なぜ単線の路線で電車はぶつからないの? いちばん分かりやすい「単線」と「閉そくの仕組み」のお話:月刊乗り鉄話題(2020年9月版)(2/3 ページ)
「両方」から列車を発車できる仕組み「タブレット(通票)方式」とは
これに対して、「両方」から列車を発車できる仕組みとして「タブレット(通票)方式」が導入されました。
タブレット(通票)は金属の円盤。大きさはティーカップのお皿くらいです。これを革製のバッグに入れます。このバッグには大きな金属製の輪っかが付いていて、駅員と運転士さんはこの輪の付いたバッグを受け渡します。
この様子が、ローカル線を紹介する写真や映像で「昔ながらのタブレット交換」などと紹介されるものです。
そのために「大きな輪っか」をタブレットだと思いがちですが、タブレットの本体はバッグの中に入っている円盤です。
タブレット方式の手順は複雑です。
各駅にはとなりの駅と対になる「タブレット閉そく機」があり、そこに複数のタブレットが格納されています。タブレット閉そく機は電信回線で結ばれています。
駅員がとなりの駅と連絡を取って、ボタンと電鈴を使って定められた手順を実行してタブレットを取り出します。タブレットを運転士に渡し、運転士はタブレットをとなりの駅に運びます。到着した駅で駅員がタブレットを受け取り、タブレット閉そく機に格納します。
タブレットは複数あるので、どちらの駅からも取り出せます。ただし「1つ取り出したら、それをどちらかの駅で格納するまで次のタブレットを取り出せない」という仕組みになっています。これによって「閉そく区間に1つの列車だけ」の状態となります。
タブレットは真ん中に丸、四角、三角、楕円のいずれかの穴があいています。基本4種類あります。この穴の形がタブレット閉そく機と対応しており、閉そく機とタブレットの穴が一致することで作動します。隣り合った閉そく区間は異なる穴のタブレットが使われ、混同されないというわけです。
もっとも近年は「タブレット」といえばiPadのような液晶画面の機械(タブレット端末)ですし、鉄道業界でも乗務員や駅員が業務や顧客サービスのためにタブレット端末を使うようにもなっているのでややこしいです。とはいえ、通券のタブレット(通券)方式は過去のものなので混同されることはなさそうです。
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