえる駅です。しかし……、どちらも1日たっぷり楽しめる場所です。1日2カ所の周遊は忙しすぎませんか。そう。だからきっと、この列車の本当の目的は……。
「乗り鉄さん、いらっしゃい!!」です。
ならば、気持ちよく釣られましょう!!
私はこれを「西武鉄道が乗り鉄に投げかけた大きな釣り針」と解釈いたしました。だってルートが釣り針、あるいは縄罠みたいですから。
運行ルートを地図で見てみましょう。飯能と本川越を行き来するために、こんなに遠回りする必要はなさそうでしょう。鉄道で行くならば、JR八高線とJR川越線を乗り継げばほぼ直線です。所要時間は1時間10分前後。クルマならば45分前後(休日の同時間帯)です。
ところがこの臨時Laviewときたら、所沢まで南下するという大回り。本川越駅13時5分発の「むさし90号」の飯能着は13時51分で所要時間は46分。逆方向、飯能駅14時23分発の「小江戸92号」の本川越着は15時6分で所要時間は43分。アレレ、所要時間はこっちの方が短い。あんなに大回りしているのに。つまり、臨時Laviewは「スゲェ速い」んだ。
そしてこのルート、乗り鉄にとっては「所沢駅の転線」も魅力。所沢駅は池袋線と新宿線が交差する駅です。しかし双方の路線は都心方向と郊外方向が逆向きです。新宿行きと池袋行きが逆方向に走り出す、乗り換え注意な線路配置です。
この線路配置を逆手に取って、スイッチバックなしで飯能と本川越を直通できる。やろうと思えば「池袋発西武新宿行き」という列車も設定可能。しかし定期列車では設定されていません。
Laviewに乗りたい人のために臨時列車を仕立てるならば、西武新宿発池袋行き、あるいは池袋発西武新宿行きでも良かったはず。しかし、これだと沿線外の人向けになってしまう。あえて郊外路線にした理由は、西武鉄道沿線の皆さん「Laview」を楽しんでくださいという意図があると思います。そして同時に、「乗り鉄の皆さん、乗りたかったらこっちまでおいで〜」というお誘いに違いありません。
よーし、その誘い、乗った!! というわけで、まんまと釣られ、乗ってきました。
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