ニュース
» 2019年06月13日 00時00分 公開

完全なる癒やしの仙狐さんは「そっち」を満たせるか問題 「世話やきキツネの仙狐さん」10話

貴重な仙狐さんのやきもちシーン。

[たまごまごねとらぼ]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

世話やきキツネの仙狐さん (C)2019 リムコロ/KADOKAWA/世話やきキツネの仙狐さん製作委員会

 癒やされたい。肯定されたい。「世話やきキツネの仙狐さん」(原作アニメは、ブラック企業に勤める男性が、神使の狐に何もかも全て癒やされていく、人間全肯定アニメ。優しい空間が覆いかぶさってくる、ある意味現代日本を象徴するような作品です。


世話やきキツネの仙狐さん


もっとはしゃいでいいのじゃ!

 雪です、豪雪です、北国じゃないのです。会社休みましょう!


世話やきキツネの仙狐さん ほんまやで(2巻)

 ……と思うのですが、大人って無理なんですよね。ここまでして仕事しなければいけないとは、本当に理不尽だ。分かっていても、結局休む人があんまりいないのが、日本の大人。


世話やきキツネの仙狐さん 1コマ目の仙狐さんがかわいすぎて死にそう(2巻)

 仙狐さんは中野のことを極度に甘やかします。しかし自堕落な人間を作りたいわけではありません。自分の経験と照らし合わせて「頑張りすぎでは?」という価値基準で語ります。今回の雪の件は、彼女基準での「行けるわけがないじゃろ」発言です。会社に寝泊まりするなんてもってのほか。

 しかし今回は、それと同時に「一緒に遊びたい」という思いが芽生えていました。これは仙狐さんが二人の間で、やりたいことを言える関係が育っている表れです。


世話やきキツネの仙狐さん 美(2巻)

 外に出たいと言い出したのは、仙狐さんでした。雪遊びを提案したのは、仙狐さんでした。彼女は嘘を一切つかないので、本音で「中野と雪を見て、一緒に遊びたかった」のでしょう。

 雪の中佇む仙狐さんの、美しいこと……! 中野も見とれてしまう。もっとも「もふもふ」メインで見ているのが、中野らしいというかなんというか。

 この美は、マンガの描写を見ていると、神の使いというよりは、妖精っぽい。雪回の仙狐さんは、今までになく子供っぽくて、テンションが高い。生き生きとした、明るい美しさです。


世話やきキツネの仙狐さん 雪が好きになりそう(2巻)

 仙狐さん「800歳もはしゃいでおるのじゃ 歳なぞ気にするでない! つまらんことを申してないで わらわと遊ばんかの?」

 名言だと思います。まあ現実世界には800歳の仙狐さんはいないですが、自分の思い込みで、いい大人だからとブレーキを踏むのは本当にもったいない。迷惑がかからないのであれば、もっとのびのびと自分の欲求を発散させていいじゃないか。

 中野の会社の状況はそこまで描かれていないけれども、身体を壊しそうになるほどだったら、休めばいい。遊びたかったら、仙狐さんと遊べばいい。そこで「大人だから」という言い訳はいりません。

 憂鬱だったはずの雪が、仙狐さんといると、こんなにも楽しくなる。


世話やきキツネの仙狐さん 彼の最大の欲望(2巻)

 童心に帰った中野。心が開けて、仙狐さんにお願いをします。「しっぽで手を温めていただくというのは……」

 さすがにこれには、仙狐さんも「困った大人じゃ」。歳が云々言うでないと言っておきつつも、彼のもふもふ欲求にだけは、戸惑ったり難を示したりするのが仙狐さん。

 この「二人きりで、一歩踏み込んだ欲求を満たす・満たしてあげる」の関係が、次の夜空編で重要になってきます。ギャグに見えるやりとりも、全ては二人のコミュニケーションの成長の過程です。

もふもふはわらわだけで十分じゃ!

