アトピーを放置したら死にかけた 彼氏と彼女の「感染性心内膜炎闘病記」(1)(3/3 ページ)
この日にやっと、彼氏には「感染性心内膜症」という病名がつきました。
感染性心内膜炎とは、皮膚や虫歯から細菌が入って心臓の弁に細菌の塊ができる病気です。彼氏の場合は、この細菌の塊が脳に行ったことで脳梗塞に、そして全身に細菌が行き渡ったことで高熱などを起こしていたようでした。本来、感染性心内膜炎は不治の病でしたが、ペニシリンの発明で治る病気にはなりました。心臓にはびこる菌の種類や規模で、手術の要不要が変わるそうです。
相変わらず病院では気丈に振る舞えましたが、家に帰ると涙がどばーと出るのがつらかったです。
発症から8日目
その日は一日中、待合室でずっと本を読んでいるおじいちゃんがいました。彼氏の検査を待っているときに思い切って話しかけてみると、奥様の脳の手術をもう12時間まっているとのこと。それからお互いに病状や趣味の話をしました。いろんな感情を抑えてただ静かに、穏やかに。
さて、そのころの私ですが、彼氏が動かなくなった自宅トイレに入ったり、彼氏が熱を出したときに手をつけていた翻訳の仕事をやろうとすると、息苦しくなって手が震え、すごく怖いという気持ちになるようになっていました(約3カ月後に私はパニック障害になりますが、今思えばこのときから前兆はあったのかもしれません。詳しくは別記事)。
発症から9日目
彼氏には幻覚も幻聴もありました。それは彼も自覚をしているらしいのですが「たまごちゃんのうしろにいるのだれ?」と聞かれたときは怖かったです。「誰もいないよ?」と返すと「そっかー、じゃあいいや」と淡々としていました。
意識は多少はっきりしてきたらしく、私のポケモンお見舞いイラストを見て「あっちみてもこっちみてもポケモンがいる!!」と喜んでいました。逆に言うとこのころまで、私の描いていたお見舞い絵に気づいていなかったんですね……。
発症から10日目
病院に行くと、彼氏はポケモンのイラストを貼ったテレビ画面に向かってじっと座っていました。上半身を上げて座っていることもしんどいらしいのですが、「たまごちゃんのイラスト見てがんばんなきゃって思った」とのこと。
「でもたまごちゃん。『うぱー』のところ『うかー』って書いてるよ」とくすくす笑う彼氏。しかしイラストを見ても私はちゃんと「うぱー」と書いていました。なんと私の描いたお見舞いイラストでひらがながきちんと読めていないことが発覚したのです。なんだか複雑な気持ちでした。
【続き】発症11〜20日目
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「今は『おかしいと思ったら、家族のためにも自分のためにも救急車を呼ぶべき』だと思っています」。
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