ニュース
» 2021年11月13日 12時00分 公開

老舗駅弁店による冷凍駅弁開発&掛け紙復刻&クラウドファンディング、その斬新性とは? 静岡駅弁・東海軒の挑戦

コロナ禍で変わった、2021年の駅弁トレンドが「冷凍駅弁」。危機的な苦境を乗り切るために老舗駅弁店の東海軒が挑んだ「今までにない形」の冷凍駅弁とは……!

[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送
駅弁 静岡 東海軒「大御所弁当」(850円)
駅弁 静岡 駅弁 静岡 駅弁 静岡 駅弁 静岡 駅弁 静岡 駅弁 静岡 駅弁 静岡 駅弁 静岡 駅弁 静岡 駅弁 静岡

【ライター望月の駅弁膝栗毛】

「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

2021年の駅弁の1つのトレンドと言ってもいい「冷凍駅弁」。西日本エリアを中心に多くの老舗駅弁屋さんが、さまざまな形の冷凍駅弁を開発しています。そのなかで、静岡駅弁の東海軒は、冷凍駅弁と明治時代の掛け紙の復刻を組み合わせて、クラウドファンディングを実施するという、いままでにない形の冷凍駅弁開発に取り組んでいます。どうして、このような取り組みを行うことになったのか、トップに訊きました。

「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第29弾・東海軒編(第6回/全6回)

静岡の茶畑のなかをN700S新幹線電車の「のぞみ」号が駆け抜けて行きます。静岡茶は、鎌倉時代以来の歴史を誇る静岡市内の足久保が発祥の地と言われますが、いまのような大規模な産地となったのは明治以降のこと。かつての武士や大井川の川越人足が、牧之原台地の開墾に従事して生産能力を高め、首都圏の大消費地に比較的近かったことが、静岡茶のブランドが高まっていった背景にあるようです。

駅弁 静岡 N700S新幹線電車「のぞみ」、東海道新幹線・掛川〜静岡間

明治の物流の発達に大きな役割を果たした鉄道。その草創期から静岡駅の構内営業者として、いまも駅弁を作り続けているのが、株式会社東海軒です。そんな老舗業者にも、容赦なく冷たい風が吹き込んでいる現在進行形のコロナ禍。この歴史ある駅弁屋さんが、コロナ禍で取った対応、そして、新たな取り組みについて平尾清代表取締役社長にお話を伺いました。

駅弁 静岡 東海軒・平尾清社長

コロナ禍1年半、なりふり構わず「危機突破」!

―コロナ禍の1年半あまり、どのようなご苦労がありましたか?

平尾:このままでいったら、日本の駅弁店の8割は廃業に追い込まれてしまうであろう危機です。東海軒の場合、駅の売り上げは2020年以降、それまでの約6割減、平均40%台に落ち込んでいます。それ以外の弁当も入れて会社全体では50%減といったところです。普通、売り上げが半減して、生き残っていける会社は、ほとんどないと思います。政府のさまざまな補助金や雇用調整助成金に助けられたところは大きいですね。

―この苦境をどのように乗り切ってきていますか?

平尾:初期(2020年7月ごろまで)は「危機突破」をキーワードに、できることは何でもやりました。なりふり構わず、銀行から借りられるお金は全部借りました。給付金、助成金、政府系融資なども全部申請して使いました。コストカットもできる限りやりました。静岡駅構内に借りていた事務所も解約し、新幹線ホームの売店も可能な限り休業しました。老舗企業の信用もあって、何とか乗り切れるだけの資金は用意することができました。

駅弁 静岡 コロナ禍以降、ゆったり乗車できることも……東海道本線の普通列車

コロナ禍でできた時間で、駅弁「掛け紙」の文化的価値を再発見!

―お金は何とかなりました……そのあとは?

平尾:「本業の深掘り」と「新規分野への挑戦」の両輪をテーマにしています。そこから生まれてきたのが、「元祖鯛めし」の冷凍駅弁の開発と、明治時代の掛け紙を復刻させたクラウドファンディングです。明治時代の掛け紙の復刻も、コロナ禍でできた時間で、東海軒の社内に眠るさまざまな史料を見直し、掛け紙の文化的価値に気が付くことができたからです。このタイミングで木版印刷技術を持つ京都の藤澤萬華堂さんとつながることができました。

―元祖鯛めしの冷凍化と、掛け紙の復刻で「クラウドファンディング」というアイデアは、どこから生まれたのでしょうか?