 「一緒に暮らす生活」作品で、半ばタブーともいえるところに踏み込んだのが「第二十二尾」。男女の清廉潔白な幸せ生活を描く上で、問題になりがちなので、できる限りスルーされるところです。

 中野と仙狐さんがいちゃいちゃ(もふもふのこと)していた時、突然やってきたのは仙狐の上司、夜空(そら)。今までこの作品にいなかった超スーパーダイナマイトボディの持ち主です。身長が小さいのでトランジスタグラマというべきか。


世話やきキツネの仙狐さん はだけてるー(3巻)

 品を作ったポーズ、暴力的な身体のライン、きわどすぎる衣装。仙狐さんともシロともベクトル違いすぎます。これが長い年月を生きた神使……。

 うぶな中野に、早速詰め寄る夜空。「もっとようけ見はります? ウチはかまいまへんけど」自分の魅力を分かっている迫り方だ。男の視線を理解している言動だ。もてあそんでいらっしゃる。

 ここで、夜空は爆弾を1つ落とします。


世話やきキツネの仙狐さん こ、これは……(3巻)

 夜空「お前さんがしてあげへんからやないの そっちのお世話も」「ウチやったら仙ではできひんコトも ぎょーさんしてあげられますよて」

 衣食住を満たし、食欲睡眠欲をフォローできたら、もう残るは……。夜空は「そっち」とぼかしているのでここでは明言はできませんが、人間が誰しも抱える欲求なのだけは間違いありません。

 仙狐さんは「そっち」の意味は理解しているようですが、あまり真剣に捉えたことはないようです。以前お風呂に一緒に入った時も、自分が女性の身体であっても、中野には見られてかまわないというか興味ないでしょ、という態度を取りました。中野に対して完全に安心しきって無防備です。

 ただしここで「わっ わらわは別にかまわん……のじゃが……」と慌てているあたり、達観しているわけではないのも分かります。

 この作品は、癒やしを究極まで突き詰める内容。であれば「そっち」は避けて通れません。今回問題を避けず正面から向き合っているからこそ、仙狐さんの「癒やし」は、信頼できる。はたして仙狐さんの選んだ道は?


世話やきキツネの仙狐さん オンリーワンであるということ(3巻)

 中野は大のもふもふマニアなので、胸よりしっぽに目が行った様子。このへんが中野らしいというか。でもしっぽにとっさに手を出そうとした瞬間、仙狐さんに止められます。

 仙狐さん「こやつの世話は もふもふはわらわだけで十分じゃ!!」

 「そっち」という語が含むものは、言い換えれば「愛情表現のスキンシップ」ととることもできます。一対一の、オンリーワンの存在として、心を許して触れ合える関係を得る、ということ。

 思えば、仙狐さんは中野にしっぽを触られるのを、そこまでよしとはしていません。彼の欲求だから、受け入れてあげる、という感覚です。二人きりの時、中野にしかしっぽは触らせていません。彼女の心と身体のデリケートなところだったのでしょう。

 仙狐さんは自分の唯一の大切な場所を、中野に許した。二人のスキンシップとしては「そっち」は、ある形で満たされていたから、中野は不満がなかった。

 このあたり、非常にバランスがうまいところです。仙狐さんいわく、自分は中野の母であり妻。だから「そっち」の意味も複数あります。それをよそがどうこう言うものじゃない、二人が満たし合っていれば、十分です。


妬いてなどおらぬわ!

 でも、中野は欲にちょっと流されましたね……仙狐さんのしっぽがありながら、夜空のしっぽを触ろうとするとは! 許されない! といいたいところだけど……数本あったらまあ惹かれるのもしかたなし。


世話やきキツネの仙狐さん 中野が仙狐さんをからかう珍しいシーン(3巻)

 つい苛立ちを隠せなくなった仙狐さんに、「ヤキモチ焼いてます?」と聞く中野ときたら。今回ばかりは調子に乗りすぎだぞ!!!

 とはいえ、これは大進歩です。1話の時、仙狐さんは「完全に受け止めてあげる神の使い」という立ち回りで、常に余裕を持っていました。それがもふりあう生活が続くうちに、中野が唯一無二の存在に変わっています。「わらわという狐がありながら またよそのもふもふにうつつを抜かしおって!」という発言、嫉妬と感じるのも無理はない。

 しっぽを触らせているのはおぬしだけ、おぬしもわらわのしっぽで満足しろ、という旨の発言は、「神使と人間の関係」ではなく「個人と個人の関係」に発展したからこそ。

 じゃあその関係に名前をつけたら? といわれると……難しい。二人の特別な関係がなんなのかは、もっと二人の関係を見て考えたいところです。


たまごまご



<前回までのお話>

世話やきキツネの仙狐さん
世話やきキツネの仙狐さん
世話やきキツネの仙狐さん
世話やきキツネの仙狐さん
世話やきキツネの仙狐さん
世話やきキツネの仙狐さん
世話やきキツネの仙狐さん

