「出勤は朝5時半」「ベテランに口出しされないための“頑張ってますアピール”」 現役中学教員に聞く“仕事としての体育祭”(2/3 ページ)

» 2020年04月27日 20時00分 公開
[ねとらぼ]

ほとんど休めず、屋外で動き続ける体育祭当日



―― 体育祭当日の動きはどんな感じ?

advertisement

 体育祭が始まるのが8時半くらいかな。それまでにライン引きをする必要があって、担当者は6時ごろには出勤していた。あの作業、けっこう時間がかかるんだよね。メジャーを持つ人も必要で1人だとできないから、若手は半強制で手伝いに行かされていたね。

 競技が始まってからは、各教員が「招集」「スタート」などの係に分かれて、生徒ともに担当する。教員って1校あたり20人程度しかいないから、それぞれの係につく教員は2人とか。少人数で回しているので、トイレ休憩くらいしか取れない。最近は5月でもけっこう暑いし、ずっと屋外にいるのは負担感あるよね。

―― 休憩時間を作るのは難しいの?

 別の人が代わりにやってくれるなら休めるかもしれないけど、それぞれの係で準備を重ねてきているから。

 例えば、今の中学校って、徒競走にビデオ判定が導入されてたりするんだよね。「勝敗に関して保護者からクレームを受けないように」ということなんだろう。でも、そういうことに関して教員は素人だから、「休みたいから代わって」と言われてもやり方が分からない。

advertisement

 「ちょっと道具持ってきて」くらいなら他の先生に頼めるかもしれないけど、そういう“担当者にしかできない作業”があると、具合が悪くても休めないよね。

不登校、ケガのリスクもある体育祭 「簡素化する方向もナシではないんじゃないか」

 最近、小学校だと半日開催に短縮する動きが出ていてさ。「午前中にやって、お弁当を家族で食べたらおしまい」という。

 個人的には「中学校も、そういう感じで良いんじゃないかなあ」と思うことがある。生徒の成長がよく見られるイベントだし、体育祭そのものを否定するつもりはないんだけど、「冷静に考えるとどうんだろう。多くの生徒にとっては、体育祭って苦痛なだけなんじゃないかなあ」と感じるところもあって。

―― どういうこと?

 今の中学生って昔より運動神経が良くないんだよね。例えば、“徒競走が苦手な子”は昔からいたわけだけど、今はもうクラスの3分の2とか。そんなに多いと、教員側でもフォローしきれない。「皆の足を引っ張ったらどうしよう」と、学校に来られなくなってしまう生徒もいるし。

advertisement

―― 不登校などにつながるリスクもあるんだ

 それから、「事故が相次いでいる」という報道もあって、世間では組体操がよく批判されているよね。今の子どもは身体的な苦痛を耐える場面がほとんどないから、下にいる子は「ここで倒れたらヤバイ」というところで耐えられずに倒れてしまう。

 上の段も簡単ではなくて、他の生徒の背中を登っていくのにバランス感覚が必要。木登りなどがうまい子などがやってくれるといいのだけど……そういう生徒がどれだけいるのかなあ。

―― 「そういった懸念があるなかで、どこまでやるべきなのか」ということは考えられるかもしれないね

 体育祭には“体育の授業の発表会”のような側面もあるから、そこに合わせて簡素化する方向もナシではないんじゃないかと思う。「クラス全員で、授業でやったダンスなどの発表 → 運動が得意な生徒にはリレーなどの種目をやってもらって、午前中で終了」みたいな。

(続く)

※本企画は、現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境などは自治体、学校などによって異なる可能性があります。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/21/news157.jpg 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  2. /nl/articles/2502/21/news132.jpg コストコで販売「生カキ」原因で体調不良か…… 全国で1万食自主回収「深くお詫び」
  3. /nl/articles/2501/30/news115.jpg コストコで人気「ヨーグルト」に大腸菌群陽性の可能性…… メーカーなど謝罪「深くお詫び」 5万8000個自主回収
  4. /nl/articles/2502/21/news073.jpg 「行かねば!!!!!」 マクドナルド、次回ハッピーセットを“におわせ”…… “最恐”のコラボに「まじかーーー!」「これはたのしみ」
  5. /nl/articles/2502/20/news148.jpg 鮮魚店で売れ残ったタコ、自宅に連れ帰ると産卵して天国へ→母タコの代わりに卵をお世話したら…… とんでもない瞬間に「泣けました」
  6. /nl/articles/2502/21/news042.jpg コロコロよりも楽? 床に落ちた髪の毛 → ノンストレスで掃除できる“まさかの裏技”が「素晴らしすぎ」「神!!」
  7. /nl/articles/2502/20/news011.jpg 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  8. /nl/articles/2502/21/news145.jpg 「キスの会しよう」 華原朋美、高級接待した記者に“関係迫られる”トラブル 激怒の相手に5歳息子も怯え「あの人頭おかしいよ!」「ママやばい」
  9. /nl/articles/2502/21/news053.jpg 「助けて。息子がこれで幼稚園に行くってきかない」→まさかのアイテムに母困惑 「行かせましょう!」「控えめに言って最高」と反響
  10. /nl/articles/2502/21/news006.jpg 「3度見くらいした」 ハードオフに100円で売られていた“とんでもない掘り出し物”に仰天 「ガチでヤバい」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  4. 雑草ボーボーの荒れ地に“牛3頭”を放牧→2週間後…… まさかの光景に「感動しました」「いい仕事してますねぇ~!!」
  5. “この子はきっと中型犬サイズ”と思っていたら……たった半年後とんでもない姿に 「笑わせてもらいました」
  6. 年の差21歳で「夫は娘の同級生」 “両親大激怒”で結婚は猛反発されるも……“まさかの行動”で説得
  7. 163センチ、63キロの女性が「武器はメイクしかない」と本気でメイクしたら…… 驚きの仕上がりに「やっば、、」「綺麗って声でた」
  8. サイゼリヤ、メニュー改定で“大人気商品”消える 「ショック」悲しみの声……“代わりの商品”は評価割れる
  9. ママが反抗期の娘に作った“おふざけ弁当”がギミックてんこ盛りの怪作で爆笑 娘「教室全員が見に来た」
  10. 「さすがに無神経な内容」 “暴言受けた”伊藤友里が降板発表→岡田紗佳の直後の投稿に批判の声 Mリーガーも反応
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議