平尾:クラウドファンディングは、掛け紙を作る藤澤萬華堂さんとのコラボレーションの話し合いのなかで生まれてきました。藤澤萬華堂さんは昔からの印刷技術の継承もあり、駅弁の掛け紙に注目して下さっていて、「元祖鯛めしの復刻掛け紙を作りませんか?」と東海軒にお声がけいただいたんです。そこで、新たに開発した冷凍駅弁と復刻掛け紙を組み合わせることで、より価値ある取り組みにしていこうということになりました。

駅弁 静岡 版木の彫刻風景(提供:藤澤萬華堂

創業130年超の老舗駅弁店、はじめての「冷凍駅弁」!

―なぜ、「冷凍駅弁」を開発しようとなったのですか?

平尾:コロナ禍で、「駅弁を利用する機会が減ってしまった」というお声をたくさん頂戴しました。このままですと、駅弁という日本独自の食文化が忘れられてしまうことに大きな危機感を持っています。ならば、こちらから駅弁をお届けしようと。弊社にとってもいままで製造当日限りの弁当しか作ったことがなく、冷凍駅弁はいままでにない挑戦です。「元祖鯛めし」の冷凍販売ができるようになれば、他の冷凍弁当にも商品化の道が拓けます。

駅弁 静岡 復刻される明治時代の「鯛めし」掛け紙

―「冷凍駅弁」にたどり着くまでにも、いろいろな試行錯誤があったそうですね。

平尾:レトルト、常温、いろいろ試して、「元祖鯛めし」の味のクオリティを保つには、やはり「冷凍しかない」という結論にたどり着き、冷凍技術を確立するところまでは来ることができました。機材の見積もりも済んで、あとはクラウドファンディングの成立を受け、「冷凍駅弁」の実現に向けて動き出すところです。冷凍駅弁も各社さんが取り組まれていますが、せっかく出すなら「美味しいもの」を出したいと思っています。

駅弁 静岡 大御所弁当

「元祖鯛めし」「特製鯛めし」に代表される、東海軒自慢の「鯛めし」駅弁。じつはもう1つ、鯛めしをいただくことができる駅弁があります。それは「大御所弁当」(850円)。平尾社長の先祖にも大きな影響を与えた、大御所・徳川家康公にちなんだネーミングの駅弁です。葵の紋所がドーンと入って威圧感がありますね。昭和58(1983)年の大河ドラマ、「徳川家康」の放映を記念して誕生したと言います。

駅弁 静岡 大御所弁当

【おしながき】

  • 鯛めし(桜飯、鯛そぼろ)
  • 赤飯 ごま
  • 焼き鯖
  • 蒲鉾
  • 玉子焼き
  • 鶏肉団子
  • 海老の天ぷら
  • わさび漬け
  • 安倍川もち
駅弁 静岡 大御所弁当

鯛めしだけでなく、他のご飯もいただきたいという欲張りの“大御所”のようなアナタにもちょうどいいのが「大御所弁当」。幕の内三種の神器「焼き鯖、蒲鉾、玉子焼き」も入って、鯛めしと幕の内弁当のいいトコどりをしたような作りになっています。加えて、静岡名物の安倍川もちや、杏のシロップ漬けも入っているのが嬉しいところ。ごはんもおかずもデザートもしっかり食べたいときに、重宝する駅弁です。

駅弁 静岡 373系電車・特急「ふじかわ」、東海道本線・由比〜興津間

日本一の山・富士山に見守られながら、東海道随一の名所・薩埵峠を3両編成の特急「ふじかわ」が下って行きます。6回シリーズでお届けする予定でした「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第29弾・東海軒編。130年を超える歴史ある駅弁業者ということもありまして、エピソードが多く、急きょ1本延長しまして、第7回で完結いたします。次回は、東海軒・平尾社長にこれからの展望を語っていただきます。

(初出:2021年9月27日)

