レトロゲーム・アワード受賞! 「スーパーマリオブラザーズ」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)
無限には増えない無限増殖
「スーパーマリオブラザーズ」を語る上で外せないのが、数々の隠れキャラや裏技だ。
まず隠しブロック。一見何もない空間にブロックが隠れていて、ジャンプしてたたくと出現する。コインなどのアイテムが出るほか、高い所へ上るための足場になる場合もある。
普通のレンガブロックの中に、アイテムが隠されていることもある。一定時間内にたたいた数だけコインが出現するブロックが多い。コインを100枚集めると、マリオの残り人数が1人増えるので、このようにコインを大量に獲得できる場所が見つかるとうれしい。
また、隠しブロックやレンガブロックに、取るとマリオが1人増える「1UPキノコ」が入っている場合もある。レンガブロックにはほかにも、スーパーキノコやファイアフラワー、一定時間無敵になるスターが入っていることがある。
さらに、たたくと豆の木が伸びるブロックもある。マリオがこの豆の木を上ると、雲の上に出る。ここはコインが大量にあるボーナスステージだ。
アイテムが隠されているのは、ブロックだけではない。土管の中には、上に立って、十字キーの下を押すと、コインがいっぱいある秘密の部屋に入れるものがある。
だからプレイヤーは自然と、「レンガブロックはとりあえず全部たたいてみる」、「土管はとりあえず全部乗ってみる」という行動をとることになる。
そうやってアイテムを見つけたときのうれしさが、「スーパーマリオブラザーズ」の大きな魅力になっているのだ。
裏技では、“無限増殖”が特によく知られている。
マリオが地面に下りずに連続して敵を踏み続けると、だんだん得点が増えていくのだが、遂には得点ではなくて、マリオの残り人数が増えていくようになる。これを利用した裏技だ。
階段状のブロックの上で、ノコノコやメットなどを踏むと、マリオは少し跳ね上がり、踏まれた敵は階段に当たって戻ってくる。タイミングが良ければ、マリオが落ちてきたところでまた同じ敵を踏むことができる。この状態になったら、放っておいてもどんどん残り人数が増えていく。
(厳密には無限ではなく、127人を超えると残り人数がマイナスになってしまう)
ただ、このタイミングがかなり微妙で、わたしは今まで一度も成功させたことがない。今回この記事の写真を撮るために、3-1最後の階段で2時間以上挑戦してみたのだが、数人増えたところでパターンが崩れることが多く、やっぱり成功できなかった。
このゲームを作った10人のスタッフは……
「スーパーマリオブラザーズ」の続編として、1986年、ファミコンディスクシステム用ソフト「スーパーマリオブラザーズ2」が発売された。「スーパーマリオブラザーズ」をクリアした人向けの、難度の高いアクションゲームだった。
1988年には、「スーパーマリオブラザーズ3」が、大容量ROMを使って作られた。マップを移動して各ステージへ進むスタイルになり、グラフィックも大幅に変更された。
1992年の「スーパーマリオUSA」は、フジテレビのイベントとのタイアップで作られた「夢工場ドキドキパニック」のキャラクターを、マリオやルイージなどに変えたもの。アメリカではこれが「スーパーマリオブラザーズ2」として発売された。
これら3本は、ここでまとめて取り上げるのがもったいないゲームなので、いつかあらためてこの連載で取り上げたい。
その後も「スーパーマリオワールド」、「スーパーマリオ64」、「スーパーマリオサンシャイン」と、任天堂の新しいゲーム機が登場するたびに、その機能を生かしたシリーズ作品が作られている。
そしてWiiで11月1日、「スーパーマリオギャラクシー」が発売される。
レトロゲーム・アワード2007の壇上で、宮本茂さんが語っておられたが、「スーパーマリオブラザーズ」を作った10人のスタッフが、「スーパーマリオギャラクシー」にも携わっておられるそうだ。移籍や独立、退職の多いゲーム業界では、こういったケースはきわめて珍しい。
「スーパーマリオブラザーズ」自体のリメイクとしては、1993年のスーパーファミコンソフト「スーパーマリオコレクション」がある。1、2、3、USAを収録。もちろんグラフィックは強化されており、さらに、進んだワールドや残り人数をセーブでき、途中でゲームを中断できるようになった。
「スーパーマリオコレクション」で無限増殖をやってみたら、すんなり成功した。ファミコン版よりやりやすいのかもしれない。しかも残り人数がマイナスになることはなく、128人でストップするようになった。
そのほか、1986年にファミコンディスクシステム版が発売されている。また、かなり後になるが、2004年に「ファミコンミニ」シリーズの1つとしてゲームボーイアドバンスに移植されているし、Wiiでは本体が発売された2006年12月から、バーチャルコンソールで配信されている。
ただしこれらは「スーパーマリオコレクション」とは違って、ファミコン版をほぼそのままの形で再現したもの。
ゲーム業界の流れもゲーム機の性能も大きく変わった、21世紀においてなお、1985年当時そのままの「スーパーマリオブラザーズ」が受け入れられている。
つくづくすごいゲームだなあと思う。
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