アトピーを放置したら死にかけた 彼氏と彼女の「感染性心内膜炎闘病記」(1)(3/3 ページ)

» 2021年11月05日 18時00分 公開
[てんもんたまごねとらぼ]
前のページへ 1|2|3       

 この日にやっと、彼氏には「感染性心内膜症」という病名がつきました。

 感染性心内膜炎とは、皮膚や虫歯から細菌が入って心臓の弁に細菌の塊ができる病気です。彼氏の場合は、この細菌の塊が脳に行ったことで脳梗塞に、そして全身に細菌が行き渡ったことで高熱などを起こしていたようでした。本来、感染性心内膜炎は不治の病でしたが、ペニシリンの発明で治る病気にはなりました。心臓にはびこる菌の種類や規模で、手術の要不要が変わるそうです。

 相変わらず病院では気丈に振る舞えましたが、家に帰ると涙がどばーと出るのがつらかったです。

発症から8日目

 その日は一日中、待合室でずっと本を読んでいるおじいちゃんがいました。彼氏の検査を待っているときに思い切って話しかけてみると、奥様の脳の手術をもう12時間まっているとのこと。それからお互いに病状や趣味の話をしました。いろんな感情を抑えてただ静かに、穏やかに。

 さて、そのころの私ですが、彼氏が動かなくなった自宅トイレに入ったり、彼氏が熱を出したときに手をつけていた翻訳の仕事をやろうとすると、息苦しくなって手が震え、すごく怖いという気持ちになるようになっていました(約3カ月後に私はパニック障害になりますが、今思えばこのときから前兆はあったのかもしれません。詳しくは別記事)。

発症から9日目

 彼氏には幻覚も幻聴もありました。それは彼も自覚をしているらしいのですが「たまごちゃんのうしろにいるのだれ?」と聞かれたときは怖かったです。「誰もいないよ?」と返すと「そっかー、じゃあいいや」と淡々としていました。

 意識は多少はっきりしてきたらしく、私のポケモンお見舞いイラストを見て「あっちみてもこっちみてもポケモンがいる!!」と喜んでいました。逆に言うとこのころまで、私の描いていたお見舞い絵に気づいていなかったんですね……。

発症から10日目

 病院に行くと、彼氏はポケモンのイラストを貼ったテレビ画面に向かってじっと座っていました。上半身を上げて座っていることもしんどいらしいのですが、「たまごちゃんのイラスト見てがんばんなきゃって思った」とのこと。

 「でもたまごちゃん。『うぱー』のところ『うかー』って書いてるよ」とくすくす笑う彼氏。しかしイラストを見ても私はちゃんと「うぱー」と書いていました。なんと私の描いたお見舞いイラストでひらがながきちんと読めていないことが発覚したのです。なんだか複雑な気持ちでした。

【続き】発症11〜20日目

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評