(C)2019 リムコロ/KADOKAWA/世話やきキツネの仙狐さん製作委員会


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2311/27/news041.jpg 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  2. /nl/articles/2311/28/news172.jpg バイクでケーキを持って帰ったら…… ミュージカル俳優、思わぬ形になったケーキに「見たことないほどズタボロ」
  3. /nl/articles/2311/25/news015.jpg 道路脇のパイプ穴をのぞいたら大量の…… 思わず笑ってしまう驚きの出会いに「集合住宅ですね」の声
  4. /nl/articles/2311/27/news095.jpg 『ちいかわ』通称“島編”が最終話へ 絶望色が強すぎて阿鼻叫喚 想像に任せるオチに“存在しない劇場版”を幻視する読者が続出
  5. /nl/articles/2311/27/news024.jpg 葛藤の末、野良の黒猫親子を保護して1カ月後…… 幸せを見つけた家族の光景に「本当に良かった」「癒やされます」
  6. /nl/articles/2311/28/news037.jpg 愛犬の大切なおもちゃを洗濯したら→「お友達が……!」 悲しい鳴き声をあげる姿に「家の子も一緒だ」「健気で癒されます」
  7. /nl/articles/2311/27/news076.jpg ミキ亜生、駅で出会った“謎のおばさん”に恐怖「めっちゃ見てくる」 意外な正体にツッコミ殺到「おばさん呼びすんな」「マダム感ww」
  8. /nl/articles/2311/27/news093.jpg 『キン肉マン』ゆでたまご・嶋田、ヘルプマーク使用を報告も…… 「正義はないのかこの日本」理解の低さに苦言
  9. /nl/articles/2311/28/news032.jpg 物理学を理解しているハムスター、回し車で遊びたい姉妹へのかわいいイジワルが「強い意志を感じる…」と話題に
  10. /nl/articles/2311/27/news106.jpg エド・はるみ、連日ハードな研究で生活も激変 “18種類おかずの手作り弁当”に影響「数と彩りも無くなり」「忙しく時間がなさすぎて」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  2. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」
  3. 愛犬と外出中「飼いきれなくなったのがいて、それと同じ犬なんだ。タダで持ってきなよ」と言われ…… 飼育放棄された超大型犬の保護に「涙止まりません」
  4. ミキ亜生、駅で出会った“謎のおばさん”に恐怖「めっちゃ見てくる」 意外な正体にツッコミ殺到「おばさん呼びすんな」「マダム感ww」
  5. 永野芽郁、初マイバイクで憧れ続けたハーレーをゲット 「みんな見ろ私を!」とテンション全開で聖地ツーリング
  6. 道路脇のパイプ穴をのぞいたら大量の…… 思わず笑ってしまう驚きの出会いに「集合住宅ですね」の声
  7. 柴犬が先生に抱っこしてほしくて見せた“奥の手”に爆笑&もん絶! キュンキュンするアピールに「あざとすぎて笑っちゃった」
  8. 病名不明で入院の渡邊渚アナ、1カ月ぶりの“生存報告”で「私の26年はいくらになる?」 入院直後の直筆日記は荒い字で「手の力も入らない」
  9. 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  10. デヴィ夫人、16歳愛孫・キランさんが仏社交界デビュー 母抜かした凛々しい高身長姿に「大人っぽくなりました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 病名不明で入院の渡邊渚、3カ月ぶりSNS更新で「表情に違和感」「そこまで酷い状況とは」 ベッド上で「人生をやり直すこともできません」
  2. 動かないイモムシを助けて1年後のある日、窓の外がありえない光景に 感動サプライズが「アゲハ蝶の恩返し」と話題
  3. 「スカートはないわ」「常識無視の番組でびっくり」 山下リオ、登山中の服装批判巡って反論「私が叩かれているようですが」
  4. 「千鳥」大悟、大物美人俳優にバッグハグされた表情に注目集まる 「マジ照れのお顔ですね」「でれでれやん」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 神田愛花アナ、拡散された女子中学生時代ショットにスタジオ騒然「ヤバい」→“アネゴ感”でSNSもざわつく
  7. 「生きててよかった」 熊谷真実、美麗な初“袋とじ”グラビアで63歳の色気全開 真っ赤なドレス着こなす姿に「すごいプロポーション」
  8. 尻尾がちぎれた小さな子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォーアフターに注目集まる
  9. 双子モデル・吉川ちえ、美容整形後のひたいが“コブダイ”状態へ 多額の費用要した修正手術で後悔も「傷がこんなに残りました…」
  10. 「犬ぐらい大きくなれよ」と願い育てた保護子猫が「まさか本当に犬ぐらいになるとは」 驚異の成長ビフォーアフターが192万表示!