連載情報

photo

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史

昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。

駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/


「駅弁膝栗毛」バックナンバー



おすすめ記事

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2112/08/news015.jpg 大好きな飼い主に、元保護猫がダイナミックハグ!! 「おかえりー!」と飛びつく姿に「かわいすぎる」の声
  2. /nl/articles/2112/08/news122.jpg ビジュアル系バンド「nurie」小鳥遊やひろさん、追突事故に巻き込まれ逝去 他メンバーも病院へ搬送
  3. /nl/articles/2112/07/news156.jpg 渡辺直美、NYで運転免許取得も「絶望」 “不意打ち”顔写真採用に困惑「どんな表情でどんな髪型なの?」
  4. /nl/articles/2112/06/news051.jpg お風呂に呼ぶ父に息子が「行けるわけなかろーもん」 猫さまとラブラブな光景に「息子さん正しい」と賛同の声
  5. /nl/articles/2112/06/news149.jpg 47都道府県の「県章」を仮面ライダーにアレンジ 各地の特色を宿した空想ヒーローに全国特撮ファン大盛り上がり
  6. /nl/articles/2112/08/news086.jpg 【その視点はなかった】常に丁寧口調の同僚に、評判の悪い人への印象を聞くと「こちらも親指が下がる思い」と低評価
  7. /nl/articles/2112/08/news100.jpg 井上和香、6歳娘と“笑顔いっぱい”温泉旅行2ショット 「娘との関係がうまくいかない」と育児に悩んだ過去も
  8. /nl/articles/2112/08/news024.jpg 猫「え……それ私のおやつでは??」 困惑の表情で風呂場に立ち尽くす猫ちゃん、かん違いする姿がかわいい
  9. /nl/articles/2112/07/news029.jpg 「キッチンから落ちゆく猫」 ペットシッターさんがとらえた決定的瞬間の写真に「動画で見たい!」「犬神家みたいw」
  10. /nl/articles/2112/08/news081.jpg 矢田亜希子、豊川悦司とのドラマ「愛していると言ってくれ」兄妹2ショット ファン「これはエモい」「私の青春だ」

先週の総合アクセスTOP10

  1. 東大王・鈴木光、“お別れの笑顔”で司法試験合格を報告「本当にありがとうございました」 SNS閉鎖に涙のエール続々
  2. 高嶋ちさ子、ダウン症の姉とさだまさしのコンサートへ 笑顔あふれる3ショットに「姉妹で素敵」「癒やされました」の声
  3. 「キレッキレ!」「何回見ても笑えるwww」 白柴犬の激しすぎる後ろ足の動きに国内外から大反響
  4. 45キロ減のゆりやんレトリィバァ、劇的変化の“割れたおなか”に驚きの声 「努力の賜物」「昔を思い出せない」
  5. 46歳と18歳の内田有紀、“2人そろって”『STORY』表紙へ 「自分の妹と撮影しているみたい」
  6. ダレノガレ明美、“痩せすぎ”指摘する声に「体絞っていました」 現在は4キロの増量 「ご安心ください」
  7. 渡辺美奈代、公開した自宅リビングが広すぎて“お姫様のお部屋” ゴージャスな部屋へファン「センスまで抜群」
  8. アイドルが「虚偽の発言」「繋がり行為」など複数の違反行為 ファンのため“卒業”を提案するもブロック→解雇へ
  9. 「美男美女の一言」「これぞベストカップル」 高橋英樹&小林亜紀子、“48年前の夫婦ショット”が絵になりすぎる
  10. ゴマキの弟・後藤祐樹、服役中に死去した“母との約束” 「1000万円企画」朝倉未来の計らいで首のタトゥー除去

先月の総合アクセスTOP10

  1. 池田エライザ、 “お腹が出ている”体形を指摘する声へ「気にしていません」 1年前には体重58キロ公表も
  2. 「前歯を取られ歯茎を削られ」 広田レオナ、19歳デビュー作で“整形手術”を強制された恐怖体験
  3. ゴマキの弟・後藤祐樹、朝倉未来とのストリートファイトで45秒負け 左目腫らした姿を自ら公開し「もっと立って闘いたかった」
  4. 清原和博の元妻・亜希、16歳次男のレアショットを公開し反響 「スタイル抜群」「さすがモデルの遺伝子」
  5. 小林麻耶、おいっ子・めいっ子とのハロウィーン3ショットに反響 元気な姿に安堵の声が続々「幸せそうでなにより!」
  6. カエルに普段の50倍のエサをあげた結果…… 100点満点のリアクションに「想像以上で笑った」「癒やされました」
  7. 「左手は…どこ?」「片腕が消えてる」 中川翔子、謎が深まる“心霊疑惑”ショットにファン騒然
  8. 「家ではまともに歩けてない」 広田レオナ、左股関節に原因不明の“炎症” 夫から「凄い老けたと言われてます」
  9. 小林麻耶、髪ばっさりショートボブに「とても軽いです!」 ファンも反応「似合います」「気分も変わりますよね!」
  10. キンタロー。浅田舞の社交ダンス挑戦を受け体格差に驚がく 「手足が長い!!」「神様のイタズラがすぎるぞ!!」