全作完結済み! 「このマンガがすごい!」にランクインしなかったけどすごい!2019 (1/3)
虚構新聞・社主UKのウソだと思って読んでみろ! 第96回は、毎年恒例の特別企画。2018年の発表作からUK大おすすめのマンガベスト5を紹介。
ねとらぼ読者のみなさん、こんにちは。虚構新聞の社主UKです。
誤報で収監されるなど急なイベントに見舞われたせいで遅くなりましたが、今回は毎年恒例の特別企画「『このマンガがすごい!』にランクインしなかったけどすごい!2019」をお届けします。
タイトルにもあるように、これは「このマンガがすごい!2019」(宝島社)<オトコ編>と<オンナ編>計100作品にランクインしなかった作品の中から、昨年完結した作品をランキング形式で紹介する企画です。2014年の連載開始以来、今回で6回目を迎えました。いつもお読みいただきありがとうございます。
2018年を振り返ってみると、個人的に収穫の少ない年で紹介数こそ少なかったものの、過去に本連載で取り上げた作品の中から『上野さんは不器用』『はんなりギロリの頼子さん』『ドルメンX』といった作品がメディア化されました。また夏には『放課後カルテ』の日生マユ先生にお話をうかがうこともできました。
さて、作品を紹介する前に、例によっておことわり。この企画は本家「このマンガ〜」の選考に異議を唱える意図はなく、社主が昨年読んで面白かった良作を推薦するものです。もちろん本家にランクインした100作品はどれも素晴らしい作品なので、ぜひ読んでみてください。
なお選考に当たっては、「2018年に完結した作品、または単巻作品であること」「ラストまで失速せず満足できる内容であること」「男性/女性向けからバランスよく選ぶこと」の3点を心掛けました。いずれもモヤモヤを残さない満足度の高い作品ばかりなので、興味を持たれたらぜひ手に取ってみてください。
ということで、作品の発表です! 例年10作品を紹介していましたが、今年は5作品をランキング形式でお届けします。
第5位『なつやすみの友』(雨野さやか)
第5位は雨野さやか先生の『なつやすみの友』(全1巻/スクウェア・エニックス)です。
夏休みも終わろうとする8月の終わりのある日、会社の先輩と不倫中のOL・並木鈴(りん)のアパートにメガネをかけた見知らぬ小学生が訪れます。
「僕をあなたの友達にしてください」
唐突にそう申し出た少年の名前は井上友(とも)。塾のキャンプから抜け出してきた彼は、片付けなければならない特別な「夏休みの宿題」を終わらせるため、鈴の友達として、5日間だけ一緒に住ませてほしいと非常識なことを言い出します(捜索願などは出されないように「うまくやった」とのこと)。最初のうち、鈴は断ろうとしますが、他に行く当てがないと言われ、アパートにとどまるのを認めることに。こうして謎の少年との5日間限定の友達生活が始まります。
小学生らしい無邪気さと、大人びた横顔を時折見せる友。不倫相手の先輩への気持ちを整理できないまま悩み続ける鈴は、突然現れたこの5日間限定の友達と言葉を交わす中で、幼いころの自分、そして不倫という現実を抱えた今の自分に向き合い始めます。
「私の願いは この独りよがりな幸せが いつまでも続く事 ―でも きっと私は 手ののばし方を 間違えた」
ためらい、迷い、不安――、そういった自分の弱さに向き合いながら、彼女は大きな決断を下します。
鈴に課されたこの「夏休みの宿題」を片付ける前半に続き、物語後半では、本作で最も大きな謎、少年・友の正体へと話の軸を移します。鈴が不倫する先輩・井上と同じ名字を名乗り、髪の色までそっくりの少年はいったい何者なのか。そして彼が5日間で片付けなければならない宿題とは何だったのか。
自分に自信が持てない不器用な鈴とは対照的に、大人びた態度を見せてきた友が「宿題の答え合わせ」をやり遂げた後に見せた表情は心が温まるものでした。これはひと夏の終わりとともに、大人は大人へ、そして子どもは子どもへと成長していく2人の物語でもあります。
第4位『一変世界』(明治カナ子)
第4位は明治カナ子先生のファンタジー作品『一変世界』(全3巻/新潮社)です。
森の中にたたずむ荒廃した神殿。少女・プーリョはこの森の神殿で大巫女見習いとして修行に励んでいました。荒れ果ててはいるものの、信仰の対象として人々から敬われるこの場所で、神官たちに囲まれて暮らすプーリョ。
しかし、祭事「奉唱会」が100年ぶりに開かれることが決まったのをきっかけに、彼女は自分を取り巻くこの世界にさまざまな疑問を抱き始めます。幼いころ大好きだった付き人・ブレダンはなぜ急に消えたのか? 日記を残して神殿を去った第14代大巫女と、それと入れ替わるようにして見習いに選ばれた自分の失われた過去。そして何より、神殿がこの世界に存在する意味そのもの――。
それまでプーリョを庇護していたはずの世界は、見方が変わった途端、死のにおいを感じさせる不安定な世界へと一変していきます。神殿は彼女の成長を促すゆりかごなのか、それとも決して逃げることを許さない永遠の牢獄なのか。
既存の宗教や、「剣とドラゴン」のようなクリシェと化したゲーム的中世とは異なる、作者独特の仄暗いファンタジー的世界観は、不条理な悪夢を見たときのような心の奥底に横たわる原初的恐怖を刺激します。決してグロいわけではなく(むしろ絵柄としてはかわいい部類)、それでいて読み終えた後にしっかりと記憶に爪痕を残す作品でもありました。
あとがきにある通り、ストーリー後半で展開が駆け足になった感は否めませんが、かと言って消化不良になっているわけではないので、心配なく最後まで読み通せるかと思います。
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