安心して食べられる鯛めし駅弁を作るため、伊東の駅弁屋さんが惜しまない手間とは?祇園「鯛どんたく」(880円)

毎日1品、全国各地の名物駅弁を紹介! きょうは祇園の「鯛めし」です。

» 2021年08月22日 13時00分 公開
[ニッポン放送(1242.com)]
ニッポン放送
駅弁 鯛めし 祇園「鯛どんたく」(880円)
駅弁 鯛めし 駅弁 駅弁 駅弁 駅弁 駅弁 駅弁 駅弁

【ライター望月の駅弁膝栗毛】

「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

東京と神戸を結ぶ「東海道本線」には、いくつもの支線があります。熱海から分かれて、伊豆の東海岸を走るJR伊東線もその1つ。特急「サフィール踊り子」「踊り子」をはじめ、東京方面からの直通列車が多く運行され、伊東から先は伊豆急行線へ直通しています。その境界駅・伊東にも少しユニークな鯛めし駅弁があります。そして一緒に買い求めたい懐かしいアイテムも販売されているんです。

駅弁 伊豆急行2100系電車「リゾート21」・普通列車、伊豆急行線・伊豆稲取〜今井浜海岸間

東海道「鯛めし」紀行・祇園編(第4回/全5回)

伊豆の東海岸を行く伊豆急行の「リゾート21」。前面展望と海側の眺望が優れた車両として知られ、熱海と伊豆急下田の間を特別料金不要の普通列車として運行しています。いまは「キンメ電車」と「黒船電車」の2編成が活躍中。沿線の名物・金目鯛にちなんだ赤いカラーリングの「キンメ電車」は、今年(2021年)、外装と内装の一部リニューアルが行われ、6月11日から運行されています。

駅弁 伊東駅

「リゾート21」が走る東伊豆の鉄道は、熱海〜伊東間がJR伊東線、伊東〜伊豆急下田間は伊豆急行線となっています。乗務員の交代が行われる伊東駅では、伊豆急行線の開業に先立つ2年前の昭和34(1959)年から、「祇園」によって駅弁が販売されており、「いなり寿し」が名物駅弁となっています。じつはこの祇園でも、数量限定で“鯛めし”が製造・販売されており、知る人ぞ知る人気駅弁となっています。

駅弁 鯛どんたく

祇園の鯛めしは、その名も「鯛どんたく」(880円)。めでたい「鯛」の駅弁に、オランダ語のゾンターク(休日)に由来する“どんたく”とネーミングしているのもリゾート地・伊豆らしく、掛け紙を外した瞬間からお祭り気分が始まりそうです。伊東はオランダ船で日本に来て、江戸時代初期に徳川家康の外交顧問となった三浦按針(ウィリアム・アダムス)が日本初の洋船を造った地。夏には「按針祭」が開催されています(今年は規模縮小予定)。

駅弁 鯛どんたく

【おしながき】

  • 味付ご飯(国産米使用、鶏出汁)
  • 鯛おぼろ
  • ホタテ唐揚げ
  • 椎茸煮
  • 牛蒡煮
  • 香の物
駅弁 鯛どんたく

懐かしさを憶える丸い経木のわっぱ型容器に入った祇園の「鯛どんたく」。面白いのは、時間をかけて仕上げた自家製の鶏出汁スープで炊いた味付けご飯が使われていること。祇園によると、鯛おぼろも安心して食べられるよう「骨がないか」「お焦げがないか」確認しながら、職人さんがすべて手作業で仕上げていると言います。このため1日の製造個数に限りがあり、個数限定になっているそう。じつはとても手間がかかっている駅弁なんです。

駅弁 伊豆大島を眺めながら、ポリ茶瓶の「ぐり茶」

ちなみに、伊東駅で駅弁と一緒に買い求めたいのが、ポリ茶瓶入りの「ぐり茶」(130円)。駅弁と一緒に販売されるお茶は、明治時代から長らく陶器製の汽車土瓶が使われたあと、この“ポリ茶瓶”が取って代わりました。しかし、昭和の終わりごろにペットボトルが普及して、すっかり下火になってしまいましたが、伊東駅の売店ではいまも健在! 昭和40〜50年代の国鉄の旅を知る皆さんにとっては、きっと「懐かしいお茶」に違いありません。

駅弁 伊豆急行2100系電車「リゾート21」・普通列車、伊豆急行線・川奈〜富戸間

東海道本線の熱海から分かれて、網代、伊東、熱川、稲取、河津と東伊豆の温泉地と魚の美味しいまちを貫いて、開国のまち・下田を目指すJR伊東線・伊豆急行線。全線単線ですので、途中駅で列車すれ違いのために長めの停車もあって、のんびり・ゆったり懐かしい旅が楽しめることでしょう。ちょっとユニークな鯛めしと、いまや希少な存在となった“ポリ茶瓶”を求めて、東海道からチョット寄り道してみるのも、楽しいひとときですよ!

(初出:2021年6月30日)

連載情報

photo

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史

昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。

駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/


「駅弁膝栗毛」バックナンバー



おすすめ記事

Copyright Nippon Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  2. /nl/articles/2412/20/news034.jpg 「博物館行きでもおかしくない」 ハードオフ店舗に入荷した“33万円商品”に思わず仰天 「これは凄い!!」
  3. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. /nl/articles/2412/20/news050.jpg 「マジかーーー!」 新札の番号が「000001」だった…… レア千円を入手した人が幸運すぎると話題 「555555」の人も現る「御利益ありそう」「これは相当幸運」
  5. /nl/articles/2412/20/news148.jpg 浅田真央、男性と“デート” 驚きの場所に「気づいた人いるかな?」
  6. /nl/articles/2412/20/news016.jpg 身内にも頼れず苦労ばかりの“金髪ギャルカップル”→10年後…… まさかまさかの“現在”に「素敵」「美男美女でみとれた」
  7. /nl/articles/2412/18/news144.jpg 海岸で大量に拾った“石ころ”→磨いたら…… 目を疑う大変貌に「すごい発見!」「石って本当にすてき」【カナダ】
  8. /nl/articles/2412/18/news047.jpg トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  9. /nl/articles/2412/15/news077.jpg 生後1カ月の保護子猫、後頭部を見るとあのアルファベットが……→9カ月の現在にびっくり 「プレミアム猫」「本当にPですね」
  10. /nl/articles/2412/19/news190.jpg 辻希美、17歳長女・希空に「ダサすぎるって」とツッコんだ格好 
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」