53%が家族の支援頼り NPOが若年層アニメーターの生活実態調査の結果を報告

新人アニメーター育成への課題が明らかに。

» 2016年12月16日 09時43分 公開
[はためく惑星ねとらぼ]

 NPO法人「若年層のアニメ制作者を応援する会(AEYAC)」が2016年に行った「AEYAC若年層アニメーター生活実態調査」の速報を発表。若年層アニメーターの53%が家族からの支援を受けて生活しているという結果を報告しました。

「AEYAC若年層アニメーター生活実態調査」 若年層アニメーターの半数以上が家族からの支援を受け生活していることが判明(画像はAEYACから)

 この調査は経験年数3年以内のアニメーターを対象に行われたもので、回答者数は153人(うち男性29%、女性69%、その他2%)。回答者募集と調査はWeb上で実施し、集計結果を業界関係者が実態に照らして確認しています。調査内容は、賃金などの労働条件に加え、居住形態、家計の経済状態、通勤時間、奨学金返済の状況などの多角的な観点から生活実態を調べるものとなっています。

 調査結果では、まず居住形態は「実家暮らし」が35%、1人暮らしや配偶者と同居などの「実家暮らしでない」割合は65%となりました。次に家計については、実家暮らしの全員が「主な家計支持者ではない」と回答。しかし、実家暮らしでない者のうち31%が「家族から仕送りを受けながら生活している」という回答に。これらの結果から、全体の53%が家族から何らかの経済的支援を受けてアニメーターを続けていることが明らかとなりました。

若年アニメーターのうち実家暮らしが35%、実家暮らしでない者が65%に 「実家暮らし」が35%、「実家暮らしでない」が65%、「1人暮らし」は49%(画像はAEYACから)
実家から仕送りを受けている人は31% 「実家暮らし」と「仕送りを受けている」を合わせると、総数は全体の53%に(画像はAEYACから)

 次に、実家暮らしでない者を対象とした「貯金を切り崩したことがあるか」という質問では、56%が「ある」と回答。しかし、「そもそも貯金がない」という回答が29%あり、貯金を切り崩したことが「ない」人は15%という結果に。これにより自ら家計を支持するアニメーターが抱えている経済的状況も見えてきます。

「貯金を切り崩したことがあるか」、「ある」56%、「そもそも貯金がない」29%、「ない」15% 「貯金を切り崩したことがある」は56%、「そもそも貯金がない」は29%に(画像はAEYACから)

 また、奨学金の返済を行っている者の割合は全体の33%で、これは日本学生支援機構が2012年に調査した奨学金の貸与割合37.7%と同程度の水準です。これらの情報から、奨学金を利用してアニメーターを目指す人は一般的な割合でいるものの、その奨学金返還がアニメーターの生活に負担をかけていることも明らかになりました。

若年層アニメーターのうち奨学金を返済している割合 奨学金の貸与者は一般と同水準にいるようです(画像はAEYACから)

 アニメ業界は以前より労働環境の悪さから制作現場の人員不足が深刻化しているといわれていますが、一方で漫画家や小説家のようにアニメーターとなってからも当面その収入だけでは生活が出来ず、新たな人材が育たない土壌があるとも指摘されています。今回の結果はその指摘を裏付けるような内容となりました。なお、調査全体の詳細については2017年2月に報告書として公開する予定とのことです。

(C) 2016 NPO法人若年層のアニメ制作者を応援する会

関連キーワード

調査 | 貯蓄 | 奨学金 | 支援 | 実態調査 | アニメ制作


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/15/news011.jpg 「懐かしい」 ハードオフで“30年前のPC”を購入→Windows 95をインストールしたら“驚きの結果”に!
  4. /nl/articles/2412/15/news035.jpg 餓死寸前でうなり声を上げていた野犬を保護→“6年後の姿”が大きな話題に! さらに2年後の現在を飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2412/16/news107.jpg 「靴下屋」運営のタビオ、SNSアカウント炎上を受け「不適切投稿に関するお詫び」発表 「破れないストッキング」についてのやりとりが発端
  6. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  8. /nl/articles/2312/15/news032.jpg 放置された池でレアな魚を狙っていた親子に、想定外の事態 目にしたショッキングな光景に悲しむ声が続々
  9. /nl/articles/2412/15/news028.jpg 脱北した女性たちが初めて“日本のお寿司”を食べたら…… 胸がつまる現実に考えさせられる 「泣いてしまった」「心打たれました」
  10. /nl/articles/2412/16/news023.jpg 父「若いころはモテた」→息子は半信半疑だったが…… 当時の“間違いなく大人気の姿”に40万いいね「いい年の取り方」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」