ノスタルジーあふれてる “黒電話”の入手法からお手入れの仕方までまとめた同人誌『黒電話で遊ぼう!』司書メイドの同人誌レビューノート

著者さんは内線機として使っているようです。

» 2017年10月15日 12時00分 公開
[シャッツキステねとらぼ]
シャッツキステ

 あの人、いまはどうしているかな? と秋空を見上げながら、声が聞きたくなるような、少しノスタルジックな風……。そんなとき、文字通りの“ダイヤルを回す”お電話で、懐かしの人と会話が弾むかも? 今回は、レトロな“黒電話”を楽しむための同人誌です。

今回紹介する同人誌

『黒電話で遊ぼう!』

B5 32ページ 表紙カラー 本文モノクロ


同人誌『黒電話で遊ぼう!』 丸っこくてかわいい電話機。黒くないものもありますが……?

見分けつくかな? 重厚な600形、かろやかな601形……まずはお気に入りの黒電話を入手しよう

電話マーク

 黒光りする見た目、受話器とつながったくるくるコード。もうずいぶんこの形の電話を触っていないな、という方も多いのでは? それどころか、生まれてこの方、受話器を持ちあげたことがない人だっている時代ですが、「電話」と文字入力したら出てくるマーク……そうそう、これです。電話と言えばこの形、という定番! 黒電話の魅力を著者さんは、

  • デザインが丸っこくてかわいい
  • ベル音がかっこいい
  • ダイヤルを回す感覚が気持ちいい

と、記されています。丸い形状、ベル音もびっくりするくらい大きくて、しゃーっと指でまわす感覚は、他にないものですね。

 こんな魅力あふれる黒電話。一般的には1932年〜1979年の間に作られた、3号自動式電話機、4号自動式電話機、600形電話機、601形電話機の4種のことを指すのだそうです。こちらのご本では、特に600形の電話機を取り上げています。600形は重厚でダイヤルに特徴があるとか。著者の方は当初、自分のイメージに合うのがどの形かわからず、迷ってしまったことがあるそうです。そんな経験を元に、600形と601形の見分けのコツもご本でしっかり説明されています。

 もう正式な販売は終了しているこれらの電話機ですが、リサイクルショップやインターネットのオークションサイトなどで中古品が手に入ることや、本体のケーブルやモジュラージャックといった気を付けるべきポイント、そしておよそいくらの価格で手にされているか、という実際の体験をもとにガイドしてあるので、入手までの流れがイメージしやすいです。特に、率直に価格が書いてあるのは、うれしいですねー。

同人誌『黒電話で遊ぼう!』 入手、お手入れ、テスト環境の構築が説明されています

意外とカラフルな“黒電話”。ぴかぴかになるお手入れ方法を細やかな解説が手助け!

 そして、ご本でも便宜上“黒電話”と表記されていますが、実は多様なカラーバリエーションが展開されていたことはご存じでしたか? 600形と601形は、標準色である黒以外にも、薄緑、ベージュ、さんごなど、合計7種類の色展開があるのだとか。そういえば、この薄緑の電話機も見たことあるような……。パステルがかった青色や、やわらかな緑色、そして鮮やかな赤いさんご色! もちろん黒色の気品と、どっしりとした落ち着きもすばらしいですね。ああ、並んだ電話機たちは、丸っこくてつやつやで、なんてかわいらしいのでしょうか。

同人誌『黒電話で遊ぼう!』 こちらは著者のyp14さまのTwitter(@JE1JGI)から。電話棚だそうです。カラフル!

 クラシカルでレトロなかわいい電話機を入手したら、そのままの傷を楽しむのももちろんあり、と著者さんも記しておられますが、お掃除して輝きを取り戻せばますます愛らしく感じられるのでは。そのお掃除方法はほこりや汚れの取り方ももちろん、「この導線に印をつけておくと戻すときにやりやすい」なと、とても実践的です。本文はモノクロですが、要所に写真も添えられて、“きっとここでつまずくのでは”という場所が丁寧にフォローされており、著者さんのこれまでのご苦労と、それを細やかに伝えることで黒電話をともに愛する人たちに楽しみを届けたい! というひそやかな情熱を感じるのです。

同人誌『黒電話で遊ぼう!』 お手入れの方法が丁寧に解説されています

黒電話ってこんな着信音! 回線に接続してベル音を楽しむ

 そして、なんとご本によると、この電話機で「もしもし」と通話することも可能なんだとか。もちろん、正式に電話回線につなぐためには基準に適合した電話機が必要だったり、接続工事には工事担当者の資格が必要です。もちろんこれを機に資格をとっちゃうのもありかもしれませんが(!)、ご本ではさまざまなツールを活用して内線機として使用し、無事に黒電話を「ジリリリリン!」と鳴り響かせることにご成功されています。

 正直、ここまでの「入手」と「お手入れ」に比べると、「テスト環境の構築」はなかなかのハードルの高さを感じますが、ここをクリアすればますます黒電話が楽しくなって、眺めてよし、さわって良し、秋の夜長のおしゃべりが黒電話で楽しめちゃうかも!?

 著者のyp14(@JE1JGI)さんは、自作キーボードのご本を出しておられるぺかそ(@Pekaso)さんとの2人サークルさんで、次回は冬コミに申し込んでらっしゃるそうですよ。

サークル情報

サークル名:plus TK2S

Twitter:@JE1JGI

購入先:BOOTH

次回イベント参加予定:コミックマーケット93


今週のシャッツキステ

シャッツキステ 読書の秋。ホットケーキ好きなシズクちゃんと理想のホットケーキについて話していると、とっぷり暮れた夜の中、バターのじゅわっと浸みたホットケーキが食べたくなってきました……

著者紹介

司書メイド ミソノ 司書メイド ミソノ:秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」でメイドとしてお給仕する傍ら、とある大きな図書館で司書としても働く“司書メイド”。その一方で、こよなく同人誌を愛し、シャッツキステでも「はじめての同人誌づくり」「こだわりの特殊装丁」の展示イベントを開く。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えた辺りで数えるのをやめました」と語る

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」